11 / 87
11. ハラリと手から落とす
しおりを挟む
「マダレナ閣下の確かな馬術。感服いたしました」
「褒め過ぎですわよ」
と、わたしを苦笑いさせたのは、サビアの騎士団長を務めてくれるホルヘ・サントスだ。
お父様より年上の61歳で、皇帝陛下直属の〈庭園の騎士〉さま。
わたしの領地巡察に帯同し、ともに馬を並べてくれているけど、さすが威風堂々とした風格を漂わせる。
帝国の最高戦力たる6人の白騎士様に次ぐ、選び抜かれた精鋭のおひとり。
皇帝陛下のお目に触れる〈庭園の騎士〉は眉目秀麗であることも、その要件とされるだけあって、年齢を感じさせない精悍なお顔立ちだ。
ベアトリスより赤みを帯びたブラウンの髪を、武人らしくスッキリとまとめている。
帝国領に再編入されたサビアのために、帝都ソリス・エテルナから派遣された。
だけど、
――わたしとベアトリスが、エステバンとホルヘに挟まれたら、お爺さんとお出かけする孫娘みたいね。
と、クスリと笑ってしまう。
わたしの統治に障りがないよう、経験充分な者に支えてもらう。ここでもエレオノラ王太后陛下のご配慮があったのではないかと想像している。
代官のエステバンが馬上で、顔をほころばせた。
「ホルヘは世辞を言うような性格ではございません。100万を数える帝国軍の頂点に立つ〈庭園の騎士〉から認められたと、ご自分に馬術に自信を持たれてもよろしかろうと存じます」
「あら。エステバン殿は、ホルヘ殿とお親しいのですね?」
「ははは。私がエレオノラ陛下の兄君、グティエレス公爵閣下の幼馴染であれば、ホルヘはエレオノラ陛下の幼馴染。……長い付き合いにございますよ」
と、懐かしげに笑うエステバンとホルヘが、すこし羨ましい。
わたしは17歳にして、幼馴染ジョアンとの関係が破綻してしまったばかりだ。
老境にいたるまで心を通じ合わせているのが、まぶしく見える。
「……ホルヘは、エレオノラ陛下と恋仲だったのでございますよ」
「えっ? えええっ!?」
「エステバン殿……」
と、突然の暴露に、眉をしかめて笑うホルヘも否定はしない。
「私はしょせん子爵家4男の生まれ。エレオノラ陛下との仲など、もともと叶うものではなかったのですよ」
サラリと言ってのけるところがまた、ホルヘの美丈夫ぶりを際立たせる。
わたしは思わず見惚れてしまうし、ベアトリスは目を潤ませている。
――身分違いの純愛譚。
に喰い付かない貴族令嬢などいない。
と、断言してしまおう。
わたしとベアトリスふたりして、巡察に出かけるたびに根掘り葉掘り聞きだしてしまった。
「ですが、派遣する騎士団長に私が選ばれたのには、第2皇子アルフォンソ殿下の思し召しがあったやに聞いております」
「え……」
「直接のお声掛けを賜ったマダレナ閣下ですからな。おかしなことはありますまい」
と、ホルヘの話を聞いた代官エステバンが、いかつい顔に厳粛な表情を浮かべた。
殿下に贈っていただいたコーラルピンクのドレスへのお礼状は、エステバンにやんわり止められていた。
「……エレオノラ陛下を通じて贈られたのであれば、直接のお礼は控えられた方がよろしいでしょうな」
言われてみれば、確かにそうだ。
心のなかで、しずかに手を合わせておくことにした。
けど――、
「……で、殿下からお声掛けを賜ったというのは、本当なのですか?」
と、わたしのお化粧を直してくれる美少女メイドのフリアが目を丸くした。
「ええ、身に余る栄誉を頂戴したわ」
「すごいです! それは突然の叙爵にも納得いきました! ……お仕え甲斐のある方を主君と仰げて、私も光栄です」
夏場の巡察ということで、化粧直し役で帯同してもらうことしたフリア。
そこには侍女であるベアトリスの配慮もあった。
「……マダレナから名乗りを許されたってことで、メイド仲間からやっかまれてるみたいね」
「あら……」
「イジメとまではいかないけど……、折りを見て侍女に取り立てて、側に置いてあげた方がいいかもね。フリア、いい娘だし」
「……まだ、新しい自分の立場を、理解できてなかったわ」
「仕方ないわよ。急に偉くなったんだもの。これから気を付ければいいの」
とりあえず、巡察への帯同を命じてメイド仲間から引き離すことにはしたけど、
