181 / 297
179.雑念ミーティング(2)
しおりを挟む
片腕のニイチャンが指したのは、ツイファさんが「あと28日で16歳」と報告してくれた女子だった。
ニイチャンはバツが悪そうに話を続けた。
「俺は遊んでばかりで嫁さんに追い出されてな。娘のジンリーは口もきいてくれないんだけど、こんな時だ。せめて近くで見てたくてよ」
ジンリー。ツイファさんの報告でもその名前だった。呪符で熱湯を沸かしてくれてる職人の娘。途端に大浴場に来たら……、って想像してしまう。
いやいや、お父さんのいる横で何を想像してるんだ。
と、ニイチャンが残った左腕で俺の首を抱いた。
「ジンリーも、もうすぐ16だからよ。可愛がってやってくれよな? マレビト様」
「あ……、やっ……」
「はじめては純潔同士っていうのも、いいもんだぜ?」
と、横に座っていたアスマの顔がポンッと弾けるように赤くなった。
予想外の反応に、思わずニイチャンと顔を見合わせて笑ってしまった。こういう男子同士でワチャワチャする感じ、なんか久しぶりだ。
仮設住宅の補修作業を続けるジンリーの横顔を改めて見た。どこかニイチャンの面影がある気もする。
ジンリーが大浴場に来る28日後の頃には、食糧がほぼ尽きてる。
ミンリンさんの考案してくれた『回廊決戦』を、なんとしても成功させたい。
ニイチャンに無理はしないように伝えて、ミンリンさんの待つ司空府に向かった。
執務室に入ると既に各部署から選抜したメンバーも勢揃いしていた。
――ヤーモンも呼べば良かった。
と思ったのは、全員律儀にお色気大作戦を実行中だったからだ。
「こっち、こっち! マレビト様、早く座るのだ」
と、手招きするスポブラにショートパンツ姿のシーシは、やけに脇を見せてくる。
ざ、雑念しか湧かない……。
図面を囲む皆んなの輪に加わると、さっきまで訓練場にいたクゥアイが、スラリとしたドレス姿で座っていた。
普段、タンクトップにズボンのクゥアイを見慣れていたので、そこまで露出が多い訳でもないのにドキッとしてしまう。
――お、お色気大作戦が進化している。
「やはり第2城壁の城門が破られているのが問題です」
と、ミンリンさんが前屈みになって図面を指すと、緩く結ばれた布から胸元がストンと見える。
「伸ばした回廊で塞ぐのがてっとり早いのだ」
と言う、シーシはなぜ両腕を頭の上に組んで、脇を俺の方に向けて来るのか。
「城門は四方向とも破られています」
難しい顔をしたイーリンさんも、いつの間にかビキニ姿だ。小さな腰布を着けているのが逆に艶めかしい。
「回廊も四方向に伸ばして城門を塞がないと、第3城壁からどんどん人獣が入って来ちゃうかぁ……」
と言いながら、メイファンはしきりに横乳をアピってくる。
その隣では、ミンユーが服の胸の辺りだけ前をはだけて谷間を全開に出している。マジメさんにそんなことされると、生々しさが一層増してしまう。
「四方向同時となると、まずは木材の在庫が問題ですね」
と、ミンリンさんが司徒府に使いを出した。すぐに姿を見せたスイランさんとシャオリンは、皆んなを見て服を脱ぎ始めた。
用意してたようなシャオリンのビキニ姿はともかく、スイランさんの白くて透け感あるキャミソールはただの下着だ。恥ずかしそうにするなら、ミニなワンピのままにしとけばいいのに。
「そ……、そうですね……。かなりギリギリにはなるかと……。いや、足りませんね。仮に木材を全て回廊に回すと、毎晩使う矢の分が足りないと思います」
途中で気持ちを立て直したスイランさんの言葉に、クゥアイが唸った。
「うーん。外征隊を増やして四方向に矢を拾いに行くしかないですよね……」
ドレスのスリットから見える太ももに、きゅむっと手をはさまれたスベスベの感触を思い出してしまう。
「で、出来る?」
「うーん。イーリンさんが付いて来てくれてるから、なんとかなってるところもあるんですよね」
と、クゥアイがイーリンさんを見た。
「あと3人。剣士様って外征隊に加わってもらえるものでしょうか……?」
ニイチャンはバツが悪そうに話を続けた。
「俺は遊んでばかりで嫁さんに追い出されてな。娘のジンリーは口もきいてくれないんだけど、こんな時だ。せめて近くで見てたくてよ」
ジンリー。ツイファさんの報告でもその名前だった。呪符で熱湯を沸かしてくれてる職人の娘。途端に大浴場に来たら……、って想像してしまう。
いやいや、お父さんのいる横で何を想像してるんだ。
と、ニイチャンが残った左腕で俺の首を抱いた。
「ジンリーも、もうすぐ16だからよ。可愛がってやってくれよな? マレビト様」
「あ……、やっ……」
「はじめては純潔同士っていうのも、いいもんだぜ?」
と、横に座っていたアスマの顔がポンッと弾けるように赤くなった。
予想外の反応に、思わずニイチャンと顔を見合わせて笑ってしまった。こういう男子同士でワチャワチャする感じ、なんか久しぶりだ。
仮設住宅の補修作業を続けるジンリーの横顔を改めて見た。どこかニイチャンの面影がある気もする。
ジンリーが大浴場に来る28日後の頃には、食糧がほぼ尽きてる。
ミンリンさんの考案してくれた『回廊決戦』を、なんとしても成功させたい。
ニイチャンに無理はしないように伝えて、ミンリンさんの待つ司空府に向かった。
執務室に入ると既に各部署から選抜したメンバーも勢揃いしていた。
――ヤーモンも呼べば良かった。
と思ったのは、全員律儀にお色気大作戦を実行中だったからだ。
「こっち、こっち! マレビト様、早く座るのだ」
と、手招きするスポブラにショートパンツ姿のシーシは、やけに脇を見せてくる。
ざ、雑念しか湧かない……。
図面を囲む皆んなの輪に加わると、さっきまで訓練場にいたクゥアイが、スラリとしたドレス姿で座っていた。
普段、タンクトップにズボンのクゥアイを見慣れていたので、そこまで露出が多い訳でもないのにドキッとしてしまう。
――お、お色気大作戦が進化している。
「やはり第2城壁の城門が破られているのが問題です」
と、ミンリンさんが前屈みになって図面を指すと、緩く結ばれた布から胸元がストンと見える。
「伸ばした回廊で塞ぐのがてっとり早いのだ」
と言う、シーシはなぜ両腕を頭の上に組んで、脇を俺の方に向けて来るのか。
「城門は四方向とも破られています」
難しい顔をしたイーリンさんも、いつの間にかビキニ姿だ。小さな腰布を着けているのが逆に艶めかしい。
「回廊も四方向に伸ばして城門を塞がないと、第3城壁からどんどん人獣が入って来ちゃうかぁ……」
と言いながら、メイファンはしきりに横乳をアピってくる。
その隣では、ミンユーが服の胸の辺りだけ前をはだけて谷間を全開に出している。マジメさんにそんなことされると、生々しさが一層増してしまう。
「四方向同時となると、まずは木材の在庫が問題ですね」
と、ミンリンさんが司徒府に使いを出した。すぐに姿を見せたスイランさんとシャオリンは、皆んなを見て服を脱ぎ始めた。
用意してたようなシャオリンのビキニ姿はともかく、スイランさんの白くて透け感あるキャミソールはただの下着だ。恥ずかしそうにするなら、ミニなワンピのままにしとけばいいのに。
「そ……、そうですね……。かなりギリギリにはなるかと……。いや、足りませんね。仮に木材を全て回廊に回すと、毎晩使う矢の分が足りないと思います」
途中で気持ちを立て直したスイランさんの言葉に、クゥアイが唸った。
「うーん。外征隊を増やして四方向に矢を拾いに行くしかないですよね……」
ドレスのスリットから見える太ももに、きゅむっと手をはさまれたスベスベの感触を思い出してしまう。
「で、出来る?」
「うーん。イーリンさんが付いて来てくれてるから、なんとかなってるところもあるんですよね」
と、クゥアイがイーリンさんを見た。
「あと3人。剣士様って外征隊に加わってもらえるものでしょうか……?」
1
お気に入りに追加
553
あなたにおすすめの小説
クラスで一人だけ男子な僕のズボンが盗まれたので仕方無くチ○ポ丸出しで居たら何故か女子がたくさん集まって来た
pelonsan
恋愛
ここは私立嵐爛学校(しりつらんらんがっこう)、略して乱交、もとい嵐校(らんこう) ━━。
僕の名前は 竿乃 玉之介(さおの たまのすけ)。
昨日この嵐校に転校してきた至極普通の二年生。
去年まで女子校だったらしくクラスメイトが女子ばかりで不安だったんだけど、皆優しく迎えてくれて ほっとしていた矢先の翌日……
※表紙画像は自由使用可能なAI画像生成サイトで制作したものを加工しました。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える
ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─
これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。
男がほとんどいない世界に転生したんですけど…………どうすればいいですか?
かえるの歌🐸
恋愛
部活帰りに事故で死んでしまった主人公。
主人公は神様に転生させてもらうことになった。そして転生してみたらなんとそこは男が1度は想像したことがあるだろう圧倒的ハーレムな世界だった。
ここでの男女比は狂っている。
そんなおかしな世界で主人公は部活のやりすぎでしていなかった青春をこの世界でしていこうと決意する。次々に現れるヒロイン達や怪しい人、頭のおかしい人など色んな人達に主人公は振り回させながらも純粋に恋を楽しんだり、学校生活を楽しんでいく。
この話はその転生した世界で主人公がどう生きていくかのお話です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この作品はカクヨムや小説家になろうで連載している物の改訂版です。
投稿は書き終わったらすぐに投稿するので不定期です。
必ず1週間に1回は投稿したいとは思ってはいます。
1話約3000文字以上くらいで書いています。
誤字脱字や表現が子供っぽいことが多々あると思います。それでも良ければ読んでくださるとありがたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる