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191.解体計画(2)

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宮城きゅうじょうの1階を解体したい」

と、俺はいきなり本題を切り出した。

急遽きゅうきょ司空府しくうふのミンリンさんの執務室に集まってもらったのは、太保たいほのシアユンさん、司徒しとのスイランさん、それを補佐ほさするシャオリン、イーリンさんとメイユイ、それにツイファさんにミンリンさんを加えた7人。

回廊かいろう決戦に必要な木材について話し合う会議だ。もう、皆さんがなことには、何も言うまい……。

シーシは職人としてすでに限界まで節約してくれてる。これ以上は追い詰めるだけになるので呼ばなかった。

「それで、カツカツ足りるんじゃないかと思います。加えて囚人しゅうじん釈放しゃくほうし、地下牢の木格子きごうしも解体することを考えています」

さすがに、その場にいる全員が呆気あっけに取られた。

「第2城壁にある家屋かおくの解体は……?」

と、スイランさんがたずねた。

「はい。よく考えたんですけど、今、司空府しくうふの職人さんを危険にさらすのは得策とくさくじゃないと思いました。なにかあれば木材以上に、この作戦を実行できなくなります」

ツイファさんが、いつものまし顔で口を開いた。

「住民の仮設かせつ住宅じゅうたくを解体させてもらうというのは……?」

俺が反対するのを分かってて、聞いてくれた。ツイファさんのそういう所には感謝している。

「それは最後の手段に取っておきたいんです。まずは宮城きゅうじょうを解体すれば、こちらの覚悟かくごを住民や兵士に示すことが出来ます。いずれ解体せざるをなくなっても、協力してくれる気持ちが違うと思うんです」

「あの……」と、メイユイが小さく手を挙げた。強制的にビキニにつつまれたふくらみに、視線を持って行かれる位置に手を挙げるのはやめてほしい。

「どこまで解体するんでしょうか……?」

「うん。祖霊廟それいびょう司馬府しばふ司空府しくうふ司徒府しとふには手を付けない。真ん中の共用きょうよう部分、人が通るだけのロビーになってる部分だけ、壁を解体したい」

かこんでいる宮城きゅうじょうの図面に、んなが目を落とした。

「もちろん、メイユイの心配も分かる。宮城きゅうじょうの警備も大切だ。だから警備への影響が最小限に出来るような残し方や、補修ほしゅうを考えたくて、このメンバーに集まってもらった」

俺はツイファさんを見た。

「もちろん、リーファ姫の警備は最も重要です。そこに影響が出ないように考えたいと思っています」

ツイファさんはまし顔に微笑びしょうを浮かべて、小さくうなずいた。

「ここでたたき台を作って、重臣じゅうしん会同かいどうはかりたい。まずは可能かどうか、率直そっちょくな意見を聞かせてほしい」

「分かりました」

と、早速さっそく計算を始めたミンリンさんの目は輝いていて、んなが少し苦笑いした。新しい難問なんもんが楽しくてたまらないんだろう。

ひとつずつ課題を確認しながら、解体箇所かしょを決め、それでられる木材を書き出していく。

いずれ再建さいけんすることも視野しやに、装飾物そうしょくぶつ別途べっと保管することにした。

日が落ちても打ち合わせは続き、途中からシーシも加わって技術的な助言ももらう。

警備体制には、それとなくツイファさんも助言をしてくれる。【闇の者】の知見ちけんを感じて、思わずツイファさんの顔を見てしまう。

すると「内緒ないしょですよ♡」といった感じに、小さく舌を出した。めちゃくちゃキュート。ビキニ姿でそういうのやめて欲しい。まんまとドキッとしてしまった。

「ニシシ。こんな経験、二度と出来ないのだ」

と、シーシが笑った頃、宮城きゅうじょう解体計画がまとまった。

祖霊廟それいびょう司馬府しばふ司空府しくうふ司徒府しとふの4つの箱の上に、宮城きゅうじょう2階以上の箱が乗っかってるような形になる。これで、ギリギリカツカツ木材を確保かくほする目処めどが立った。

んなの目には、もう勝つしかないという決意が満ちているように見えた――。
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