【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

136. 新しい段階の大浴場(3)

「皆みなさんの話を聞くうち、私は考えを改めました」

と、スイランさんは言った。

泡あわだらけに触ふれ合う肌は、以前に比べて俺の背中に身みを預あずけるように滑すべっていく。

――くにゅ（下）。

「私は召喚されたばかりの時のマレビト様より、事情も状況じょうきょうもよく分かっており、挑戦ちょうせんさせていただかないのは失礼しつれいだという結論けつろんに、私の中で至いたりました」

「そう言っていただけると……」

まったく不親切ふしんせつな異世界召喚いせかいしょうかんで、白い光に包まれたと思ったら訳わけも分からず異世界ここに立たされていたことを思い出し、少し苦笑にがわらいを交まじえてしまった。

――くにゅ（上）。

「知らない国、知らない土地、知らない人間の中に放ほうり出された、マレビト様……」

チュートリアルらしきものは、大浴場ここで2人、湯に浸つかりながら全裸ぜんらのシアユンさんに顔を赤くして聞いた話だけだった。あとは、だいたい自分の足で聞いて回ったことも思い出す。

――くにゅ（下）。

「それでも、マレビト様はいつも前向きに私たちを導みちびいてくださいました。そのマレビト様にお仕つかえできることは、望外ぼうがいの幸せです。そう考えられるようになりました」

「……ありがとうございます」

俺の歩あゆみのすべてを認みとめてもらえたようで、胸の奥の方がキュッと嬉うれしくなる。

――くにゅ（上）。

「浅学非才せんがくひさいの身みに余あまる重いお役目やくめですが、謹つつしんで挑戦ちょうせんさせていただきます」

と言うと、スイランさんは俺の背中から離れた。

大夫たいふなどの貴族階級きぞくかいきゅうも部下に持つことになる。軋轢あつれきもあるだろう。大きな挑戦を決断けつだんしてくれ……。

って、スイランさん？

「挑戦させていただきます」

と、ほどよいサイズ感の膨ふくらみを左腕に押し当ててきた。

というか、左腕に抱だき着つかれた。

スイランさんのサイズじゃ、はさむ感じにならないですもんねー、失礼ながら。

って、泡あわだらけで抱だき着ついたスイランさんが、身体からだ全体ぜんたいを上に下に滑すべらせ始めた。

……い、いや、これ。手の甲こうがお腹なかの下の方に当たってますし。

少し頬ほほを赤くしたスイランさんは、いたって真面目まじめな表情で上に下に滑すべってる。

そんな、なにもかも挑戦しなくて良くないですか……？

思い切り抱き着いてる結果けっか、下に滑るときには腕に25歳とは思えない可愛かわいらしい顔も当たる。それはそれでドキィってなる。

上に滑るとお腹なかの下の方に手が当たって、時々ときどき、太ももが指先ゆびさきに触ふれてくる。

これは、たまらん気恥きはずかしい……。

少し泡のついた幼い顔立ちは、一生懸命さもあいまって、いつにも増して可愛らしい。

ふと、大浴場の中を見回みまわすと、シーシやクゥアイなど控え目チームが、ほうほうという顔でこっちを見ている。

お、おいっ。

や、やる気だな……。

自分たちもやる気だな……。

って、シアユンさん？ すごく感銘かんめい受けた感じになってますけど、自分でやったら絶対また、全身真まっ赤かになりますよね？

なんか……、大浴場こっちでまで新しい段階に入る必要はないと思うんスけど……。