学院の後輩女子を愛でるノリで、部屋に引きずり込んだことを後悔した。
もちろん、わたしはアルフォンソ殿下ほどの雲上人ではないけど、やはり自分の振る舞いには責任をとらなくてはいけない。
「ちょっとベア! このチーズ、美味しっ!」
「ほんとだ! フリアも食べてみなさいよっ!」
「え……、よろしいのですか?」
「なに遠慮してるのよ。城のなかじゃないんだし、いいのいいの」
「お……、美味しいです――っ!!」
「でしょう?」
「はいっ!」
と、巡察先では和気藹々と楽しんだ。
エステバンとホルヘは、孫世代の娘3人を温かく見守ってくれたし、
重鎮ふたりが、事実上の公認をしてくれたこともあって、
――フリア・アロンソは、マダレナ閣下のお気に入り。
ということで、城での立場を安定させてあげられた。
「まあ、見てて飽きない美少女でもあるし、良かったんじゃない?」
と、ベアトリスも胸を撫で下ろしたようである。
――身分を乗り越える扱いをしたときは、後々までフォローしないと、かえって相手の負担になってしまう。
そのことを改めて学んだわたしは、
アルフォンソ殿下や王太后陛下から向けていただく格別のご好意への感謝もまた、改めて深くした――。
Ψ
だけど、わたしは甘かった。
王太后陛下が急使で送ってくださった書簡を、ハラリと手から落とす。
「マ、マダレナ? どうしたの?」
慌てて拾い上げてくれるベアトリス。
自分でも自分が呆けた顔をしていることが分かる。
秋を迎えたサビアで、午後の柔らかな日差しが大きな窓から差し込む自室。
信じられないものを見るような目で、ベアトリスの顔をまじまじと眺めてしまった。
「マダレナ? ……だ、大丈夫? 」
「招待された」
「え?」
「招待された」
「う、うん……。どこに招待されたの?」
「……学都サピエンティア」
「ええっ!?」
サピエンティア――叡智を意味する名を冠した、唯一無二の学究都市。
帝国の頭脳。
ある意味では帝都ソリス・エテルナよりも狭き門。
それも――、
「ビビアナ・ナローバ教授が、わたしの卒業論文を読んでくださったのですって……」
「ビ、ビビ……、どなた?」
「魔鉄研究の第一人者……」
「へ、へぇ~~~」
「失われた魔導の復興でも、研究をリードされてて……」
「す、すごい人なのねぇ……」
「も、もう!! ベア、なんで知らないのよお! ビビアナ教授はすごいんだから!!」
「あ、うん、ごめん……」
「キャ、キャア――――――ッ!!」
と、身体の奥から湧き上がる喜びに、思わず叫んでしまった。
「うそ、うそ。ビビアナ教授から招待されるなんて夢みたい」
「……う、うん」
「わたし、ビビアナ教授の論文は全部読んでるのよ!? すごいんだから、ビビアナ教授は!」
「あ、うん」
「ネヴィス王国の魔鉄鉱山事故が大幅に減ったのも、ビビアナ教授の研究のお陰なのよ!? ほんとに知らないのベア!?」
「あ、えっと……」
「まだお若いんだけど、女性で初めて大賢者様になられるんじゃないかって言われてるのよ!?」
「それは、すごいわね」
「ビビアナ教授が、わたしを招待してくださるだなんて……、はぁ~~~~、信じられない」
「……教授はマダレナの憧れなのね?」
「そうなの!!!!」
「そんな方に、マダレナの卒業論文を読んでもらえて良かったわね」
と、優しい笑顔を向けてくれるベアトリス。
そうだ。
帝国から見れば辺境にある、属国の学生が書いた卒業論文など、
読んでもらうどころか、通常であれば、ビビアナ教授の手に渡るはずがない。
「……第2皇子殿下のお計らいがあったとしか考えられないわ」
「そうね。だけど、その偉い教授が認めてくださったのは、マダレナの実力でしょ?」
「う、うん……、だけど……」
学都サピエンティアは、帝国の身分秩序の枠外に置かれている。
厳格な実力主義だからこそ〈帝国の頭脳〉足りえているし、帝都から別けて建設されたのもそのため。
実際、ビビアナ教授も平民の出自だ。
たとえ皇族の計らいがあったとしても、特別扱いされることはないとされる。
だけど――、
「読んでいただかないと、招待されることもなかったわ」
「そうね」
「……身分を乗り越えてしまった責任をとるために、ここまでのことをしてくださるのね」
