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番外編
フリア・アロンソの青春日記①
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月明かりの下、馬を走らせます。
――フリア。あなたに〈任務〉をお願いしているの。
マダレナ閣下が、わたしに託してくださった秘密の任務。
――エンカンターダスの山奥にある秘湯の湯を煮詰め、次の満月の晩までに帝都にお持ちする。
緊張する以上に、わたしに〈内緒話〉を託してくださった喜びがあふれます。
わたしはちいさな頃から、なぜか友だちの〈内緒話〉を聞かせてもらえません。
仲間はずれにされてる訳でもないし、ふだんは仲良く遊んでいるのに、
なぜか、わたしだけ知らない〈内緒話〉があるのです。
ずいぶん後になってから、
「あのときはねぇ~」
などと言って、教えてもらうこともあるのですが、
――〈あのとき〉じゃなくて〈そのとき〉に、教えてほしかったな……。
と、すこし寂しい思いをするのは、しょっちゅうです。
友だちの恋の話など、
――それならそうと、先に言っておいてよぉ~~~!!
と思うことが、よくありました。
――知ってたら、応援してあげられたのにな……。
わたしがそう思ったときには、すっかり話が終わっていて、失恋の痛手からも立ち直っていたりするのです。
慰めの言葉をかけることさえできません。
なのに、ふだんはみんなと仲良しです。
わたしは平民の生まれです。サビアの市街を、友だちと一緒に駆けて育ちました。
嫌われている雰囲気もないし、のけ者にされてる気配も感じません。
むしろ大切にされてると感じるほどです。
〈ひまわり城〉のメイドになってからもそうです。
メイド長にも、メイドの先輩方からも、とてもよくしていただきました。
忘れもしませんが、ある天気のいい夏の日の午後。日差しの射し込む廊下を、シーツを運んで歩いていると、
「うふふふふふふふふふ――……」
と、妖しく笑うふたりの美女に両脇を抱え込まれ、部屋に連れ込まれてしまったときのことです。
怯えて床に転がるわたしを見下ろす、背の高い美女ふたりは、新任の伯爵閣下とその侍女様でした。
――嗚呼……。わたし、成り上がりの貴族に、慰み者にされてしまうんだ……。
と、世を儚なんだものです。
「……は? お化粧……、ですか?」
「そうなのよぉ~。私たちって、キツい顔してるじゃない?」
「キ、キツいというか……、ふつうに美人だと思いますけど……」
「あら、嬉しい」
伯爵閣下も侍女様も、ほっぺをポッと赤くされます。
聞けば、ご出身のネヴィス王国の王都では、顔立ちの種類に関わらず、みんな可愛らしく見える化粧をしなくてはいけないのだとか。
つい先日までネヴィス王国領だったサビアですが、そんな話は聞いたことがありません。
――ん~、まあ……、たぶんこんな感じよね……?
わたしも、それほどお化粧に詳しい訳ではありませんでしたけど、美人に似合うメイクをしてさし上げます。
すると、おふたりは鏡を見ては、
「これが、わたし!?」
と、ケラケラ笑われていて、つられたわたしも、つい苦笑いしてしまいました。
――慰み者とかではなさそう……。
名乗りを許されたのには驚きましたけど、伯爵閣下――マダレナ閣下のお部屋から退出すると、
メイドの先輩方が、ドアの外で心配そうに待ってくれていました。
「大丈夫だった、フリア?」
「なにか、ひどいことされなかった?」
「恐い思いはしなかった?」
と、優しい言葉をかけてくださいます。
「い、いえ……。あの……、閣下からは、お化粧を教えてほしいと言われまして……」
「ああ……」
ホッとため息を吐く先輩方から、
昨夜ひらかれていたおふたりを歓迎する祝宴で、侍女のベアトリス様が、
――なぜ似合いもしない可愛らしい化粧をするの!?
と、お説教されていた話を教えられました。
――それならそうと、先に言っておいてよぉ~~~!!
と思ったものです。
ですが、その日からメイドの先輩方のわたしに対する態度は、妙によそよそしいものになりました。
わたしを見てはヒソヒソ話して、スッと目を逸らされてしまうのです。
――わたし、なにか悪いことしたかな?
と思うと同時に、
やっぱり、みんながわたしに〈内緒話〉を打ち明けてくれないのは、わたしになにか問題があるんだと、落ち込んでしまいました。
お化粧係として巡察への帯同を命じられ、先輩方に会う機会は減ったのですけど、
わたしの気持ちは晴れません。
やがて、マダレナ閣下が学都サピエンティアに招かれ、わたしにも帯同を命じられるにあたって侍女に取り立てていただきました。
しかも、マダレナ閣下が直言を賜ったという第2皇子アルフォンソ殿下からは、
わたしにまでカシミアの素敵なコートを贈っていただきました。
それは夢のような出来事で、すっかり舞い上がっていたわたしのまえに、
メイドの先輩方がズラリとならびました。
「あ、あの……、なにか?」
「おめでとう、フリア」
先輩のおひとりがやさしく微笑んでくださいます。
「きっと、フリアは侍女に取り立てられるだろうって、みんなで噂してたのよ?」
「え……?」
「これ、みんなからのお祝い」
と手渡されたのは、可愛らしいパステルイエローの手袋でした。
にこにこ顔の先輩方に囲まれて、手にはめてみます。
「フリアに似合うのが、白色か黄色かで、みんなずいぶんケンカしてたのよ?」
「やっぱり、黄色が似合ってるじゃない?」
「もちろん黄色は似合ってるけど、白でも似合ったと思うなぁ~」
「そりゃそうよ。フリアは美少女なんだから!」
「みんなでフリアのこといっぱい眺めて、あれこれ話し合って決めたんだから、黄色でいいじゃない。フリアが困った顔してるわよ?」
わたしをチラチラ見ていたのは、わたしに似合う色で揉めていたからだそうです。
――それならそうと、先に言っておいてよぉ~~~!!
と思いますけど、先輩方はわたしにサプライズをしたかったのです。
――だからって、よそよそしくまですることないのに……。
わたしが〈内緒話〉の当事者になったのは初めてのことだったので、ずいぶん反応に困ったものです。
でもまあ、わたしが〈内緒話〉を教えてもらえないのは相変わらずで、
アルフォンソ殿下がマダレナ閣下に想いを寄せておられることも、
ベアトリス様と騎士団長のフェデリコ様が恋仲であることも、
後輩の侍女になったルウが、実は白騎士のルシア様であることも、
わたしには、教えてもらってませんでした。
そんなわたしに、マダレナ閣下が初めて打ち明けてくださった〈秘密の任務〉です。
わたしは、自分でもおもしろいほどに、はりきっています。
「バニェロ! わたし、一人前の侍女になったわよ!」
ずいぶん久しぶりに会った幼馴染の婚約者バニェロに、
前後の脈絡もなく、馬上から興奮した声を張り上げてしまいました。
「なんだよ、それ……?」
「いいから、わたしについて来て!?」
「はあ?」
「マダレナ閣下の……、ご領主様のご用事なの! はやくはやく!」
「ちぇ……。しょうがねぇなぁ……」
わたしの後ろにバニェロを乗せ、わたしは〈ひまわり城〉へと向かいます。
ほとんど寝ていませんでしたけど、気にはなりません。
「……馬になんか、乗れるようになったんだな」
わたしの腰に手を回してしがみつく、
バニェロのぬくもりが、すこし気恥ずかしくて、すこし誇らしかったのです――。
――フリア。あなたに〈任務〉をお願いしているの。
マダレナ閣下が、わたしに託してくださった秘密の任務。
――エンカンターダスの山奥にある秘湯の湯を煮詰め、次の満月の晩までに帝都にお持ちする。
緊張する以上に、わたしに〈内緒話〉を託してくださった喜びがあふれます。
わたしはちいさな頃から、なぜか友だちの〈内緒話〉を聞かせてもらえません。
仲間はずれにされてる訳でもないし、ふだんは仲良く遊んでいるのに、
なぜか、わたしだけ知らない〈内緒話〉があるのです。
ずいぶん後になってから、
「あのときはねぇ~」
などと言って、教えてもらうこともあるのですが、
――〈あのとき〉じゃなくて〈そのとき〉に、教えてほしかったな……。
と、すこし寂しい思いをするのは、しょっちゅうです。
友だちの恋の話など、
――それならそうと、先に言っておいてよぉ~~~!!
と思うことが、よくありました。
――知ってたら、応援してあげられたのにな……。
わたしがそう思ったときには、すっかり話が終わっていて、失恋の痛手からも立ち直っていたりするのです。
慰めの言葉をかけることさえできません。
なのに、ふだんはみんなと仲良しです。
わたしは平民の生まれです。サビアの市街を、友だちと一緒に駆けて育ちました。
嫌われている雰囲気もないし、のけ者にされてる気配も感じません。
むしろ大切にされてると感じるほどです。
〈ひまわり城〉のメイドになってからもそうです。
メイド長にも、メイドの先輩方からも、とてもよくしていただきました。
忘れもしませんが、ある天気のいい夏の日の午後。日差しの射し込む廊下を、シーツを運んで歩いていると、
「うふふふふふふふふふ――……」
と、妖しく笑うふたりの美女に両脇を抱え込まれ、部屋に連れ込まれてしまったときのことです。
怯えて床に転がるわたしを見下ろす、背の高い美女ふたりは、新任の伯爵閣下とその侍女様でした。
――嗚呼……。わたし、成り上がりの貴族に、慰み者にされてしまうんだ……。
と、世を儚なんだものです。
「……は? お化粧……、ですか?」
「そうなのよぉ~。私たちって、キツい顔してるじゃない?」
「キ、キツいというか……、ふつうに美人だと思いますけど……」
「あら、嬉しい」
伯爵閣下も侍女様も、ほっぺをポッと赤くされます。
聞けば、ご出身のネヴィス王国の王都では、顔立ちの種類に関わらず、みんな可愛らしく見える化粧をしなくてはいけないのだとか。
つい先日までネヴィス王国領だったサビアですが、そんな話は聞いたことがありません。
――ん~、まあ……、たぶんこんな感じよね……?
