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98. 発想柔らか大浴場(2)

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思えば、最初に身体からだを押し当ててきて、俺の背中をのはメイファンだった。

「え――? だって、こうした方が2人同時どうじに洗えて効率こうりついいでしょ?」

と答えた、メイファンのにこやかな笑顔は忘れられないし、最初の「むにゅん」っという感触かんしょくも全く忘れらずに背中に残ってる。

そのメイファンが、右腕のひじからさきあわだらけひじから上を同じく泡だらけのミンユー小刻こきざみに上に下にすべってる。

メイファンさん。発想はっそう柔軟じゅうなんすぎます。

左腕ではミンリンさんが、ゆっくりゆっくり丁寧ていねいに滑ってて、左右のテンポの違いが、やわらかな感触かんしょく余計よけい生々なまなましく感じさせてくるような気がする。

メイファンは楽しそうだし、ミンユーとミンリンさんはほほを赤らめている。

俺の顔もになってるのが、自分でも分かる。頭がポンッとぜそうになったとき、ニコニコと俺を見てるクゥアイに気が付いた。

……き、き、君は、どういう気持ちで、ニコニコ見てるの?

と、思ったけど、限界げんかいスレスレの気恥きはずかしさを、クゥアイに見透みずかされたくない気持ちもき上がって、たどたどしく話しかけてしまった。

「お、お祖母ばあさんは……、何か言ってた……?」

「はい!」

と、クゥアイは満面まんめんみのまま、さらにクンッと胸をってこたえた。

「すごくめてくれました!」

「そ、そうなんだ……」

「はい! やっぱり心配で、私の顔を見たらいちゃってましたけど、マレビト様のおやくったねって、えらえらいってめてくれました! ……私、役に立ってますよね?」

と、クゥアイが少し上目遣うわめづかいになって、俺に聞いてきた。

「う、うん。もちろんだよ! クゥアイの槍がなかったら、こんなに上手くいかなかったかもしれない」

「そうですか? ……えへへっ」

「昼間の訓練くんれんでも男の人チンピラたちに槍を指導しどうしてくれたのは、クゥアイだったしね。男の人チンピラたちが無事ぶじ帰ってこれたのもクゥアイのおかげかもしれない。ほんとに感謝かんしゃしてるよ。ありがとう」

「えへへ。そんな、れちゃいますよぉ」

と、クゥアイはほほを赤らめてをよじった。

照れるポイントは、他にもあるのではないかと思ったけど、言わない。

「じゃ、私は湯船ゆぶねかって来ますね!」

「うん。しっかり、身体からだやすめて」

「はい! しっかり休んで、今晩も頑張りますねっ!」

と、クゥアイは湯船の方にけて行った。お風呂で走らないという文化は、日本だけのものなんだろうか? いや。単純たんじゅんすべったらあぶないからのハズで、国柄くにがらは関係ないよね。

クゥアイのプルッと引きまったお尻がはずむのをながめながら、そんなことを考えてた。

「マ、マレビト様……」

と、右腕のひじから上をいるミンユーが言った。

近っか!

結果的けっかてきに、俺の顔の真横まよこに、ミンユーの顔があった。その下では、泡だらけでるし……。
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