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230.呪力発現
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大浴場を上がり、俺の部屋でリーファとサシで向き合った。
「それじゃあ、これからの話をしましょう」
と、穏やかな表情のリーファ。
「はい……」
「結婚しましょう」
「え? 結婚?」
「リーファをジーウォ公の正妃にお迎えください」
と、リーファは三つ指をついた。
「えっと……」
「たぶん、それしかないわ。私が王族の地位を降りると宣言しても、皆が納得してくれるには」
「あぁ……、なるほど……」
「それに……、その……」
リーファの頬が少し赤くなった。
「純潔のこともあるし……」
「あ……、そだね……」
「どう……?」
「よ、よろしくお願いします……」
「こちらこそ……、末永く、よろしくお願いいたします……」
「はい……」
「ふふっ」
「へへっ」
リーファは頬を赤くした顔を上げた。
「次に」
「次?」
「側室を取ってください」
「え……?」
「あの娘たちに報いる必要があります」
リーファの視線は穏やかだったけど、強い意志を感じた。
「日本人感覚とダーシャン感覚のハイブリッドで悪いけど……」
「え? なにそれ?」
「勇吾は私が他の男に、裸でご奉仕してたらどう思う?」
「それは……、イヤ……、だけど……」
「側室にしたからってことを致すかは勇吾が決めたらいい。でも、今の状態は中途半端過ぎるわ」
「あ、うん……」
「君主の側室が別の男に再嫁することは普通によくあることだし、むしろ元側室となれば貰い手も増えると思うわ」
「そうなんだ……」
「だから、この先ずっとでなくてもいいと思う。けど一旦は、あの娘たちの気持ちにケリをつけてあげて欲しいの」
言わんとするところは分かるんだけど……。
「私の希望としては、彼女たちの純潔を貰ってあげてほしい。でも、それは勇吾が決めたらいいと思う」
「うーん……」
「もちろん、側室にするのは本人が希望する娘だけでいい。この辺は日本人感覚ね」
「えっ?」
「ダーシャン感覚なら、王女にして正妃の私が『皆を側室とする』って命じたら『ははーっ』って、なるの」
「あっ……」
「だから、私が一人ひとりと向き合って話をします」
「え?」
「それが、正妃としての責任と権限と、私の中の日本人感覚の、なんて言うか……、落とし所なの」
ど、どう受け止めたらいいか分からない……。日本人の小市民感覚では……。
「お願い。悪いようにはしないから、私に任せてくれない……?」
「あ、うん……、だけど……」
「勇吾はシアユンやあの娘たちの助言を受け入れて、ここまでジーウォを築いてきたんだよね? ……私の助言も聞いてほしいなあ」
と、リーファは俺に手を合わせて見せた。
「……分かった! リーファに任せる!」
奥さん公認のお妾さんって、俺の感覚では違和感しかないけど、確かに異世界の文化はリーファの方が詳しい。
ここは任せるべきなんだと思う。
「ありがと……」
「うん。よろしくお願いします」
「でもね……」
と、リーファはポッと頬を赤くして、俺の服の端を引いた。
「勇吾の純潔は、私にちょうだいね……」
俺の顔がシュンッと赤くなって、頭はポンっと爆ぜた。
不意打ちでそんな可愛い顔するなんて……、ズルい……。
「は、はい……。ぜひ……」
◇
重臣会同 を招集した。
純潔の乙女たち全員との面談を終えたリーファと共に出席し、男性陣を驚かせながら俺とリーファの結婚を宣言した。
俺の側室となることを希望してくれた純潔の乙女は22人もいた。
それ以外の女子たちは純潔の乙女としての責務から解放し、人口の激減したジーウォで、愛する人と結婚して子を為し幸せな家庭を築くようにと伝えたそうだ。
南側広場に住民全員に集まってもらい、長い眠りから目覚めたリーファをお披露目し、ジーウォ公妃として迎えることを布告した。
その発表の場には、側室として大浴場に残ってくれた22人も一緒に並んだ。
――シアユンさん。
――イーリンさん。
――ミンリンさん。
――メイユイ。
――メイファン。
――ミンユー。
――クゥアイ。
――ツイファさん。
――ユーフォンさん。
――スイランさん。
――シーシ。
――シュエン。
――ユエ。
――ホンファ。
――シャオリン。
――アスマ。
――ラハマ。
――マリーム。
――ナフィーサ。
――ルオシィ。
――ジンリー。
――ディエ。
皆んな、共に闘ってきた戦友でもある。人手が圧倒的に足りない城内で、側室の地位だけという訳にもいかない。すべての役職は兼任のままだ。
ただ、確かに彼女たちの立場は明確になった。
住民たちも祝福してくれたし、彼女たちの表情も晴れやかだ。リーファの助言は正しかったんだと思う。
大浴場に毎日通いながら、あまり関わりのなかった娘たちを解放してあげることも出来た。
リーファも笑顔で住民たちに手を振っている。
王女から公妃の身分に降り、距離が縮まったことが分かる。
