87 / 87
番外編
最終話.白騎士アメリアの鎮魂歌
しおりを挟む
太陽皇后であられた皇太后マダレナ陛下のご葬儀に、参列させていただきました。
聖都への埋葬を願われたマダレナ陛下は、
わたしたち白騎士に、最後まで気持ちを寄り添わせてくださったお方です。
白騎士千年の謎を解き明かし、ルシアをふつうの女の子に戻してくださいました。
それから5年と経たず、
大賢者インフィニト=ラミエル様、風の賢者ビビアナ様とも協力されて、
呪具〈大聖女の涙〉を、魔鉄製の鎧に埋め込むことに成功されました。
これにより、乙女の胎に埋め込まずとも、鎧を装着するだけで、白騎士の力を帝国の平和のために使えるようになりました。
それまで、乙女が白騎士となってから〈終焉〉を迎えるまでの期間は、10年から40年と個人差がありました。
おしなべて、大人しい気質の者ほど短期間で〈終焉〉を迎えるとされていましたが、最後までその働きが解明されることはありませんでした。
なぜなら、わたしを除く全員が、マダレナ陛下に解呪していただいたので、解明する必要がなくなったのです。
もう、帝国に白騎士は生まれません。
そして、マダレナ陛下は、白騎士のまま〈終焉〉を迎えたいというわたしの我儘を、快く聞き入れてくださいました。
「……でも、アメリアさん。よかったら理由だけ教えてくれない?」
「あの……」
「ええ」
「実は……」
「はい」
「わたし……」
「ええ」
「今年でちょうど、70歳でして……」
「あら、そう…………、えっ?」
「はははっ……」
「…………、えええっ!?」
マダレナ陛下も、そばに控えていた侍女長のベアトリス夫人も、きれいな二度見をされました。
無理もありません。
わたしこと、白騎士アメリアの容姿は、まるで少女のようです。
小柄で華奢で、あたまも小さく、手足がほそくて顔も可愛らしいです。
自分で言うのもなんですが、
わたしより美少女だと思ったのは、マダレナ陛下の元侍女、フリア殿だけです。
あれは、勝てません。
「たぶん……、ルシアが〈あるべき20代〉の姿を取り戻したみたいに……」
「あ、ええ……」
「わたし、解呪していただいたら、70歳のお婆ちゃんになっちゃうと思うんですよねぇ……」
「たぶん……。いえ、間違いなくそうね」
「それよりは、できたら可愛らしい姿のままで〈終焉〉を迎えたいなぁ~、なんて……、はははっ」
おもわず薄笑いをしてしまったわたしの手を、マダレナ陛下がガッシリと握られます。
さらに、ベアトリス夫人まで手を重ねてくださいました。
「わかる。わかるわ、アメリアさん」
「そ、そうですか……?」
「乙女心ね」
ベアトリス夫人も、コクコクうなずかれています。
「ははっ。……なかみは70歳のお婆さんなんですけどねぇ~。年甲斐もなく……」
「いいえ。女は何年生きようとも、心は乙女。美しく、可愛らしくありたいもの。この上ない実例を知れて、とても励まされましたわ」
「ははっ……」
「どうぞ、そのままの可愛らしいお姿のままでいてください」
白騎士だった乙女たちはみな解呪を望み、次々に〈あるべき30代〉〈あるべき40代〉の姿を取り戻していくなか、
わたしひとりだけが、
白騎士のままでいることを、特別にマダレナ陛下から許していただいたのです。
「これは……、アメリアさん。あなた、たまに秘湯の湯に浸かって過ごしてたら、永遠に死なないかもしれないわね……」
と、マダレナ陛下から告げられたのは、ほかの白騎士たちすべてが解呪されてから3年ほど経った頃です。
解呪成分が湧き出すエンカンターダスの秘湯に浸かり、日々を湯治気分で気ままに過ごしていたわたしの身体では、
呪具〈大聖女の涙〉による侵蝕が、完全に止まっていたのです。
「あはは……。まあ、それならそれで……」
「……そうね。アメリアさんがそれでいいなら、私に文句はないわ」
マダレナ陛下は、そう仰られてやさしく微笑んでくださいました。
やがて、わたしたちの〈カワイイ〉の師匠であるパウラ夫人が、
わたしのためだけに、魔鉄を織り込んだ可愛らしいお衣裳を開発してくださいました。
「うわぁ~! どれも素敵です!」
「アメリア。あなた美少女なんだから、胸を張って生きなさいよ!?」
「はいっ!」
「可愛らしく着飾って、まわりも自分も精一杯に楽しませないと、それはもう罪と言ってもいいわ!」
「はいっ! 師匠!」
「……いつまでも、可愛らしく生きてね。アメリア」
白騎士としての力を魔鉄で抑制し、制御しつつ、可愛らしいお衣裳も着られて最高の気分です。
ちなみに、衣裳部屋を増築しないといけないほどに贈っていただきました。
秘湯を訪れる平民たちにもそのことは布告されていましたので、わたしは大手を振って温泉街を歩けます。
当然、スリはいなくなりましたし、悪いことをする人は秘湯に近寄りません。
おかげで秘湯は大繁盛。
わたしは温泉まんじゅうを売るようになりました。大人気です。
味の工夫をするのが、楽しくてたまりません。サビアのはちみつを練り込んだものが一番人気になりました。
お客様の笑顔をみると、清々しい気持ちになります。
胎に呪具を埋め込まれて白騎士となったとき、わたしにこんな楽しい日々が訪れるとは、夢見ることすらできませんでした。
すべて、マダレナ陛下のおかげです。
Ψ
マダレナ陛下の埋葬が終わり、
女帝ヴィトーリア陛下が、わたしに声をかけてくださいました。
「……アメリアさんにご参列いただけて、皇太后陛下――母マダレナも、さぞお喜びのことでしょう」
「もったいないお言葉でございます」
父アルフォンソ陛下の金糸のようなハニーブロンドに、母マダレナ陛下の銀髪を、そのまま掛け合わせたような、
ヴィトーリア陛下の、透明感のあるホワイトブロンドが、草原の風に揺らされ輝いています。
スタイルのよい長身に端正なお顔立ちで、帝位にふさわしい凛々しく威厳あるお姿。
ご即位の後も、マダレナ陛下と同様に、わたしを丁重に扱ってくださいます。
「……マダレナ陛下は、誰よりも美しく、誰よりも賢く、誰よりも気高く、誰よりも慈悲深いお方でした……」
「わが母のことながら、アメリアさんの仰られる通りだと、朕も思います」
「マダレナ陛下より与えていただいたこの命……。きっと、後の世まで語り継いで参ります」
「ええ……、それはアメリアさんにしか出来ないこと。帝国の平和に捧げていただいたそのお身体。いつまでもこき使って申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします」
「わたしは最後にひと振り残った〈陛下の御剣〉にございます。ご遠慮なく、御用をお申し付けくださいませ」
「……心づよく思います」
目をほそめられたヴィトーリア陛下は、うしろに控えるおふたりの方へと顔を向けられました。
「コロール、ハファエラ」
「ははっ」
「なんなりと」
「朕の心残りは、母マダレナの存命中に太陽皇帝の尊号を受けられなかったことぞ」
「……心中、お察し申し上げます」
「帝国のために必要な功績は、父アルフォンソ陛下と、母マダレナ陛下とで、あらかた終わらせられてしもうた。……アメリアさんと並んで立つ母の墓前に、なにを誓えばよいものやら」
「ヴィトーリア陛下」
「なんだ、コロール?」
「帝国にはまだまだ生活に苦しむ民がおります。功績として派手さはなくとも、それこそが両陛下より残していただいた、大きな宿題ではないかと……」
「ははっ。さすがは〈慈悲のコロール〉だな。……コロールの申す通りである。しかと、心しよう」
コーラルピンクの髪を風に揺らし、穏やかに微笑むコロールは、白騎士だったルシアの娘です。
元白騎士たちはみな、もとのあるべき姿を取り戻した後、叙爵され、それぞれに穏やかな日々を送りました。
ですが、子どもに恵まれた元白騎士は、いちばん若かったルシアだけでした。
世界で唯一人〈白騎士の娘〉であるコロールは、幼いころから大変に慈悲深い娘でした。
母であるルシアが、公爵家としてのカルデロン家の廃絶を願ったため、
マダレナ陛下たってのご希望で、コロールはオルキデア家の家籍に入り、家督とカルドーゾ公爵位を継承しました。
マダレナ陛下一代で終わると思われていたオルキデア家ですが、
コロール・オルキデア公爵閣下のもと、群臣筆頭として、帝政で重きをなし、
貧民救済と子どもの教育に力を入れた施政を先導されています。
ちなみに、母ゆずりにバインッと、成長しています。ゆさゆさです。