わたしも、それほどお化粧に詳しい訳ではありませんでしたけど、美人に似合うメイクをしてさし上げます。
すると、おふたりは鏡を見ては、
「これが、わたし!?」
と、ケラケラ笑われていて、つられたわたしも、つい苦笑いしてしまいました。
――慰み者とかではなさそう……。
名乗りを許されたのには驚きましたけど、伯爵閣下――マダレナ閣下のお部屋から退出すると、
メイドの先輩方が、ドアの外で心配そうに待ってくれていました。
「大丈夫だった、フリア?」
「なにか、ひどいことされなかった?」
「恐い思いはしなかった?」
と、優しい言葉をかけてくださいます。
「い、いえ……。あの……、閣下からは、お化粧を教えてほしいと言われまして……」
「ああ……」
ホッとため息を吐く先輩方から、
昨夜ひらかれていたおふたりを歓迎する祝宴で、侍女のベアトリス様が、
――なぜ似合いもしない可愛らしい化粧をするの!?
と、お説教されていた話を教えられました。
――それならそうと、先に言っておいてよぉ~~~!!
と思ったものです。
ですが、その日からメイドの先輩方のわたしに対する態度は、妙によそよそしいものになりました。
わたしを見てはヒソヒソ話して、スッと目を逸らされてしまうのです。
――わたし、なにか悪いことしたかな?
と思うと同時に、
やっぱり、みんながわたしに〈内緒話〉を打ち明けてくれないのは、わたしになにか問題があるんだと、落ち込んでしまいました。
お化粧係として巡察への帯同を命じられ、先輩方に会う機会は減ったのですけど、
わたしの気持ちは晴れません。
やがて、マダレナ閣下が学都サピエンティアに招かれ、わたしにも帯同を命じられるにあたって侍女に取り立てていただきました。
しかも、マダレナ閣下が直言を賜ったという第2皇子アルフォンソ殿下からは、
わたしにまでカシミアの素敵なコートを贈っていただきました。
それは夢のような出来事で、すっかり舞い上がっていたわたしのまえに、
メイドの先輩方がズラリとならびました。
「あ、あの……、なにか?」
「おめでとう、フリア」
先輩のおひとりがやさしく微笑んでくださいます。
「きっと、フリアは侍女に取り立てられるだろうって、みんなで噂してたのよ?」
「え……?」
「これ、みんなからのお祝い」
と手渡されたのは、可愛らしいパステルイエローの手袋でした。
にこにこ顔の先輩方に囲まれて、手にはめてみます。
「フリアに似合うのが、白色か黄色かで、みんなずいぶんケンカしてたのよ?」
「やっぱり、黄色が似合ってるじゃない?」
「もちろん黄色は似合ってるけど、白でも似合ったと思うなぁ~」
「そりゃそうよ。フリアは美少女なんだから!」
「みんなでフリアのこといっぱい眺めて、あれこれ話し合って決めたんだから、黄色でいいじゃない。フリアが困った顔してるわよ?」
わたしをチラチラ見ていたのは、わたしに似合う色で揉めていたからだそうです。
――それならそうと、先に言っておいてよぉ~~~!!
と思いますけど、先輩方はわたしにサプライズをしたかったのです。
――だからって、よそよそしくまですることないのに……。
わたしが〈内緒話〉の当事者になったのは初めてのことだったので、ずいぶん反応に困ったものです。
でもまあ、わたしが〈内緒話〉を教えてもらえないのは相変わらずで、
アルフォンソ殿下がマダレナ閣下に想いを寄せておられることも、
ベアトリス様と騎士団長のフェデリコ様が恋仲であることも、
後輩の侍女になったルウが、実は白騎士のルシア様であることも、
わたしには、教えてもらってませんでした。
そんなわたしに、マダレナ閣下が初めて打ち明けてくださった〈秘密の任務〉です。
わたしは、自分でもおもしろいほどに、はりきっています。
「バニェロ! わたし、一人前の侍女になったわよ!」
ずいぶん久しぶりに会った幼馴染の婚約者バニェロに、
前後の脈絡もなく、馬上から興奮した声を張り上げてしまいました。
「なんだよ、それ……?」
「いいから、わたしについて来て!?」
「はあ?」
「マダレナ閣下の……、ご領主様のご用事なの! はやくはやく!」
「ちぇ……。しょうがねぇなぁ……」
わたしの後ろにバニェロを乗せ、わたしは〈ひまわり城〉へと向かいます。
ほとんど寝ていませんでしたけど、気にはなりません。
「……馬になんか、乗れるようになったんだな」
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