ジーウォ公国、再出発の日になった。
そして、その晩。
俺とリーファは、遂に結ばれ、俺の呪力が発現した――。
「それじゃあ、これからの話をしましょう」
と、穏やかな表情のリーファ。
「はい……」
「結婚しましょう」
「え? 結婚?」
「リーファをジーウォ公の正妃にお迎えください」
と、リーファは三つ指をついた。
「えっと……」
「たぶん、それしかないわ。私が王族の地位を降りると宣言しても、皆が納得してくれるには」
「あぁ……、なるほど……」
「それに……、その……」
リーファの頬が少し赤くなった。
「純潔のこともあるし……」
「あ……、そだね……」
「どう……?」
「よ、よろしくお願いします……」
「こちらこそ……、末永く、よろしくお願いいたします……」
「はい……」
「ふふっ」
「へへっ」
リーファは頬を赤くした顔を上げた。
「次に」
「次?」
「側室を取ってください」
「え……?」
「あの娘たちに報いる必要があります」
リーファの視線は穏やかだったけど、強い意志を感じた。
「日本人感覚とダーシャン感覚のハイブリッドで悪いけど……」
「え? なにそれ?」
「勇吾は私が他の男に、裸でご奉仕してたらどう思う?」
「それは……、イヤ……、だけど……」
「側室にしたからってことを致すかは勇吾が決めたらいい。でも、今の状態は中途半端過ぎるわ」
「あ、うん……」
「君主の側室が別の男に再嫁することは普通によくあることだし、むしろ元側室となれば貰い手も増えると思うわ」
「そうなんだ……」
「だから、この先ずっとでなくてもいいと思う。けど一旦は、あの娘たちの気持ちにケリをつけてあげて欲しいの」
言わんとするところは分かるんだけど……。
「私の希望としては、彼女たちの純潔を貰ってあげてほしい。でも、それは勇吾が決めたらいいと思う」
「うーん……」
「もちろん、側室にするのは本人が希望する娘だけでいい。この辺は日本人感覚ね」
「えっ?」
「ダーシャン感覚なら、王女にして正妃の私が『皆を側室とする』って命じたら『ははーっ』って、なるの」
「あっ……」
「だから、私が一人ひとりと向き合って話をします」
「え?」
「それが、正妃としての責任と権限と、私の中の日本人感覚の、なんて言うか……、落とし所なの」
ど、どう受け止めたらいいか分からない……。日本人の小市民感覚では……。
「お願い。悪いようにはしないから、私に任せてくれない……?」
「あ、うん……、だけど……」
「勇吾はシアユンやあの娘たちの助言を受け入れて、ここまでジーウォを築いてきたんだよね? ……私の助言も聞いてほしいなあ」
と、リーファは俺に手を合わせて見せた。
「……分かった! リーファに任せる!」
奥さん公認のお妾さんって、俺の感覚では違和感しかないけど、確かに異世界の文化はリーファの方が詳しい。
ここは任せるべきなんだと思う。
「ありがと……」
「うん。よろしくお願いします」
「でもね……」
と、リーファはポッと頬を赤くして、俺の服の端を引いた。
「勇吾の純潔は、私にちょうだいね……」
俺の顔がシュンッと赤くなって、頭はポンっと爆ぜた。
不意打ちでそんな可愛い顔するなんて……、ズルい……。
「は、はい……。ぜひ……」
◇
重臣会同 を招集した。
純潔の乙女たち全員との面談を終えたリーファと共に出席し、男性陣を驚かせながら俺とリーファの結婚を宣言した。
俺の側室となることを希望してくれた純潔の乙女は22人もいた。
それ以外の女子たちは純潔の乙女としての責務から解放し、人口の激減したジーウォで、愛する人と結婚して子を為し幸せな家庭を築くようにと伝えたそうだ。
南側広場に住民全員に集まってもらい、長い眠りから目覚めたリーファをお披露目し、ジーウォ公妃として迎えることを布告した。
その発表の場には、側室として大浴場に残ってくれた22人も一緒に並んだ。
――シアユンさん。
――イーリンさん。
――ミンリンさん。
――メイユイ。
――メイファン。
――ミンユー。
――クゥアイ。
――ツイファさん。
――ユーフォンさん。
――スイランさん。
――シーシ。
――シュエン。
――ユエ。
――ホンファ。
――シャオリン。
――アスマ。
――ラハマ。
――マリーム。
――ナフィーサ。
――ルオシィ。
――ジンリー。
――ディエ。
皆んな、共に闘ってきた戦友でもある。人手が圧倒的に足りない城内で、側室の地位だけという訳にもいかない。すべての役職は兼任のままだ。
ただ、確かに彼女たちの立場は明確になった。
住民たちも祝福してくれたし、彼女たちの表情も晴れやかだ。リーファの助言は正しかったんだと思う。
大浴場に毎日通いながら、あまり関わりのなかった娘たちを解放してあげることも出来た。
リーファも笑顔で住民たちに手を振っている。
王女から公妃の身分に降り、距離が縮まったことが分かる。
ジーウォ公国、再出発の日になった。
そして、その晩。
俺とリーファは、遂に結ばれ、俺の呪力が発現した――。
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