母ルシアがエンカンターダスの秘湯に浸かりながら、日に日にバインッとなっていったときの、わたしたちが受けた衝撃ときたら……、
……マダレナ陛下のご葬儀の日に、思い起こすことではありませんでした。
ふと、ヴィトーリア陛下が片目だけをほそめ、眉を寄せられました。
「……とおく聖都に埋葬された母に、この先は気軽に会いに来ることも出来まい」
「恐れながら、マダレナ陛下のお心は常に、ヴィトーリア陛下のおそばにあられるかと存じます」
「そうか……。そうだな。ハファエラの申す通りであろう。……ただ、母の心は、太陽帝国にあるすべての者に寄り添っておられよう」
「仰せのとおりかと存じます」
ベアトリス夫人の長女ハファエラは、ヴィトーリア陛下への篤い忠誠心で知られています。
「いまの私があるのは、ぜんぶ、マダレナのおかげ」
というのが、ベアトリス夫人の口癖でした。
そのもとで育ったハファエラは、自然とヴィトーリア陛下に尽くすようになったと伝わります。
8年前に先立たれたベアトリス夫人は、死後もマダレナ陛下の側にあることを望まれ、先に聖都に埋葬されています。
臨終を迎えられる際には、わたしも呼んでいただきました。
「先に行って待ってるわね」
「……ベア」
「もう、泣かないの、マダレナ。あなたが来たとき何不自由ないように、向こうで準備しておくから」
「……うん」
「出来る侍女ですから」
「もう……。頼りにしてるわよ、ベア」
ベアトリス夫人は、マダレナ陛下に見守られるなか、安らかに旅立たれました。
風光明媚なだけでなにもない、聖都の草原。
数多くの白騎士が、この地で骨も残さずに〈終焉〉を迎えたのです。
彼女たちの魂の安らかならんことを祈られて、みずからこの地で眠ることを選ばれたマダレナ陛下と、
それに付き従われたベアトリス夫人。
ならんで立つ墓標が、おふたりの交わした比類なき友情を証しているかのようです。
おふたりの笑顔を、抜けるような青空に思い描き、ヴィトーリア陛下とハファエラに重ねました。
母ベアトリス夫人がマダレナ陛下の侍女長であったのと同様に、
ハファエラもまた、ヴィトーリア陛下の侍女長を務めています。
慈悲のコロールと、忠義のハファエラ。
太陽帝国に君臨する、女帝ヴィトーリア陛下の両翼。
それは、太陽帝国がはじめて迎えた女帝時代に相応しいお姿であると、みなが仰ぎ見ています。
10年前、太陽皇帝アルフォンソ陛下がお隠れになられました。
「ボクとマダレナは、離れていても気持ちがつながってるから大丈夫だよぉ~」
と、やわらかに微笑まれたアルフォンソ陛下のご遺体は、通例どおり帝都に埋葬されました。
あとを受けて、ヴィトーリア陛下がご即位され、女帝時代の幕が開きました。
その後、ベアトリス夫人が旅立たれ、ルシアが旅立ち、白騎士仲間たちがみんな旅立ち、パウラ夫人も旅立たれました。
わたしたちが初めてドレスを着せてもらった園遊会。
あの頃を知る者はわたしだけになり、エンカンターダスと帝都を通っては――白騎士の力を使えば一瞬です――、マダレナ陛下の話相手を務めさせていただきました。
やがて迎えた、パトリシア夫人の臨終の際には、わたしも立ち会わせていただきました。
ほそくなった息で、パトリシア夫人がマダレナ陛下にかけられた言葉が忘れられません。
「……また、姉妹になってくれる?」
マダレナ陛下は、フォレストグリーンの美しい瞳にいっぱいの涙をため、
パトリシア夫人の手を、つよく握りしめられました。
「あとから死ぬ私が、今度は妹になるわ」
「あら? ……それはステキね」
「そして、ジョアンをあなたに譲ってあげるの」
「…………いらないわね」
「あら? 成長したのね、パトリシア」
「すっかりお婆さんになって、いまから死のうって妹に、なに言ってるのよ?」
姉妹はクスクスと笑われ、そして、パトリシア夫人は楽しげに旅立たれました。
おひとりになられたマダレナ陛下。
夏になると〈陛下の庭園〉に咲き誇るサビアのひまわりを眺めては、
「あと、何回見られるかしらねぇ……」
と、往時を懐かしまれるかのように、いつも微笑んでおられました。
そして最後に、マダレナ陛下が穏やかに旅立たれました。
その直前、わたしはマダレナ陛下にいただいたペールピンクのドレスを着て、
