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9話 信頼
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第4機の騎士達が待機していると思われる所まで駆け足で行く。
ここは少し寒いな…。
こんな所で風邪でもひかないだろうか?
そんな事を思っていると、森の奥から明るい光が見えた。
焚き火の炎だ。
手に持っている夕食が冷めないためにもダッシュで走る。
「イルドだ!」
僕の声に反応し第4機の騎士たちが慌てて集う。
「何かあられましたか?殿下。」
深刻そうな表情で1番前で屈んでる騎士が問う。
「いや、大したことでは無いのだが…。保存食だけでは物足りないと思って今日貰ったものをそなたたちに渡そうとな。」
僕の手作りとは言わない。何故かは言うまでもないが。
そこでふと僕は思った。
………フェイに手作りだと危うく言いかけてた?
俺の行動と言動からではグレーが正解だな。
まぁ、別に知られたところで死ぬわけでもないが。
「殿下………宜しいのですか?我々のような者に。」
我々のような者…。
こいつらは貴族でも平民でもない。元奴隷だ。
今は父上の働きにより奴隷制度を厳しく取り締まっているが
先代までは奴隷制度があった。
多分この者達の人生の半分が奴隷だったのだろう。
ここで思うが、父上は何故奴隷制度を廃止したのか。商人たちの反乱が起こることは分かっていたし、臣下・側近の信頼を失うことはいくら愚王でも分かっていた事だ。
勿論奴隷制度廃止には僕も賛成だが。
本当に愚王なら何もしなく遊んで過ごす。今みたいに。
何故僕達が生まれる前はそのような行動を起こしていたのか僕には分からなかった。
…でも僕は薄ら薄ら気づいていたかもしれない。父の異変は何かのものによると。
◇◇◇
貪るように僕の作った夕食に食らいつく。
「殿下…ありがとう、ありがとう御座います。このように人間のように扱ってくださって…俺は!俺は!」
騎士たちの半数はボロボロと涙を零す。
泣きじゃくる姿は僕の心を強く締め付けた。
「まさか、まだ差別を受けているのか?」
「………恐れながら。まだ差別は続いております。」
悔しそうに歯を噛み締める。
「…僕が不甲斐ないばかりに…っ…。申し訳が立たない。」
僕が頭を下げると騎士達は慌てて頭を上げるようにと言う。
「やめてください殿下!俺達は殿下のことを会ってもないのに誤解をしていました!見せる顔も無いです!!」
「いや良いんだ。それと今からすることはすぐに差別を止めることの出来ない詫びとしてだ。」
スっと目の前にいる騎士の手を掴んだ。
一瞬ビクッとして目が泳ぐ。他人に触られるのに慣れていないようだな。
─ヒール
ぶわっと痛々しい古傷が綺麗に治っていく…
「「「「!?」」」」
騎士たちがどよめき出した。
「こっこれは一体………?」
「回復魔法だよ。」
「かっ回復魔法!?」
回復魔法とは。
使える者が極少数で本当はそんな魔法は存在しないと思っている人は少なくもない。
それほどにまで貴重な魔法だ。
「まさか俺たちのような者がこんな素晴らしい魔法を見れるなんて!」
騎士達の歓声にまみれる。
「あー、でもこのことは外部には漏らさないよう。僕が回復魔法を見せたのはそなたたちが初めてだからね?」
「「「「はい!」」」」
それから僕は騎士達全員の治療を行った。
ここは少し寒いな…。
こんな所で風邪でもひかないだろうか?
そんな事を思っていると、森の奥から明るい光が見えた。
焚き火の炎だ。
手に持っている夕食が冷めないためにもダッシュで走る。
「イルドだ!」
僕の声に反応し第4機の騎士たちが慌てて集う。
「何かあられましたか?殿下。」
深刻そうな表情で1番前で屈んでる騎士が問う。
「いや、大したことでは無いのだが…。保存食だけでは物足りないと思って今日貰ったものをそなたたちに渡そうとな。」
僕の手作りとは言わない。何故かは言うまでもないが。
そこでふと僕は思った。
………フェイに手作りだと危うく言いかけてた?
俺の行動と言動からではグレーが正解だな。
まぁ、別に知られたところで死ぬわけでもないが。
「殿下………宜しいのですか?我々のような者に。」
我々のような者…。
こいつらは貴族でも平民でもない。元奴隷だ。
今は父上の働きにより奴隷制度を厳しく取り締まっているが
先代までは奴隷制度があった。
多分この者達の人生の半分が奴隷だったのだろう。
ここで思うが、父上は何故奴隷制度を廃止したのか。商人たちの反乱が起こることは分かっていたし、臣下・側近の信頼を失うことはいくら愚王でも分かっていた事だ。
勿論奴隷制度廃止には僕も賛成だが。
本当に愚王なら何もしなく遊んで過ごす。今みたいに。
何故僕達が生まれる前はそのような行動を起こしていたのか僕には分からなかった。
…でも僕は薄ら薄ら気づいていたかもしれない。父の異変は何かのものによると。
◇◇◇
貪るように僕の作った夕食に食らいつく。
「殿下…ありがとう、ありがとう御座います。このように人間のように扱ってくださって…俺は!俺は!」
騎士たちの半数はボロボロと涙を零す。
泣きじゃくる姿は僕の心を強く締め付けた。
「まさか、まだ差別を受けているのか?」
「………恐れながら。まだ差別は続いております。」
悔しそうに歯を噛み締める。
「…僕が不甲斐ないばかりに…っ…。申し訳が立たない。」
僕が頭を下げると騎士達は慌てて頭を上げるようにと言う。
「やめてください殿下!俺達は殿下のことを会ってもないのに誤解をしていました!見せる顔も無いです!!」
「いや良いんだ。それと今からすることはすぐに差別を止めることの出来ない詫びとしてだ。」
スっと目の前にいる騎士の手を掴んだ。
一瞬ビクッとして目が泳ぐ。他人に触られるのに慣れていないようだな。
─ヒール
ぶわっと痛々しい古傷が綺麗に治っていく…
「「「「!?」」」」
騎士たちがどよめき出した。
「こっこれは一体………?」
「回復魔法だよ。」
「かっ回復魔法!?」
回復魔法とは。
使える者が極少数で本当はそんな魔法は存在しないと思っている人は少なくもない。
それほどにまで貴重な魔法だ。
「まさか俺たちのような者がこんな素晴らしい魔法を見れるなんて!」
騎士達の歓声にまみれる。
「あー、でもこのことは外部には漏らさないよう。僕が回復魔法を見せたのはそなたたちが初めてだからね?」
「「「「はい!」」」」
それから僕は騎士達全員の治療を行った。
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