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207.キラキラと大浴場

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――むにゅん、むにゅん。

「生きて帰ったら、んでもらう約束だったしね! ひひっ!」

と、笑ったメイファンに右手を取られ、いる。

大浴場ハーレム風呂に入るやいなや、前線に立ってた女子たちにかこまれた。んな疲労の色は隠せないのに、ここはキッチリ順番待ちするんですね……。

「ね? 私、頑張ったと思わない?」

と、メイファンに顔をのぞき込まれた。

「うん! 頑張った!」

「偉い?」

「偉いよ!」

「じゃあ、頭もでてっ!」

そのくらいならと、差し出された頭をスリスリでた。こたえられないような笑顔をするメイファンに、俺にも勝利の実感がいてきた。

「ひひっ! ご褒美ほうび、ご褒美ほうび。第3城壁奪還も楽しみになってきた!」

と、ほほを赤くして笑うメイファンに続いて、皆んなんで、頭をでる。

なんだかよく分からないけど、んな嬉しそうにしてくれてるから、良しとしよう。

最後にシーシが残ったけど、見るからにへこんでいる。

「ボクはジンリーにケガさせちゃったし……」

「いや、アスマとラハマのおかげもあって、結果的にたいしたことなかったんだし、シーシはよくやってくれたよ!」

「でも、マレビト様にんでもらう資格はないのだ……」

し、資格ってなに……?

「そ、それはともかく、シーシたちが回廊かいろうを作ってくれたから、第2城壁を奪還出来たんだ。胸を張ってほしいな」

「こう……?」

い、いや、比喩ひゆ表現で……、実際に胸を突き出せと言ったわけでは……。

「マレビト様は……」

「うん」

「ボクみたい?」

そ、そんな聞き方……。と、まわりを囲む女子たち全員からの「へこんでるシーシに逆らうな」という強い視線に気が付いた。女子って結束けっそくしますよね、こういうとき。

「も、みたい……、です……」

「そっか。じゃあ、んでいいよ」

言わされた感……。

持って行かれるんじゃなく、自分から手を伸ばしてシーシの膨らみにれる。

ピトッ。

いつも背中で滑ってたはずなのに、昨日ははずなのに、自分から行くだけで、ドキドキの度合どあいが3倍くらいになった気がする――。

――くにっ、くにっ。

「ニシッ。元気出たのだ!」

「そ、そう? 良かった」

「頭もでてほしいのだー!」

グイッと突き出された頭をグリグリでると、シーシは満足そうに笑った。

第2城壁は一晩ひとばん、守り切った。

今日の昼間は休養きゅうようて、明日から回廊かいろうを解体して第3城壁の奪還にそなえる。

湯船にかると、いつもより静かだったけど、どの顔にも希望に満ちた笑みが浮かんでいた。

今日より明日が良くなる。

それを実感できた、今までで一番大きな一歩だった。

朝日がむ大浴場で、んなキラキラとかがやいて見えた――。
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