王太后陛下と連絡を取りあい、秋の収穫祭を終えた後に、
わたしは急遽、ビビアナ教授の招待に応じて、学都サピエンティアのある、
西へと向かうことになった――。
「褒め過ぎですわよ」
と、わたしを苦笑いさせたのは、サビアの騎士団長を務めてくれるホルヘ・サントスだ。
お父様より年上の61歳で、皇帝陛下直属の〈庭園の騎士〉さま。
わたしの領地巡察に帯同し、ともに馬を並べてくれているけど、さすが威風堂々とした風格を漂わせる。
帝国の最高戦力たる6人の白騎士様に次ぐ、選び抜かれた精鋭のおひとり。
皇帝陛下のお目に触れる〈庭園の騎士〉は眉目秀麗であることも、その要件とされるだけあって、年齢を感じさせない精悍なお顔立ちだ。
ベアトリスより赤みを帯びたブラウンの髪を、武人らしくスッキリとまとめている。
帝国領に再編入されたサビアのために、帝都ソリス・エテルナから派遣された。
だけど、
――わたしとベアトリスが、エステバンとホルヘに挟まれたら、お爺さんとお出かけする孫娘みたいね。
と、クスリと笑ってしまう。
わたしの統治に障りがないよう、経験充分な者に支えてもらう。ここでもエレオノラ王太后陛下のご配慮があったのではないかと想像している。
代官のエステバンが馬上で、顔をほころばせた。
「ホルヘは世辞を言うような性格ではございません。100万を数える帝国軍の頂点に立つ〈庭園の騎士〉から認められたと、ご自分に馬術に自信を持たれてもよろしかろうと存じます」
「あら。エステバン殿は、ホルヘ殿とお親しいのですね?」
「ははは。私がエレオノラ陛下の兄君、グティエレス公爵閣下の幼馴染であれば、ホルヘはエレオノラ陛下の幼馴染。……長い付き合いにございますよ」
と、懐かしげに笑うエステバンとホルヘが、すこし羨ましい。
わたしは17歳にして、幼馴染ジョアンとの関係が破綻してしまったばかりだ。
老境にいたるまで心を通じ合わせているのが、まぶしく見える。
「……ホルヘは、エレオノラ陛下と恋仲だったのでございますよ」
「えっ? えええっ!?」
「エステバン殿……」
と、突然の暴露に、眉をしかめて笑うホルヘも否定はしない。
「私はしょせん子爵家4男の生まれ。エレオノラ陛下との仲など、もともと叶うものではなかったのですよ」
サラリと言ってのけるところがまた、ホルヘの美丈夫ぶりを際立たせる。
わたしは思わず見惚れてしまうし、ベアトリスは目を潤ませている。
――身分違いの純愛譚。
に喰い付かない貴族令嬢などいない。
と、断言してしまおう。
わたしとベアトリスふたりして、巡察に出かけるたびに根掘り葉掘り聞きだしてしまった。
「ですが、派遣する騎士団長に私が選ばれたのには、第2皇子アルフォンソ殿下の思し召しがあったやに聞いております」
「え……」
「直接のお声掛けを賜ったマダレナ閣下ですからな。おかしなことはありますまい」
と、ホルヘの話を聞いた代官エステバンが、いかつい顔に厳粛な表情を浮かべた。
殿下に贈っていただいたコーラルピンクのドレスへのお礼状は、エステバンにやんわり止められていた。
「……エレオノラ陛下を通じて贈られたのであれば、直接のお礼は控えられた方がよろしいでしょうな」
言われてみれば、確かにそうだ。
心のなかで、しずかに手を合わせておくことにした。
けど――、
「……で、殿下からお声掛けを賜ったというのは、本当なのですか?」
と、わたしのお化粧を直してくれる美少女メイドのフリアが目を丸くした。
「ええ、身に余る栄誉を頂戴したわ」
「すごいです! それは突然の叙爵にも納得いきました! ……お仕え甲斐のある方を主君と仰げて、私も光栄です」
夏場の巡察ということで、化粧直し役で帯同してもらうことしたフリア。
そこには侍女であるベアトリスの配慮もあった。
「……マダレナから名乗りを許されたってことで、メイド仲間からやっかまれてるみたいね」
「あら……」
「イジメとまではいかないけど……、折りを見て侍女に取り立てて、側に置いてあげた方がいいかもね。フリア、いい娘だし」
「……まだ、新しい自分の立場を、理解できてなかったわ」
「仕方ないわよ。急に偉くなったんだもの。これから気を付ければいいの」
とりあえず、巡察への帯同を命じてメイド仲間から引き離すことにはしたけど、
学院の後輩女子を愛でるノリで、部屋に引きずり込んだことを後悔した。
もちろん、わたしはアルフォンソ殿下ほどの雲上人ではないけど、やはり自分の振る舞いには責任をとらなくてはいけない。
「ちょっとベア! このチーズ、美味しっ!」
「ほんとだ! フリアも食べてみなさいよっ!」
「え……、よろしいのですか?」
「なに遠慮してるのよ。城のなかじゃないんだし、いいのいいの」
「お……、美味しいです――っ!!」
「でしょう?」
「はいっ!」
と、巡察先では和気藹々と楽しんだ。
エステバンとホルヘは、孫世代の娘3人を温かく見守ってくれたし、
重鎮ふたりが、事実上の公認をしてくれたこともあって、
――フリア・アロンソは、マダレナ閣下のお気に入り。
ということで、城での立場を安定させてあげられた。
「まあ、見てて飽きない美少女でもあるし、良かったんじゃない?」
と、ベアトリスも胸を撫で下ろしたようである。
――身分を乗り越える扱いをしたときは、後々までフォローしないと、かえって相手の負担になってしまう。
そのことを改めて学んだわたしは、
アルフォンソ殿下や王太后陛下から向けていただく格別のご好意への感謝もまた、改めて深くした――。
Ψ
だけど、わたしは甘かった。
王太后陛下が急使で送ってくださった書簡を、ハラリと手から落とす。
「マ、マダレナ? どうしたの?」
慌てて拾い上げてくれるベアトリス。
自分でも自分が呆けた顔をしていることが分かる。
秋を迎えたサビアで、午後の柔らかな日差しが大きな窓から差し込む自室。
信じられないものを見るような目で、ベアトリスの顔をまじまじと眺めてしまった。
「マダレナ? ……だ、大丈夫? 」
「招待された」
「え?」
「招待された」
「う、うん……。どこに招待されたの?」
「……学都サピエンティア」
「ええっ!?」
サピエンティア――叡智を意味する名を冠した、唯一無二の学究都市。
帝国の頭脳。
ある意味では帝都ソリス・エテルナよりも狭き門。
それも――、
「ビビアナ・ナローバ教授が、わたしの卒業論文を読んでくださったのですって……」
「ビ、ビビ……、どなた?」
「魔鉄研究の第一人者……」
「へ、へぇ~~~」
「失われた魔導の復興でも、研究をリードされてて……」
「す、すごい人なのねぇ……」
「も、もう!! ベア、なんで知らないのよお! ビビアナ教授はすごいんだから!!」
「あ、うん、ごめん……」
「キャ、キャア――――――ッ!!」
と、身体の奥から湧き上がる喜びに、思わず叫んでしまった。
「うそ、うそ。ビビアナ教授から招待されるなんて夢みたい」
「……う、うん」
「わたし、ビビアナ教授の論文は全部読んでるのよ!? すごいんだから、ビビアナ教授は!」
「あ、うん」
「ネヴィス王国の魔鉄鉱山事故が大幅に減ったのも、ビビアナ教授の研究のお陰なのよ!? ほんとに知らないのベア!?」
「あ、えっと……」
「まだお若いんだけど、女性で初めて大賢者様になられるんじゃないかって言われてるのよ!?」
「それは、すごいわね」
「ビビアナ教授が、わたしを招待してくださるだなんて……、はぁ~~~~、信じられない」
「……教授はマダレナの憧れなのね?」
「そうなの!!!!」
「そんな方に、マダレナの卒業論文を読んでもらえて良かったわね」
と、優しい笑顔を向けてくれるベアトリス。
そうだ。
帝国から見れば辺境にある、属国の学生が書いた卒業論文など、
読んでもらうどころか、通常であれば、ビビアナ教授の手に渡るはずがない。
「……第2皇子殿下のお計らいがあったとしか考えられないわ」
「そうね。だけど、その偉い教授が認めてくださったのは、マダレナの実力でしょ?」
「う、うん……、だけど……」
学都サピエンティアは、帝国の身分秩序の枠外に置かれている。
厳格な実力主義だからこそ〈帝国の頭脳〉足りえているし、帝都から別けて建設されたのもそのため。
実際、ビビアナ教授も平民の出自だ。
たとえ皇族の計らいがあったとしても、特別扱いされることはないとされる。
だけど――、
「読んでいただかないと、招待されることもなかったわ」
