122 / 297
121.呪力の発現(1)
しおりを挟む
「出来ることは全部やろうとされるマレビト様に、私たち、とてもとても感銘を受けてきたんです!」
と、ユーフォンさんが言った。
ビキニ姿で正座して並ぶ皆も、頷いている。
「だから、私たちも自分に出来ることは、全部やろうって思ったんです!」
そ、その結果が【お色気大作戦】ですか……。
いや、頑張ってる人は応援したいタチだし、出来たら応援してあげたいけど、頑張りの方向性が斜め上というか……。
「だって、私たちと子供つくらないと、マレビト様の呪力が発現しないでしょう?」
……。
……。
……。
……え゛?
……なにそれ? 聞いてない。
シアユンさんの慌てた様子から、本当なんですね。
え? 待ってたら、いつか発現するんじゃなかったの?
「……あれ?」
と、ユーフォンさんが小声で言った。
「私、なにかマズいこと言った……?」
シアユンさんが、咳払いをして姿勢を正した。
その紅い瞳を真っ直ぐ見詰めた。
「か、隠してました……?」
「結果的には、そう受け取られても仕方ありません。ご不快に思われたなら、申し訳ありません」
「知らなかったんだ……」
と、ツイファさんが驚いた様子で呟いた。
「も、もちろん、訳があるんですよね?」
「はい」
と、シアユンさんは俺から目を逸らすことなく応えた。
「聞いてもいいですか?」
「はい。マレビト様から子種を授かり、純潔の乙女が身籠ることで、マレビト様と祖霊が縁で結ばれ、呪力が発現するのは事実でございます」
「え? 祖霊さんと親戚になったから、力貸すよみたいなことですか?」
「そ、そのように考えたことはございませんでしたが、概ね、その通りなのではないかと」
「な、なるほど……」
「初代マレビト様は76人もの子を儲けられ、その度に呪力を増されたと伝わります」
……ただの女好きじゃなかったのか。いや、女好きではあったんだろうけど。
「しかし、3代マレビト様を召喚した時、ある事実が判明するのです」
と、言いますと……?
「司徒のウンラン様が初代様の系譜に連なり子爵の爵位を持たれているように、マレビト様の子孫の多くは貴族になります。そのため、3代マレビト様を召喚した際、当時の貴族たちが競って自分の娘を捧げました」
貴族がマレビトの血統を独占しようとしたってことか。
「しかし、子を為しても呪力を発現しなかったのです」
「どういうことですか……?」
「イヤイヤだったのです、3代様が。特に好きでも好みでもない娘を押し付けられ、気乗りしないままヤることヤっても、祖霊と縁は結ばれなかったのです。つまり、ヤリ損、ヤラレ損になったのです」
と……、時々、生々しい表現使いますよね? シアユンさん。
「その後、3代様自らが望まれた純潔の乙女に子種を授けることで、無事に祖霊と縁が結ばれ、呪力を発現されたと伝わります」
「それって、発現の条件を知ってようが知っていまいが、俺が望まない限り、結果的に一緒ってことですよね……」
「仰る通りです」
……。
ガ……。
ガビーン。
と、ユーフォンさんが言った。
ビキニ姿で正座して並ぶ皆も、頷いている。
「だから、私たちも自分に出来ることは、全部やろうって思ったんです!」
そ、その結果が【お色気大作戦】ですか……。
いや、頑張ってる人は応援したいタチだし、出来たら応援してあげたいけど、頑張りの方向性が斜め上というか……。
「だって、私たちと子供つくらないと、マレビト様の呪力が発現しないでしょう?」
……。
……。
……。
……え゛?
……なにそれ? 聞いてない。
シアユンさんの慌てた様子から、本当なんですね。
え? 待ってたら、いつか発現するんじゃなかったの?