ベッドに横たわられたマダレナ陛下に、お目通りさせていただきました。
「……アメリアさん。とっても、可愛らしいわ」
「マダレナ陛下のおかげです……」
「あら? そのドレスはパウラ様入魂の一作だったのよ? 私の手柄にしたら、パウラ様に怒られちゃうわ」
「ふふっ。……ほんとですね」
ふたりでクスクスと笑い、ドレスづくりのため、皇宮書庫に跳び上がって通った日々のことを語り合いました。
やがて、マダレナ陛下は枕元に置かれていた小瓶を、わたしに手渡してくださいます。
「解呪薬……。もし、アメリアさんが……、飽きたり、寂しくなったりしたら、……飲んで」
「……ありがとうございます」
「……ルシアさんが、だんだんバインッてなったみたいに、ゆっくりとあるべき、……最期に向かうと思うわ」
「分かりました。……大切に保管いたします」
「でも、アメリアさんの好きにしてくれたのでいいから。ずっと、見守ってくれてもいい。わたしたちのところに来てくれてもいい。……あなたたちは、自由なの」
それが、マダレナ陛下とわたしが、最後に交わした会話になりました。
マダレナ陛下。
帝国の平和のために捧げた、この身です。
きっと、わたしは平和を護り続けます。
すべてを破滅させるような白騎士の力が本当に必要なくなったと、
人間同士が争うことは、もう絶対に起きないんだと確信出来たその日には、
マダレナ陛下や、ルシアや、ベアトリス夫人や、みんなの側に行って、
またみんなドレスで着飾って、
きっとそちらでも開かれているに違いない、マダレナ陛下の園遊会に、
わたしも混ぜてもらいたいと思います。
きっと、みんな笑っています。
その日が来るのが、わたしは楽しみです。
おしまい
あとがき
本作の更新は以上となります。
最後までお読みいただきまして、ほんとうにありがとうございます!
正直なことを言えば、本作はある別の作品を書くための習作として企画しました。
白騎士とか聖女大戦とか無茶な設定を盛り込みまくったのも、ある意味「どこまで描けるかな?」という挑戦だったのですが、予想をはるかに超えるみな様に読んでいただくことができ、感激するとともに勉強にもなりました。
みな様、ほんとうにありがとうございました。
*ある別の作品は、年末くらいまでには公開できたらなと思ってます。
マダレナの旅は終わりましたが、次作もお読みいただけると大変うれしく思います。
また、感想もぜひぜひお聞かせくださいませ。
最後までお付き合いいただきまして、ほんとうにありがとうございましたm(_ _)m
聖都への埋葬を願われたマダレナ陛下は、
わたしたち白騎士に、最後まで気持ちを寄り添わせてくださったお方です。
白騎士千年の謎を解き明かし、ルシアをふつうの女の子に戻してくださいました。
それから5年と経たず、
大賢者インフィニト=ラミエル様、風の賢者ビビアナ様とも協力されて、
呪具〈大聖女の涙〉を、魔鉄製の鎧に埋め込むことに成功されました。
これにより、乙女の胎に埋め込まずとも、鎧を装着するだけで、白騎士の力を帝国の平和のために使えるようになりました。
それまで、乙女が白騎士となってから〈終焉〉を迎えるまでの期間は、10年から40年と個人差がありました。
おしなべて、大人しい気質の者ほど短期間で〈終焉〉を迎えるとされていましたが、最後までその働きが解明されることはありませんでした。
なぜなら、わたしを除く全員が、マダレナ陛下に解呪していただいたので、解明する必要がなくなったのです。
もう、帝国に白騎士は生まれません。
そして、マダレナ陛下は、白騎士のまま〈終焉〉を迎えたいというわたしの我儘を、快く聞き入れてくださいました。
「……でも、アメリアさん。よかったら理由だけ教えてくれない?」
「あの……」
「ええ」
「実は……」
「はい」
「わたし……」
「ええ」
「今年でちょうど、70歳でして……」
「あら、そう…………、えっ?」
「はははっ……」
「…………、えええっ!?」
マダレナ陛下も、そばに控えていた侍女長のベアトリス夫人も、きれいな二度見をされました。
無理もありません。
わたしこと、白騎士アメリアの容姿は、まるで少女のようです。
小柄で華奢で、あたまも小さく、手足がほそくて顔も可愛らしいです。