「そうね」
「……身分を乗り越えてしまった責任をとるために、ここまでのことをしてくださるのね」
王太后陛下と連絡を取りあい、秋の収穫祭を終えた後に、
わたしは急遽、ビビアナ教授の招待に応じて、学都サピエンティアのある、
西へと向かうことになった――。
1,966
お気に入りに追加
4,161
あなたにおすすめの小説
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました
蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。
家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。
アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。
閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。
養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。
※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました
あおくん
恋愛
父が決めた結婚。
顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。
これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。
だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。
政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。
どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。
※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。
最後はハッピーエンドで終えます。
【完結】無能に何か用ですか?
凛 伊緒
恋愛
「お前との婚約を破棄するッ!我が国の未来に、無能な王妃は不要だ!」
とある日のパーティーにて……
セイラン王国王太子ヴィアルス・ディア・セイランは、婚約者のレイシア・ユシェナート侯爵令嬢に向かってそう言い放った。
隣にはレイシアの妹ミフェラが、哀れみの目を向けている。
だがレイシアはヴィアルスには見えない角度にて笑みを浮かべていた。
ヴィアルスとミフェラの行動は、全てレイシアの思惑通りの行動に過ぎなかったのだ……
主人公レイシアが、自身を貶めてきた人々にざまぁする物語──
公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。
私を虐げた人には絶望を ~貧乏令嬢は悪魔と呼ばれる侯爵様と契約結婚する~
香木あかり
恋愛
「あなた達の絶望を侯爵様に捧げる契約なの。だから……悪く思わないでね?」
貧乏な子爵家に生まれたカレン・リドリーは、家族から虐げられ、使用人のように働かされていた。
カレンはリドリー家から脱出して平民として生きるため、就職先を探し始めるが、令嬢である彼女の就職活動は難航してしまう。
ある時、不思議な少年ティルからモルザン侯爵家で働くようにスカウトされ、モルザン家に連れていかれるが……
「変わった人間だな。悪魔を前にして驚きもしないとは」
クラウス・モルザンは「悪魔の侯爵」と呼ばれていたが、本当に悪魔だったのだ。
負の感情を糧として生きているクラウスは、社交界での負の感情を摂取するために優秀な侯爵を演じていた。
カレンと契約結婚することになったクラウスは、彼女の家族に目をつける。
そしてクラウスはカレンの家族を絶望させて糧とするため、動き出すのだった。
「お前を虐げていた者たちに絶望を」
※念のためのR-15です
※他サイトでも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる