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28.たぶん、わたしは照れている

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身分をしめす爵位に対して、役職名である総督。

フェルスタイン王国では女性が爵位を継承した場合、結婚しているかに関わらず〈夫人〉の尊称で呼ばれるのだけど、

やはり〈総督夫人〉は、おかしいのではないか? という意見が優勢となり、

わたしは、


――ロッサマーレ総督カロリーナ・シュタール閣下。


つまり、男性総督と同様に〈総督閣下〉と呼ばれることになった。

男女同権的な意識のつよい現代日本で育ったわたしと、中世ヨーロッパ的乙女ゲームの世界で育ったわたしが、

心の中でふたりそろって、首を傾げた。


――カロリーナ様とか、カロリーナさんで良くない?


だけどまあ、王国の偉いさんたちが知恵を絞った結果だ。

わざわざ異議を唱え、波風たてるほどのことでもない。


「カロリーナ閣下!」

「はいっ!」

「カロリーナ閣下!」

「はいっ! わたしです!」

「カロリーナ総督閣下!」

「ひゃい!」

「もう一度ですわね」

「……はい」


と、リアに付き合ってもらい、呼ばれても照れたり、はにかんだりしない特訓だけはしておいた。

結構、役に立った。


フェルスタイン王国では初となる女性総督の誕生に、こまごまとした決めごとにまで修正が加えられていく。


「乙女の胸元に男性が手をかけるなど、厳粛であるべき式典に相応しくありませんわ」


との、王妃陛下のご意向で、

総督任命にあたり徽章を胸につけていただく儀礼は、国王陛下ではなく王妃陛下が行われることになった。


「カロリーナのおかげで、妾にも晴れがましいお役目をいただけましたわ」


と、微笑んでくださった王妃陛下。

2隻のカーニャ号の船員さんに女性が多いように、決して女性の社会進出ってヤツが遅れている訳ではない乙女ゲームの世界だけど、

王政の表舞台にも女性の出番が増えるのは、きっと好ましいことだ。


   Ψ


迎えた任命式当日の朝。

ビットに贈ってもらった純白のドレスを、リアに着せてもらう。

海で採れる宝石、大粒のパールが連なるウエストライン。

そこから広がるスカート部分がふわりと揺れる、プリンセスラインのドレスだ。

光沢のあるシルクオーガンジーは、まるで雲を纏っているよう。よく見ると、白銀のパール糸で刺繍された、ミカンの花を掲げた女神が静かに微笑んでいた。

バックスタイルは大きく開いたVネックで、繊細なレースに編み込まれたダイヤモンドが、散りばめられた星のようにキラキラと輝く。

そして、ホワイトゴールドのティアラがわたしの銀髪によく映え、

その中央にはロッサマーレの海を思わせるラピスラズリが、わたしの瞳とおなじマリンブルーに輝いている。


「……お綺麗ですわ、カロリーナ様」


と、リアが突然、目を潤ませてきた。


「もう……、急に感無量になるだなんて。ズルいわね、リア」

「まるでウェディン……」

「待ってリア。その先は言ったらダメよ」

「……えっ?」

「真っ白なドレスを着て、顔を真っ赤にしてたら、とても変だと思うのよ……」


ビットに贈られたドレスに身を包まれ、

まだ昨日のビットとのファーストキスの感触が、生々しく残るわたしに、

これ以上の刺激を、与えないでほしい。


ぺちっ。


と、額をひとつ叩いて、表情を引き締め、

王宮に与えられた控室から、リアにスカートの裾を持ってもらい、大広間へと向かう。

わたしのためだけに召集された、すべての高位貴族とその家族、王国騎士団および王国軍の将帥たち。

大理石でできた大広間の壁一面には、周辺諸国に伝わる神話の一場面が精緻な彫刻で描かれている。

そこにあらたに、ラヴェンナーノ帝国に伝わる神話の場面が加わった。

大広間を貫いて伸びる緋の絨毯を踏みしめ、正面の演壇へと向かう。

来賓席に座るビットが、


――このまま、僕のお嫁さんになる?


とでも言わんばかりに、わざとらしいウインクをしてきたので、イッとにくまれ笑いを返しておいた。


――ぜんぶ、ビットのおかげよ? でも、そのウインクはいまじゃないわ。……笑っちゃったらどうするのよ?


国王陛下と王妃陛下が待たれる演壇に登り、両陛下につづいてご列席のみな様に向けてカーテシーでご挨拶すると、おおきな拍手に包まれる。

かるく頭をさげたわたしの視界に入る、純白のスカート。

白地に白銀の糸で輝く刺繍、女神の掲げるミカンの花が目に入った。


――お母様のミカン畑を、わたしは守りたかっただけなのだ……。


ロッサマーレの入り江を〈天然の良港〉だと興奮して、ミカン畑を駆け降りたのが昨日のことのよう。

あれから3年。

身に過ぎた栄誉と地位と権限を、思いがけず手にすることになった。

だけど、


――来年もミカンの花に、見事に咲いてもらいたい。


という、わたしの奥深くに根差した決意を、忘れても揺るがせてもいけない。

姿勢をあげると、王族席で退屈そうにした、第2王子エリック殿下の顔が見えた。

その隣にはおもしろくなさそうな、ゾンダーガウ公爵令嬢だった第2王子妃セリーナ妃殿下の顔がならぶ。

おそらくふたりは、ゾンダーガウ公爵の失敗した陰謀の、すべては教えてもらっていない。


強烈なまでの――、脇役。


ざまあみろ、とさえ不憫すぎて言ってあげられない。

自分たちの結婚の裏でなにが起き、なにが終わったのか。なにも知らないままにふたりの結婚生活はつづいていく。

とても気の毒だけど、縁を結んだ以上はどうにか、ふたりだけの幸せを見つけてほしい。

騎士団の将帥席に座る副騎士団長コンラートの隣から、わたしを憧れの視線で見詰めるヒロイン、アマリアのように。


国王陛下から世襲総督への任命を宣言していただき、王妃陛下から胸に徽章をつけていただく。


ふたたび、わたしだけに向けられた拍手が、ひろくてたかい大広間を揺るがすようにひびき渡った。


わたしが所信を述べる段となり、

わたしは演壇に、副騎士団長コンラートを呼び上げた。


「総督としてロッサマーレをお預かりするにあたり、その責務をまっとうするため、騎士団、陸軍、そして海軍からなる〈総督軍〉の創設を宣言いたします」


おおぉ――――っ と、高位貴族のあげるどよめきが、大広間を埋め尽くす。

彼らが反応したのは〈海軍〉という言葉。

顔を青ざめさせたゾンダーガウ公爵が、歯ぎしりせんばかりの表情でわたしを睨みつけた。


「つきましては、フェルスタイン王国初となる海軍の提督に、国王陛下よりのご賛同も賜り、王国騎士団の副騎士団長コンラート・ヴァレーを任命いたします」


海軍のノウハウを持つ者は、フェルスタイン王国にはひとりもいない。

それならばいっそ――、

と、国王陛下と騎士団長閣下から内々にご賛同をとりつけ、

新妻アマリアに田舎暮らしをさせたがっていた、コンラートをスカウトした。

いまのところコンラートのひとり海軍だ。

ひとり提督となるコンラートには、ゼロから海軍をつくりあげてもらう必要がある。


――でもこれで、ゾンダーガウ公爵の陰謀は、完全に封じたわ。


高位貴族筆頭のお席から、クライスベルク前公爵閣下ご夫妻が、おおきな拍手を送ってくださった。

引退され無爵になられても、序列は筆頭。

そんな複雑な王都政界が、わたしに向いているとは、とても思えない。

お母様から受け継いだミカン畑を守るため、辺境ロッサマーレを発展させると心に誓い、わたしの任命式は幕を閉じた。


   Ψ


任命式が終わり、お父様とフィオナさんがビットをもてなすために、ちいさな晩餐会をひらいてくださった。

シュタール公爵家の本邸。

生まれ育った屋敷の馴染ある貴賓室で、ビットと並んで座るのはなんだか変な気分だ。

わたしの総督就任と、これまでの海上交易の発展におけるビットの協力に、お父様が謝辞を述べられる。

それに応えるビットも、ラヴェンナーノ帝国の皇太子に相応しい凛々しい表情を浮かべ、いつもの軽薄さが嘘のような、気品ある振る舞いを見せた。


――ふだんから、わたしにも見せてくれていいのよ?


と、内心では苦笑いしながら、わたしもお父様と一緒に、社交の礼儀に則った謝辞を述べる。


――カ~ニャ~! そんな水臭いこと言わないでよぉ~!?


とでも言いそうに、ビットの頬がピクッと動いたのには、すこしヒヤヒヤしたけど、

フェルスタインとラヴェンナーノ。

両国の要人が席をおなじくするのに相応しい、優美な晩餐会は滞りなく終る――、

はずだった。


「シュタール公爵閣下」

「なんですかな、皇太子殿下」

「僕は閣下のご令嬢、カロリーナ様と結婚し、妃に迎えたいと念願しております」

「……はあ!?」


心からの声が、盛大に漏れた。


「カロリーナ様……。いや、カーニャ」

「な、なによ……?」

「カーニャがロッサマーレ総督に就任し、ラヴェンナーノ帝国からみれば国家元首待遇になった」

「え、ええ。そうなるわね……」

「これで、僕がカーニャを皇太子妃に迎えるのに、帝国内での扱いでも完全に障害がなくなった」

「は……」

「国交のない国のご令嬢では、いくら僕たちが愛し合ってていても、帝国内で……」

「謀ったわねぇ~~~~っ!!!! ビットぉぉぉぉ~~~っ!!!!」

「え? え? ええっと? ……怒るところ?」

「むう……。そんなの……、聞いてなかったし……」

「あ、うん……。ごめん」

「軽い。軽いなぁ~。結婚したいからって、総督にする? 総督になろうとさせる?」

「あ、いや……、結婚は後付けというか……、いや、後付けでもないんだけど……」

「むうっ……」

「カーニャのミカン畑を守れる上に、僕も結婚出来ちゃうっていうか……」

「むうっ……」

「あ、あれ? 変だな、……こんなはずじゃなかったんだけどなぁ~?」

「むうっ……」


自分でも、なにに怒っているのかよく分からない。


たぶん、わたしは――、照れているのだ。


呆気にとられていたフィオナさんが、クスリと笑われた。


「もうすっかり、お似合いなのね。カロリーナ様と皇太子殿下は」

「い、いや、そんなんじゃ……」

「とても嬉しそうな顔をしていますよ? ……カロリーナは」


そして、お父様も苦笑いしながら口をひらかれる。


「皇太子殿下。わが自慢の愛娘カロリーナをお見初めいただくとは、お目が高い」

「あ、はい……」

「カロリーナにその気があるのなら、私が反対することはございません」

「ほ、ほんとうですか!?」

「お父様!?」

「しかし……、私としてはカロリーナにシュタール公爵家を継承してもらいたいのです」


ビットが、スッと怜悧な表情を浮かべた。


「……僕もそのつもりです」

「なんと……」

「ラヴェンナーノ帝国の歴史では、他国の女王を、女王のままに皇后として迎えた例もあります。僕の高祖母――ひいひいおばあさんがそうです」

「……なるほど」

「フェルスタイン王国におけるロッサマーレの総督、シュタール公爵家の継承……。貴国の国王陛下のご承諾は必要となるにせよ、ラヴェンナーノ帝国としてはまったく問題ありません」

「だ……、そうだよ? カロリーナ」


と、お父様はわたしを見詰められた。

すこし頬をあげて目をほそめた表情は、娘の成長を喜ばれているお顔だ。


「カロリーナが望むなら、国王陛下は私が三大公爵家の名にかけて、責任をもって説得しよう」

「……はい」

「この晩餐会は私的で非公式なものだが、皇太子殿下からこうまでハッキリと結婚を申し入れていただいたんだ」

「……はい」

「カロリーナの意志をお答えしないのは、失礼にあたるというものだよ?」


分かってますよ、分かってます。

正式な国交がひらかれたばかりの両国で、いきなり非礼を働きたいだなんて、わたしも思っていませんわよ?

ただ、わたしにも心の準備というものが……。

リアのワクワクした表情を尻目に、

わたしはスゥ――っと、おおきく息を吸い込んだ。

そして、ビットに向きなおり、お父様とお継母様をまえにした正式な求婚に答えるべく、口をひらいた――。
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