【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

128.動き出す気持ち(1)

日が落ち、望楼ぼうろうで戦況せんきょうを見守りつつも、シアユンさんと善後策ぜんごさくを話し合う。

最高幹部【三卿さんきょう一亭いってい】の罪つみとなれば、本来は城主が裁さばく。

それは今、……俺だ。

これまで頼りにしてきた４人の最高幹部のうちの１人が罪を犯おかしていた。

剣士府けんしふで演説したときも、４人に並んでもらうことで説得力が増した。剣士さんたちに話を聞いてもらえた。

そのうちの１人が欠かける。

残された同格どうかくの３人に、どう伝え、どう協力を仰あおぐか。

誰に何を伝え、誰に何を頼めばいいのか。城内の動揺どうようを最小限さいしょうげんに抑おさえるには？

シアユンさんと話し続けた。

夜が明けても結論けつろんは出ず、大浴場に向かう。

打ち合わせと相談を続けるため、シアユンさんが俺の後ろに膝ひざを突ついた。

――ふぁ。

うぉぅ。

泡あわだらけのシアユンさんの感触かんしょくは、今まで誰からも感じたことのないようなものだった。

そ、そうだった。話に夢中むちゅうで忘れてたけど、シアユンさんは初めて……。

――ふぁ（下）。

なんだか包つつみ込こまれるような……。

――ふぁ（上）。

全身が、ぞくぞくっとして思わず振り返ると、真まっ赤か。全身ぜんしん、真まっ赤か。

――ふぁ（下）。

いや。打ち合わせ、無理ですよね？

――ふぁ（上）。

むしろ、なんで出来ると思ったんですか？

――ふぁ（下）。

スレンダーなシアユンさんなので、左腕はツイファさん、右腕はユーフォンさんに包まれた。

シャオリンの様子や、宮城きゅうじょう内の様子に特に大きな変化はないと報告を受ける。

いまだに、それをはさんでやる必要性ひつようせいはよく分からない。彼女たちなりの頑張りを受け入れて心の中で応援してるしかない。顔を赤くしながら。

湯船ゆぶねに浸つかると、皆みながいるので機密事項きみつじこうは話せない。

むしろ、温かい湯に浸つかって、ようやく一息ひといき吐ついた感がある。

目を瞑つむって、大きく息を吐はき出だした。

染しみる。

季節きせつが秋に向かい始めてる。それは、夜が長くなるってことでもある。

あの緊張の連続が続く戦場が、１分でも短いに越したことはないけど、少しずつ日没は早くなって日の出は遅くなってる。

北の辺境へんきょうにあるというこの城の冬は、きっと厳きびしい。

今考えても仕方ないけど、冬に獲とれる作物はあるんだろうか？

農民だと言った村長むらおさのフーチャオさん。

今晩も兵士を督励とくれいして、城壁を駆かけ回まわってくれてた。

ミンリンさんが作ってくれた荷運にはこび櫓やぐらのお陰かげで、フーチャオさんも四方しほうすべての城壁を昇のぼり降おりしやすい。

とはいえ、大変な負担ふたんだ。

課題かだいは山積さんせきだ。

寝室に戻もどりひと眠りしていると、扉とびらを小さくノックする音で起こされた。

「……マ、マレビト様？ 起きておられるか？」

フェイロンさんの声だった。

ウ、ウンランさんのことが、バレたかな……？