「……あれ?」
と、ユーフォンさんが小声で言った。
「私、なにかマズいこと言った……?」
シアユンさんが、咳払いをして姿勢を正した。
その紅い瞳を真っ直ぐ見詰めた。
「か、隠してました……?」
「結果的には、そう受け取られても仕方ありません。ご不快に思われたなら、申し訳ありません」
「知らなかったんだ……」
と、ツイファさんが驚いた様子で呟いた。
「も、もちろん、訳があるんですよね?」
「はい」
と、シアユンさんは俺から目を逸らすことなく応えた。
「聞いてもいいですか?」
「はい。マレビト様から子種を授かり、純潔の乙女が身籠ることで、マレビト様と祖霊が縁で結ばれ、呪力が発現するのは事実でございます」
「え? 祖霊さんと親戚になったから、力貸すよみたいなことですか?」
「そ、そのように考えたことはございませんでしたが、概ね、その通りなのではないかと」
「な、なるほど……」
「初代マレビト様は76人もの子を儲けられ、その度に呪力を増されたと伝わります」
……ただの女好きじゃなかったのか。いや、女好きではあったんだろうけど。
「しかし、3代マレビト様を召喚した時、ある事実が判明するのです」
と、言いますと……?
「司徒のウンラン様が初代様の系譜に連なり子爵の爵位を持たれているように、マレビト様の子孫の多くは貴族になります。そのため、3代マレビト様を召喚した際、当時の貴族たちが競って自分の娘を捧げました」
貴族がマレビトの血統を独占しようとしたってことか。
「しかし、子を為しても呪力を発現しなかったのです」
「どういうことですか……?」
「イヤイヤだったのです、3代様が。特に好きでも好みでもない娘を押し付けられ、気乗りしないままヤることヤっても、祖霊と縁は結ばれなかったのです。つまり、ヤリ損、ヤラレ損になったのです」
と……、時々、生々しい表現使いますよね? シアユンさん。
「その後、3代様自らが望まれた純潔の乙女に子種を授けることで、無事に祖霊と縁が結ばれ、呪力を発現されたと伝わります」
「それって、発現の条件を知ってようが知っていまいが、俺が望まない限り、結果的に一緒ってことですよね……」
「仰る通りです」
……。
ガ……。
ガビーン。
2
お気に入りに追加
553
あなたにおすすめの小説
クラスで一人だけ男子な僕のズボンが盗まれたので仕方無くチ○ポ丸出しで居たら何故か女子がたくさん集まって来た
pelonsan
恋愛
ここは私立嵐爛学校(しりつらんらんがっこう)、略して乱交、もとい嵐校(らんこう) ━━。
僕の名前は 竿乃 玉之介(さおの たまのすけ)。
昨日この嵐校に転校してきた至極普通の二年生。
去年まで女子校だったらしくクラスメイトが女子ばかりで不安だったんだけど、皆優しく迎えてくれて ほっとしていた矢先の翌日……
※表紙画像は自由使用可能なAI画像生成サイトで制作したものを加工しました。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える
ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─
これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前。でも……。二人が自分たちの間違いを後で思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになる。
のんびりとゆっくり
恋愛
俺は島森海定(しまもりうみさだ)。高校一年生。
俺は先輩に恋人を寝取られた。
ラブラブな二人。
小学校六年生から続いた恋が終わり、俺は心が壊れていく。
そして、雪が激しさを増す中、公園のベンチに座り、このまま雪に埋もれてもいいという気持ちになっていると……。
前世の記憶が俺の中に流れ込んできた。
前世でも俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前になっていた。
その後、少しずつ立ち直っていき、高校二年生を迎える。
春の始業式の日、俺は素敵な女性に出会った。
俺は彼女のことが好きになる。
しかし、彼女とはつり合わないのでは、という意識が強く、想いを伝えることはできない。
つらくて苦しくて悲しい気持ちが俺の心の中であふれていく。
今世ではこのようなことは繰り返したくない。
今世に意識が戻ってくると、俺は強くそう思った。
既に前世と同じように、恋人を先輩に寝取られてしまっている。
しかし、その後は、前世とは違う人生にしていきたい。
俺はこれからの人生を幸せな人生にするべく、自分磨きを一生懸命行い始めた。
一方で、俺を寝取った先輩と、その相手で俺の恋人だった女性の仲は、少しずつ壊れていく。そして、今世での高校二年生の春の始業式の日、俺は今世でも素敵な女性に出会った。
その女性が好きになった俺は、想いを伝えて恋人どうしになり。結婚して幸せになりたい。
俺の新しい人生が始まろうとしている。
この作品は、「カクヨム」様でも投稿を行っております。
「カクヨム」様では。「俺は先輩に恋人を寝取られて心が壊れる寸前になる。でもその後、素敵な女性と同じクラスになった。間違っていたと、寝取った先輩とその相手が思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになっていく。」という題名で投稿を行っております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる