【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

17.純潔乙女会議(1)

ギュウギュウに詰つめ込こまれた異世界女子じょしたち。寝ねぼけ眼まなこに数えて、おおよそ40人くらい。広いと思ってた俺の部屋だけど、高校の１ひとクラス分くらいだったか。

色とりどりカラフルな髪色の女子たちは腰を降ろして、椅子いすに座らされた俺と、俺の斜ななめ前に立つシアユンさんを不安げな視線で見詰みつめてる。

シアユンさんは感情の読めない冷たく澄すんだ紅あかい瞳ひとみを伏ふし目めがちにして、気品きひんに満みちた佇たたずまいで静かに立っている。

――どうしてこうなった？

日没にちぼつから夜明よあけまで、凶暴きょうぼうな人獣じんじゅうの大群たいぐんを迎むかえ撃うつ剣士たちの血なまぐさい戦闘を宮城きゅうじょうの望楼ぼうろうから見守って、シアユンさんに背中を流してもらうと、精神的にヘトヘトだったらしい俺は、すぐに眠りに落ちた。

といっても、刺激の強すぎる出来事ばかりで緊張が解ほどけないのか、夢か幻まぼろしか分からないような画えが頭に浮かび続けて、ずっと微睡まどろんでいるような状態だった。

腹のあたりに触ふれる柔やわらかな感触かんしょくに気が付いて首を少し起こすと、ぼんやりした視界に飛び込んできたのは、鮮あざやかな緑みどり色。

――緑色？

と、思って目を凝こらすと、頬ほほを赤らめて俺の上で四よつん這ばいにのしかかっている女剣士のイーリンさんを、カーテン越ごしの朝日が薄明うすあかるく照らしてた。

「こ、子種こだねを授さずけていただきたく、参上いたしました……」

やっぱり、このパターンか――！ 無理。絶対無理。イーリンさん、スゴイ美人だし、腹を撫なでる感触も気になるけど、今は無理！

と、気持ちは反応してるんだけど、召喚しょうかん時差じさボケでほぼ徹夜てつや状態からの寝入ねいりばなだった頭が回らない。

俺のことを真まっ直すぐ見詰みつめるイーリンさんの、髪色と同じ澄すんだエメラルドグリーンの瞳から目を逸そらすと、腹にあたってたのはやっぱり、あの大きな胸！

頭が半分以上寝てるような状態だったので、自分がなにを話したのかよく覚えてないけど、どうにかこうにかどいてもらって体を起こした。

そのとき一瞬、下から見上げる形になったイーリンさんの胸の膨ふくらみが、……すごかった。ほぼ下着姿のような恰好で、細かなフォルムまでハッキリ目に焼き付いてしまったのを覚えてる。

頭も舌も回らないなりに一生懸命話はなして、イーリンさんにはそのままお帰りいただいた。……はず。

シアユンさんに事細ことこまかに説明したら同情どうじょうして泣かれたのが軽くトラウマになってて、ぼやかしながら話した。頬ほほを赤らめ恥ずかしそうだったイーリンさんの表情が、だんだん曇くもっていくことに、申し訳なく思ったのは覚えてる。

もう一度寝ねていたところをシアユンさんに起こされて、もう勘弁かんべんしてよと思っているところに、続々ぞくぞくと女子たちが部屋に入って来て、俺は椅子いすに座らされてる。

イーリンさんも、たくさんの異世界女子たちに混まじじって、浮うかない顔で少し離れたところに腰を降ろしてる。

頭はポケポケした状態のままで、女子高のクラスに転校してきたみたいなこの状況の意味がまったく分からない。シアユンさんに尋たずねようにも、氷の女王みたいな佇たたずまいでどうにも話しかけにくい。

異世界女子たちも皆みな無言むごんで、すっかり日の高くなった陽光ようこうで明るい部屋は静寂せいじゃくが支配してて、とても居心地いごこちが悪い。

なにがなんだか分からず、眠たくてゆらゆら揺ゆれてしまう体をなんとか支えながら座っていると、紫むらさきの長い髪をしたお姉さんが入って来て、シアユンさんに「これで全員です」と告つげて、自分も女子たちに混じって腰を降ろした。

「マレビト様……」

と、厳おごそかな調子で口を開いたシアユンさんが俺の方に向き直った。女子たち皆みなの視線も俺に集まってるのが分かる。

な、なにが始まるんですか――？