239 / 297
235.霊縁(2)シーシ
しおりを挟む
北から帰ってきて、大浴場で、むにゅんむにゅん流してもらう。
あっ、これは続くんですね……。
なぜかリーファも、むにゅんむにゅん流されてたけど、楽しそうなのでヨシとしよう。
大浴場は今日もキャッキャと賑やかだった。
それから、リーファと、めっちゃした。
翌日、シーシが荷物を持って俺の部屋に来た。少し頬を赤くしている。
「ニシシシシシ! 2番手はボクなのだ!」
「えっ? 2番手ってなに?」
「マレビト様は1人ずつがいいのだ? それとも、皆んなでしたい?」
「い、いや……。それは、まだちょっと……」
「ニシシ。まだ、なのか?」
「あ」
「ボクたちは気持ち固まってるから、皆んなでもお相手できるのだ?」
「あ、はい……」
「ニシシ。しばらく、マレビト様の部屋で世話になるのだ~」
と、シーシは俺の寝室に荷物を広げてしまった。
「イヤだったら出直すので、いつでも追い出してくれていいのだ」
「出直しはするんだ?」
と、笑ってしまった。
「もうずっと恋してて、側室にまでしてもらったのだ。そう簡単には諦めないのだ」
「恋してくれてるんだ」
「キュンキュンなのだ!」
といっても、シーシは忙しい。夜は横でぐっすり寝てるけど、ほとんど部屋にいない。
「なんで、皆んながボクを2番手に選んだのか分からないのだ」
と、ボヤきながら工房で作業に精を出している。
リーファが復帰したことで熱の呪符の数を増やせて、伐採した木材の乾燥が進んだ。それで、ミンリンさんが前の城主と練っていた城の改築に着手出来たのだ。
「正妃と側室の関係になって、なんでも相談しやすくて助かるのだ」
「前はそうじゃなかったんだ?」
「王女様と辺境の城の司空府の職人なのだ。虎とアリンコくらい違うのだ」
「あら、気さくな虎だったでしょ?」
と、リーファが笑っていた。
「なんだ、聞いてたのか。人が悪いお妃様なのだ」
「これ、頼まれてた呪符。言われたように熱が細く出るように調整したけど、こんなの何に使うの?」
「ニシシ! 溶接なのだ!」
ああ、なるほどと、俺とリーファの声が揃った。
篝火に鍋を付けたり、連弩を作ったり、この工房は思い出深い。2番手だというシーシの作業を見て過ごす日が多くなった。
あの大浴場の皆んなは、きっと俺以上に俺のことを知っている。皆んなが選んだ『2番手』だというなら、俺に異存はない。
大浴場には2人で入る。
「ニシッ! なんか、照れるのだ!」
せっかくなので、シーシの背中を手拭いで流してあげた。
「姉さん、このくらいさせてくださいよ!」
「なんなのだ? 急に」
「姉さんいなかったら、どうなってたか分からないですよ。って言うか、無理でしたよ。なにもかも」
「ニシシ。そうなったら、そうなったで、どうにかしてたのがマレビト様なのだ」
「そんなことないっスよ」
「いいや、あるのだ。きっと別の方法を見付けてたのだ。マレビト様はスゴい人なのだ」
湯船に浸かると、小さいシーシは俺の前に座ってもたれかかった。
「2人だと広すぎるのだ」
「ほんとだな」
と、静かな大浴場を2人で眺める。
――マレビト様は、それでいいのだ!
って、シーシが皆んなに大演説をぶってくれたのも、大浴場だった。そのシーシが背中を俺に預けて、ちょこんと胸の中に収まっている。
「もしいなかったらって言うなら、マレビト様がいなかった方が、よっぽど無理だったのだ……」
と、シーシはしみじみと言った。
「ボクの腕は宝の持ち腐れのまま、人獣に喰われてたのだ」
「そか……」
「なんでも出来る娘って言われてたボクだけど、ここまでなんでも出来るとは、自分でもビックリなのだ」
「うん。ホントに、シーシはスゴいよ」
「でも、そんなボクを見付けてくれたのはマレビト様なのだ……」
「そう……?」
密着してるシーシの背中が気持ちいい。
「マレビト様がいなかったら、ボクは何者でもなかったのだ。感謝してもしても、し切れないのだ……」
と、シーシは首をひねって、俺を見上げた。
「ボクにはもう一つ……、まだ誰にも見付けてもらってない一面があるのだ」
潤んだ瞳にドキッとしてしまった。
「それも……、マレビト様に見付けてほしいのだ」
そのまま寝室に戻って、めっちゃ見付けた――。
紋様の輪が一つ増え、霊縁が結ばれた。
「ついに見付けられてしまったのだ」
と、シーシは枕に半分顔を埋めながら、ニシッと笑った。
「……3番手に代わるの?」
「そうなるのだ。寂しい?」
「うん」
もう1回、見付けた。
「マレビト様は……、エッチなのだ」
「あ、うん」
「ニシッ。寂しかったら、いつでもボクの部屋に忍んでいいのだ」
「え?」
「1人1回と決まってるワケではないのだ。そ、側室なんだし……」
と言って、赤くなった顔を枕に埋めるシーシが可愛くて、あと1回、見付けてしまった。
翌日は大浴場に皆んな揃ってて、むにんむにんと流された。
リーファも、むにんむにん流してもらってるのは、なんなんだろう――?
あっ、これは続くんですね……。
なぜかリーファも、むにゅんむにゅん流されてたけど、楽しそうなのでヨシとしよう。
大浴場は今日もキャッキャと賑やかだった。
それから、リーファと、めっちゃした。
翌日、シーシが荷物を持って俺の部屋に来た。少し頬を赤くしている。
「ニシシシシシ! 2番手はボクなのだ!」
「えっ? 2番手ってなに?」
「マレビト様は1人ずつがいいのだ? それとも、皆んなでしたい?」
「い、いや……。それは、まだちょっと……」
「ニシシ。まだ、なのか?」
「あ」
「ボクたちは気持ち固まってるから、皆んなでもお相手できるのだ?」
「あ、はい……」
「ニシシ。しばらく、マレビト様の部屋で世話になるのだ~」
と、シーシは俺の寝室に荷物を広げてしまった。
「イヤだったら出直すので、いつでも追い出してくれていいのだ」
「出直しはするんだ?」
と、笑ってしまった。
「もうずっと恋してて、側室にまでしてもらったのだ。そう簡単には諦めないのだ」
「恋してくれてるんだ」
「キュンキュンなのだ!」
といっても、シーシは忙しい。夜は横でぐっすり寝てるけど、ほとんど部屋にいない。
「なんで、皆んながボクを2番手に選んだのか分からないのだ」
と、ボヤきながら工房で作業に精を出している。
リーファが復帰したことで熱の呪符の数を増やせて、伐採した木材の乾燥が進んだ。それで、ミンリンさんが前の城主と練っていた城の改築に着手出来たのだ。
「正妃と側室の関係になって、なんでも相談しやすくて助かるのだ」
「前はそうじゃなかったんだ?」
「王女様と辺境の城の司空府の職人なのだ。虎とアリンコくらい違うのだ」
「あら、気さくな虎だったでしょ?」
と、リーファが笑っていた。
「なんだ、聞いてたのか。人が悪いお妃様なのだ」
「これ、頼まれてた呪符。言われたように熱が細く出るように調整したけど、こんなの何に使うの?」
「ニシシ! 溶接なのだ!」
ああ、なるほどと、俺とリーファの声が揃った。
篝火に鍋を付けたり、連弩を作ったり、この工房は思い出深い。2番手だというシーシの作業を見て過ごす日が多くなった。
あの大浴場の皆んなは、きっと俺以上に俺のことを知っている。皆んなが選んだ『2番手』だというなら、俺に異存はない。
大浴場には2人で入る。
「ニシッ! なんか、照れるのだ!」
せっかくなので、シーシの背中を手拭いで流してあげた。
「姉さん、このくらいさせてくださいよ!」
「なんなのだ? 急に」
「姉さんいなかったら、どうなってたか分からないですよ。って言うか、無理でしたよ。なにもかも」
「ニシシ。そうなったら、そうなったで、どうにかしてたのがマレビト様なのだ」
「そんなことないっスよ」
「いいや、あるのだ。きっと別の方法を見付けてたのだ。マレビト様はスゴい人なのだ」
湯船に浸かると、小さいシーシは俺の前に座ってもたれかかった。
「2人だと広すぎるのだ」
「ほんとだな」
と、静かな大浴場を2人で眺める。
――マレビト様は、それでいいのだ!
って、シーシが皆んなに大演説をぶってくれたのも、大浴場だった。そのシーシが背中を俺に預けて、ちょこんと胸の中に収まっている。
「もしいなかったらって言うなら、マレビト様がいなかった方が、よっぽど無理だったのだ……」
と、シーシはしみじみと言った。
「ボクの腕は宝の持ち腐れのまま、人獣に喰われてたのだ」
「そか……」
「なんでも出来る娘って言われてたボクだけど、ここまでなんでも出来るとは、自分でもビックリなのだ」
「うん。ホントに、シーシはスゴいよ」
「でも、そんなボクを見付けてくれたのはマレビト様なのだ……」
「そう……?」
密着してるシーシの背中が気持ちいい。
「マレビト様がいなかったら、ボクは何者でもなかったのだ。感謝してもしても、し切れないのだ……」
と、シーシは首をひねって、俺を見上げた。
「ボクにはもう一つ……、まだ誰にも見付けてもらってない一面があるのだ」
潤んだ瞳にドキッとしてしまった。
「それも……、マレビト様に見付けてほしいのだ」
そのまま寝室に戻って、めっちゃ見付けた――。
紋様の輪が一つ増え、霊縁が結ばれた。
「ついに見付けられてしまったのだ」
と、シーシは枕に半分顔を埋めながら、ニシッと笑った。
「……3番手に代わるの?」
「そうなるのだ。寂しい?」
「うん」
もう1回、見付けた。
「マレビト様は……、エッチなのだ」
「あ、うん」
「ニシッ。寂しかったら、いつでもボクの部屋に忍んでいいのだ」
「え?」
「1人1回と決まってるワケではないのだ。そ、側室なんだし……」
と言って、赤くなった顔を枕に埋めるシーシが可愛くて、あと1回、見付けてしまった。
翌日は大浴場に皆んな揃ってて、むにんむにんと流された。
リーファも、むにんむにん流してもらってるのは、なんなんだろう――?
16
お気に入りに追加
1,298
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる