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143.歓迎されない生存者(2)

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「たぶん、北の蛮族ばんぞく携行けいこうする非常食ひじょうしょくかくし持ち、えをしのいでいたのではないかと……」

と、ホンファが報告してくれた。

上、ビキニ姿で。

ちょっとシリアスモードだったんで、唐突とうとつなビキニに動揺どうようしてれております……。

まんまとドキッとさせられてます。

「そ、そんな木の実があるんだ……」

「はい。北の蛮族の領域りょういきでしかれないので、滅多めったに見かけませんが、一粒ひとつぶ食べれば一日とか」

そんな、仙豆せんずみたいなの、すぐにでも欲しいですけどね。

「食事は? 食べてた?」

と、俺がシュエンに聞くと、ホンファがクスリと笑った。

「なによぉ。笑うことないでしょ?」

と、シュエンが口をとがらせて腕組うでぐみした。

髪色と同じ黄色の短いキャミソール姿で、胸の谷間が、ぷるんとり上がった。

「だって、シュエンさん。おかゆを食べようとしない北の蛮族に『へぇー、こわいんだ? 恐くて食べられないんだ? うわー、雑魚ざこっぽーい』ってクスクス笑いながらあおり続けるんですよ?」

「そんなこと言ったって、あいつら、普通にすすめても食べそうになかったじゃない」

「それから、『ガツガツ食べちゃうんだ? へぇー、ゆっくり食べられないんだ? 雑魚っぽいお口ーっ』って」

と、思い出し笑いがえ切れなくなったホンファはププーッとき出した。

「何も食べてなかったのに、急にガツガツ食べたら死んじゃうでしょ」

「そ、そうですけど……。プププッ」

「もう! 笑い過ぎよ」

「だって、3人に1人ずつ同じことやっていくんですよっ! 私もう、笑いをこらえるのに必死だったんですから」

ホンファは笑い死にしそうな勢いだけど、とりあえず褐色女子かっしょくじょしたちはシュエンのかゆを食べてくれたようだ。

そして、

「しばらく、世話せわを見てやってくれない?」

という、俺の言葉にシュエンとホンファは顔を見合わせた。

やがて、シュエンがおそおそるといったテイで口を開いた。

「マレビト様はたすけたいの? 北の蛮族ばんぞくなのに……?」

少し考えてからこたえた。

「うん。やっぱりあんなに弱ってる人を見過みすごせないよ」

「……分かりました! 精一杯せいいっぱい、お世話します」

と、シュエンは頭を下げ、ホンファもそれに続いた。

ビキニのホンファとキャミソールのシュエンは、望楼ぼうろうりて行った。

……か、階段に、服を脱いで来たのかな?

シアユンさんと2人に戻ってから、「衛士えいしにも丁寧ていねいあつかいをするよう、指示しておいてもらえますか?」と、お願いした。

シアユンさんは、いつもの氷の女王スマイルで「かしこまりました」と、頭を下げてくれた。

いつにもして、考えてることが読めない。

……ご、ご不満ですか?

と、思ったけど聞かずにおいた。

やがて、夜明け前にメイユイが姿を見せた。髪色と同じ緋色ひいろのビキニ姿で。

……このは、本当に着てるもので胸のサイズが全然違って見える。

今は、ばいんって感じ。

ど、どういう仕組しくみなんだろう……。

「マレビト様にもお聞きいただいて問題ありません。そのまま、報告してください」

と、シアユンさんがメイユイに言う。

「はい……。出来る限り調べたのですが、あの北の蛮族3名を捕らえた当時の衛士は1人も残っておらず、詳細しょうさいは分かりませんでした」

「そうですか」

「ただ、戦闘中ですがフェイロン様がお話を聞かせてくださり『北の蛮族が侵入しんにゅうしていたが、抵抗ていこうしなかったので衛士だけで拘束こうそくした』という連絡が、衛士長えいしちょうから剣士長フェイロン様に入っていたようです」

「それって……」

と、思わず口をはさんでしまった。

「特に悪いことはしてないけど、からつかまえたってこと?」

返事に困るメイユイに代わって、シアユンさんが答えた。

捕まえます」

「そうか……」

シアユンさんはメイユイに報告の続きをうながす。

「いつごろのことか、フェイロン様におうかがいすることは出来ましたか?」

と、シアユンさんの口調は優しいけど、太保たいほの役職に相応ふさわしい威厳いげんも含まれているように感じた。

「はい。人獣じんじゅうが現れる前日のことだったそうです」
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