自分で言うのもなんですが、
わたしより美少女だと思ったのは、マダレナ陛下の元侍女、フリア殿だけです。
あれは、勝てません。
「たぶん……、ルシアが〈あるべき20代〉の姿を取り戻したみたいに……」
「あ、ええ……」
「わたし、解呪していただいたら、70歳のお婆ちゃんになっちゃうと思うんですよねぇ……」
「たぶん……。いえ、間違いなくそうね」
「それよりは、できたら可愛らしい姿のままで〈終焉〉を迎えたいなぁ~、なんて……、はははっ」
おもわず薄笑いをしてしまったわたしの手を、マダレナ陛下がガッシリと握られます。
さらに、ベアトリス夫人まで手を重ねてくださいました。
「わかる。わかるわ、アメリアさん」
「そ、そうですか……?」
「乙女心ね」
ベアトリス夫人も、コクコクうなずかれています。
「ははっ。……なかみは70歳のお婆さんなんですけどねぇ~。年甲斐もなく……」
「いいえ。女は何年生きようとも、心は乙女。美しく、可愛らしくありたいもの。この上ない実例を知れて、とても励まされましたわ」
「ははっ……」
「どうぞ、そのままの可愛らしいお姿のままでいてください」
白騎士だった乙女たちはみな解呪を望み、次々に〈あるべき30代〉〈あるべき40代〉の姿を取り戻していくなか、
わたしひとりだけが、
白騎士のままでいることを、特別にマダレナ陛下から許していただいたのです。
「これは……、アメリアさん。あなた、たまに秘湯の湯に浸かって過ごしてたら、永遠に死なないかもしれないわね……」
と、マダレナ陛下から告げられたのは、ほかの白騎士たちすべてが解呪されてから3年ほど経った頃です。
解呪成分が湧き出すエンカンターダスの秘湯に浸かり、日々を湯治気分で気ままに過ごしていたわたしの身体では、
呪具〈大聖女の涙〉による侵蝕が、完全に止まっていたのです。
「あはは……。まあ、それならそれで……」
「……そうね。アメリアさんがそれでいいなら、私に文句はないわ」
マダレナ陛下は、そう仰られてやさしく微笑んでくださいました。
やがて、わたしたちの〈カワイイ〉の師匠であるパウラ夫人が、
わたしのためだけに、魔鉄を織り込んだ可愛らしいお衣裳を開発してくださいました。
「うわぁ~! どれも素敵です!」
「アメリア。あなた美少女なんだから、胸を張って生きなさいよ!?」
「はいっ!」
「可愛らしく着飾って、まわりも自分も精一杯に楽しませないと、それはもう罪と言ってもいいわ!」
「はいっ! 師匠!」
「……いつまでも、可愛らしく生きてね。アメリア」
白騎士としての力を魔鉄で抑制し、制御しつつ、可愛らしいお衣裳も着られて最高の気分です。
ちなみに、衣裳部屋を増築しないといけないほどに贈っていただきました。
秘湯を訪れる平民たちにもそのことは布告されていましたので、わたしは大手を振って温泉街を歩けます。
当然、スリはいなくなりましたし、悪いことをする人は秘湯に近寄りません。
おかげで秘湯は大繁盛。
わたしは温泉まんじゅうを売るようになりました。大人気です。
味の工夫をするのが、楽しくてたまりません。サビアのはちみつを練り込んだものが一番人気になりました。
お客様の笑顔をみると、清々しい気持ちになります。
胎に呪具を埋め込まれて白騎士となったとき、わたしにこんな楽しい日々が訪れるとは、夢見ることすらできませんでした。
すべて、マダレナ陛下のおかげです。
Ψ
マダレナ陛下の埋葬が終わり、
女帝ヴィトーリア陛下が、わたしに声をかけてくださいました。
「……アメリアさんにご参列いただけて、皇太后陛下――母マダレナも、さぞお喜びのことでしょう」
「もったいないお言葉でございます」
父アルフォンソ陛下の金糸のようなハニーブロンドに、母マダレナ陛下の銀髪を、そのまま掛け合わせたような、
ヴィトーリア陛下の、透明感のあるホワイトブロンドが、草原の風に揺らされ輝いています。
スタイルのよい長身に端正なお顔立ちで、帝位にふさわしい凛々しく威厳あるお姿。
ご即位の後も、マダレナ陛下と同様に、わたしを丁重に扱ってくださいます。
「……マダレナ陛下は、誰よりも美しく、誰よりも賢く、誰よりも気高く、誰よりも慈悲深いお方でした……」
「わが母のことながら、アメリアさんの仰られる通りだと、朕も思います」
「マダレナ陛下より与えていただいたこの命……。きっと、後の世まで語り継いで参ります」
「ええ……、それはアメリアさんにしか出来ないこと。帝国の平和に捧げていただいたそのお身体。いつまでもこき使って申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします」
「わたしは最後にひと振り残った〈陛下の御剣〉にございます。ご遠慮なく、御用をお申し付けくださいませ」
「……心づよく思います」
目をほそめられたヴィトーリア陛下は、うしろに控えるおふたりの方へと顔を向けられました。
「コロール、ハファエラ」
「ははっ」
「なんなりと」
「朕の心残りは、母マダレナの存命中に太陽皇帝の尊号を受けられなかったことぞ」
「……心中、お察し申し上げます」
「帝国のために必要な功績は、父アルフォンソ陛下と、母マダレナ陛下とで、あらかた終わらせられてしもうた。……アメリアさんと並んで立つ母の墓前に、なにを誓えばよいものやら」
「ヴィトーリア陛下」
「なんだ、コロール?」
「帝国にはまだまだ生活に苦しむ民がおります。功績として派手さはなくとも、それこそが両陛下より残していただいた、大きな宿題ではないかと……」
「ははっ。さすがは〈慈悲のコロール〉だな。……コロールの申す通りである。しかと、心しよう」
コーラルピンクの髪を風に揺らし、穏やかに微笑むコロールは、白騎士だったルシアの娘です。
元白騎士たちはみな、もとのあるべき姿を取り戻した後、叙爵され、それぞれに穏やかな日々を送りました。
ですが、子どもに恵まれた元白騎士は、いちばん若かったルシアだけでした。
世界で唯一人〈白騎士の娘〉であるコロールは、幼いころから大変に慈悲深い娘でした。
母であるルシアが、公爵家としてのカルデロン家の廃絶を願ったため、
マダレナ陛下たってのご希望で、コロールはオルキデア家の家籍に入り、家督とカルドーゾ公爵位を継承しました。
マダレナ陛下一代で終わると思われていたオルキデア家ですが、
コロール・オルキデア公爵閣下のもと、群臣筆頭として、帝政で重きをなし、
貧民救済と子どもの教育に力を入れた施政を先導されています。
ちなみに、母ゆずりにバインッと、成長しています。ゆさゆさです。
母ルシアがエンカンターダスの秘湯に浸かりながら、日に日にバインッとなっていったときの、わたしたちが受けた衝撃ときたら……、
……マダレナ陛下のご葬儀の日に、思い起こすことではありませんでした。
ふと、ヴィトーリア陛下が片目だけをほそめ、眉を寄せられました。
「……とおく聖都に埋葬された母に、この先は気軽に会いに来ることも出来まい」
「恐れながら、マダレナ陛下のお心は常に、ヴィトーリア陛下のおそばにあられるかと存じます」
「そうか……。そうだな。ハファエラの申す通りであろう。……ただ、母の心は、太陽帝国にあるすべての者に寄り添っておられよう」
「仰せのとおりかと存じます」
ベアトリス夫人の長女ハファエラは、ヴィトーリア陛下への篤い忠誠心で知られています。
「いまの私があるのは、ぜんぶ、マダレナのおかげ」
というのが、ベアトリス夫人の口癖でした。
そのもとで育ったハファエラは、自然とヴィトーリア陛下に尽くすようになったと伝わります。
8年前に先立たれたベアトリス夫人は、死後もマダレナ陛下の側にあることを望まれ、先に聖都に埋葬されています。
臨終を迎えられる際には、わたしも呼んでいただきました。
「先に行って待ってるわね」
「……ベア」
「もう、泣かないの、マダレナ。あなたが来たとき何不自由ないように、向こうで準備しておくから」
「……うん」
「出来る侍女ですから」
「もう……。頼りにしてるわよ、ベア」
ベアトリス夫人は、マダレナ陛下に見守られるなか、安らかに旅立たれました。
風光明媚なだけでなにもない、聖都の草原。
数多くの白騎士が、この地で骨も残さずに〈終焉〉を迎えたのです。
彼女たちの魂の安らかならんことを祈られて、みずからこの地で眠ることを選ばれたマダレナ陛下と、
それに付き従われたベアトリス夫人。
ならんで立つ墓標が、おふたりの交わした比類なき友情を証しているかのようです。
おふたりの笑顔を、抜けるような青空に思い描き、ヴィトーリア陛下とハファエラに重ねました。
母ベアトリス夫人がマダレナ陛下の侍女長であったのと同様に、
ハファエラもまた、ヴィトーリア陛下の侍女長を務めています。
慈悲のコロールと、忠義のハファエラ。
太陽帝国に君臨する、女帝ヴィトーリア陛下の両翼。
それは、太陽帝国がはじめて迎えた女帝時代に相応しいお姿であると、みなが仰ぎ見ています。
10年前、太陽皇帝アルフォンソ陛下がお隠れになられました。
「ボクとマダレナは、離れていても気持ちがつながってるから大丈夫だよぉ~」
と、やわらかに微笑まれたアルフォンソ陛下のご遺体は、通例どおり帝都に埋葬されました。
あとを受けて、ヴィトーリア陛下がご即位され、女帝時代の幕が開きました。
その後、ベアトリス夫人が旅立たれ、ルシアが旅立ち、白騎士仲間たちがみんな旅立ち、パウラ夫人も旅立たれました。
わたしたちが初めてドレスを着せてもらった園遊会。
あの頃を知る者はわたしだけになり、エンカンターダスと帝都を通っては――白騎士の力を使えば一瞬です――、マダレナ陛下の話相手を務めさせていただきました。
やがて迎えた、パトリシア夫人の臨終の際には、わたしも立ち会わせていただきました。
ほそくなった息で、パトリシア夫人がマダレナ陛下にかけられた言葉が忘れられません。
「……また、姉妹になってくれる?」
マダレナ陛下は、フォレストグリーンの美しい瞳にいっぱいの涙をため、
パトリシア夫人の手を、つよく握りしめられました。
「あとから死ぬ私が、今度は妹になるわ」
「あら? ……それはステキね」
「そして、ジョアンをあなたに譲ってあげるの」
「…………いらないわね」
「あら? 成長したのね、パトリシア」
「すっかりお婆さんになって、いまから死のうって妹に、なに言ってるのよ?」
姉妹はクスクスと笑われ、そして、パトリシア夫人は楽しげに旅立たれました。
おひとりになられたマダレナ陛下。
夏になると〈陛下の庭園〉に咲き誇るサビアのひまわりを眺めては、
「あと、何回見られるかしらねぇ……」
と、往時を懐かしまれるかのように、いつも微笑んでおられました。
そして最後に、マダレナ陛下が穏やかに旅立たれました。
その直前、わたしはマダレナ陛下にいただいたペールピンクのドレスを着て、
ベッドに横たわられたマダレナ陛下に、お目通りさせていただきました。
「……アメリアさん。とっても、可愛らしいわ」
「マダレナ陛下のおかげです……」
「あら? そのドレスはパウラ様入魂の一作だったのよ? 私の手柄にしたら、パウラ様に怒られちゃうわ」
「ふふっ。……ほんとですね」
ふたりでクスクスと笑い、ドレスづくりのため、皇宮書庫に跳び上がって通った日々のことを語り合いました。
やがて、マダレナ陛下は枕元に置かれていた小瓶を、わたしに手渡してくださいます。
「解呪薬……。もし、アメリアさんが……、飽きたり、寂しくなったりしたら、……飲んで」
「……ありがとうございます」
「……ルシアさんが、だんだんバインッてなったみたいに、ゆっくりとあるべき、……最期に向かうと思うわ」
「分かりました。……大切に保管いたします」
「でも、アメリアさんの好きにしてくれたのでいいから。ずっと、見守ってくれてもいい。わたしたちのところに来てくれてもいい。……あなたたちは、自由なの」
それが、マダレナ陛下とわたしが、最後に交わした会話になりました。
マダレナ陛下。
帝国の平和のために捧げた、この身です。
きっと、わたしは平和を護り続けます。
すべてを破滅させるような白騎士の力が本当に必要なくなったと、
人間同士が争うことは、もう絶対に起きないんだと確信出来たその日には、
マダレナ陛下や、ルシアや、ベアトリス夫人や、みんなの側に行って、
またみんなドレスで着飾って、
きっとそちらでも開かれているに違いない、マダレナ陛下の園遊会に、
わたしも混ぜてもらいたいと思います。
きっと、みんな笑っています。
その日が来るのが、わたしは楽しみです。
おしまい
あとがき
本作の更新は以上となります。
最後までお読みいただきまして、ほんとうにありがとうございます!
正直なことを言えば、本作はある別の作品を書くための習作として企画しました。
白騎士とか聖女大戦とか無茶な設定を盛り込みまくったのも、ある意味「どこまで描けるかな?」という挑戦だったのですが、予想をはるかに超えるみな様に読んでいただくことができ、感激するとともに勉強にもなりました。
みな様、ほんとうにありがとうございました。
*ある別の作品は、年末くらいまでには公開できたらなと思ってます。
マダレナの旅は終わりましたが、次作もお読みいただけると大変うれしく思います。
また、感想もぜひぜひお聞かせくださいませ。
最後までお付き合いいただきまして、ほんとうにありがとうございましたm(_ _)m
590
お気に入りに追加
4,152
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(19件)
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
真面目くさった女はいらないと婚約破棄された伯爵令嬢ですが、王太子様に求婚されました。実はかわいい彼の溺愛っぷりに困っています
綾森れん
恋愛
「リラ・プリマヴェーラ、お前と交わした婚約を破棄させてもらう!」
公爵家主催の夜会にて、リラ・プリマヴェーラ伯爵令嬢はグイード・ブライデン公爵令息から言い渡された。
「お前のような真面目くさった女はいらない!」
ギャンブルに財産を賭ける婚約者の姿に公爵家の将来を憂いたリラは、彼をいさめたのだが逆恨みされて婚約破棄されてしまったのだ。
リラとグイードの婚約は政略結婚であり、そこに愛はなかった。リラは今でも7歳のころ茶会で出会ったアルベルト王子の優しさと可愛らしさを覚えていた。しかしアルベルト王子はそのすぐあとに、毒殺されてしまった。
夜会で恥をさらし、居場所を失った彼女を救ったのは、美しい青年歌手アルカンジェロだった。
心優しいアルカンジェロに惹かれていくリラだが、彼は高い声を保つため、少年時代に残酷な手術を受けた「カストラート(去勢歌手)」と呼ばれる存在。教会は、子孫を残せない彼らに結婚を禁じていた。
禁断の恋に悩むリラのもとへ、父親が新たな婚約話をもってくる。相手の男性は親子ほども歳の離れた下級貴族で子だくさん。数年前に妻を亡くし、後妻に入ってくれる女性を探しているという、悪い条件の相手だった。
望まぬ婚姻を強いられ未来に希望を持てなくなったリラは、アルカンジェロと二人、教会の勢力が及ばない国外へ逃げ出す計画を立てる。
仮面舞踏会の夜、二人の愛は通じ合い、結ばれる。だがアルカンジェロが自身の秘密を打ち明けた。彼の正体は歌手などではなく、十年前に毒殺されたはずのアルベルト王子その人だった。
しかし再び、王権転覆を狙う暗殺者が迫りくる。
これは、愛し合うリラとアルベルト王子が二人で幸せをつかむまでの物語である。
【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?
雨宮羽那
恋愛
元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。
◇◇◇◇
名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。
自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。
運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!
なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!?
◇◇◇◇
お気に入り登録、エールありがとうございます♡
※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。
※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。
※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜
梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーレットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。
そんなシャーレットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。
実はシャーレットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーレットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーレットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。
悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。
しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーレットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーレットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーレットは図々しく居座る計画を立てる。
そんなある日、シャーレットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
とても嬉しい感想をありがとうございます!とても励みになりました。
また、お心遣いいただきありがとうございますm(_ _)m
最後までお読みくださって、ほんとうにありがとうございました!
最終話、お疲れ様でした。仕事の休憩中に読んだので大変でした、涙腺が緩みまくってしまって…。この壮大なお話は、マダレナとアルフォンソ殿下の恋を軸に、色んな人達の愛の物語だったのだな…としみじみとしました。
散々モンスターだの怖いだの言ってしまいましたが最終的にパトリシアが好きになっている自分に気づいてしまい、これが人の心をたらし込む傾国の威力か、と慄いております。
ありがとうございます!
パトリシアを受け止めていただけたこと、とても嬉しいです!
最後までお読みいただきありがとうございました!
番外編の最終話を読ませて頂き
感涙です!!
走馬灯のようにマダレナの物語が
頭の中を駆けて行きました💕
すごーく
お気に入りの作品でした( ꈍᴗꈍ)
とても嬉しいです!
最後までお読みいただき、ありがとうございましたm(_ _)m