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顔がすべてだとは言ってない
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高校二年生の秋、俺は悪魔に出会った。
最愛の妹をたぶらかし、俺の貞操を奪い、常に冷笑的で、他人を見下している。見た目も頭も家柄もよく、スポーツも万能だが、性格だけが破滅的に悪い男。その名を、久我正行と言う。
やつは、愛ってなんだと俺に尋ねた。俺だってそんなことは知らない。久我と出会って長いことたつ、今だってわからない。だから俺は今でも久我に、愛してるって言ってない。もしかしたら、一生言わないかもしれない。それでも俺は多分ずっと、久我と一緒にいる。
まずは悪魔に遭遇する前の、平和な日常から話そう。季節は11月初め。俺がまだ、何も知らなかったころの話。
★
街路樹の枯れ葉が、歩道の上を舞っている。それを見ながら、俺はくあ、と欠伸をした。
食欲の秋というが、今は眠気がまさっている。成長期だからこんなに眠いのだろうか。だったらうれしいけど。そんなことを思っていたら、後ろ頭にちょん、と指の感触がした。
振り返ると、モデルみたいな佇まいの男が微笑んでいた。
「恵」
「寝ぐせひどいよ、ヒロ」
濃いブラウンに染めた髪は、端正な顔立ちによく似合っている。少し長い髪を縛り、垂らしているのだが、不思議と軟派な感じはしない。この男前は、俺の親友の高野恵である。
俺と並んで歩きながら、恵は言う。
「もう高校生なんだから、髪くらいといたら?」
恵の姿に、通りすがりの女子高生が見惚れている。俺は肩をすくめた。
「いーんだよ、恵と違ってイケメンでもないし」
別にひがんでいるわけではない。男は顔ではなく、心意気で評価されるべきだからだ。
「そんなんじゃ、さくらちゃんに嫌われるよ。行きつけの美容院、紹介するけど」
俺はけっ、と吐き捨てた。
「男は床屋だ。美容院なんてチャラチャラしたとこ行けるかよ」
「……何時代の価値観?」
古風と言え、古風と。
「それに、さくらは男を見た目で判断したりしないんだ」
「さくらちゃん、今いくつ?」
「十四歳」
「だったら、もう好きな男の子の一人や二人いるんじゃない?」
「いない」
俺がきっぱり言い切ると、恵が疑わし気な顔をした。
「ほんとに?」
「さくらは年上が好きなんだ。ドラマとか見てても、三十代の俳優とかをカッコ良いって言ってる。部活が終わるとすぐ帰ってくるし、同級生の男を連れてきたこともない」
「……ヒロが、追い返してるんじゃなくて?」
「してない」
「もしさくらちゃんが、男の子を連れてきたら?」
「まず、さくらを一生かけて守る気があるのかどうか尋問する」
恵がため息をついて、俺の肩に手を置いた。俺はきょとんとした。
「なんだよ」
「それ、マジで嫌われるからやめたほうがいい。っていうか、ヒロ、お父さんみたい……」
「俺は兄であり、父親代わりなんだから、心配するのは当然だろ」
「行き過ぎ。多感な時期なんだから、恋くらい自由にさせるべき」
「さくらが恋してる? あり得ない。もしそうなら俺は必ず気づく。さくらを誰よりも愛してるからな!」
恵は俺を胡乱な目で見て、「駄目だ、このシスコン」と言った。
☆
俺の父親は、俺が五歳の時に亡くなった。その時さくらはたった三歳。それから十一年、母親は女手ひとつで俺たちを育ててくれた。片親にも関わらず、俺たちは心身ともに健康に育ってきた。
特にさくらは優しくて可愛くて、天使のような女の子に育った。
しかし、最近、俺にはひとつ懸念がある。さくらは名前の通り、花のように愛らしい。変な虫がつかないか心配なのだ。
「ただいまー」
「橘」という表札のかかった門を抜け、声を上げながら靴を脱ぐ。母は働いているので日中不在だが、さくらはテスト週間中なのでいるはずだ。案の定、玄関には中学指定の革靴がある。
「えっ、久我先輩が来るの?」
リビングから、浮き足立ったさくらの声が聞こえてくる。俺は、そちらに向かう足を止めた。
「うん、だよね、うわー……絶対行く!」
さくらの声は華やいでいた。まさに、恋する乙女のようである。ますます怪しいではないか。通話を終えたさくらが、受話器を置く。ごほん、と咳払いすると、妹が笑みを浮かべて振り向いた。
「あっ、おにいちゃん、お帰り!」
きらきら輝く黒目がちな瞳、色の入っていない髪はさらさらと肩で揺れている。白い頬は今の電話の余波か、うっすら紅潮していた。いつ見ても、俺の妹はアイドルも真っ青な可愛さである。俺はデレデレしながら答えた。
「ああ、ただいま」
「コーヒー飲む? 淹れてあげる」
さくらはソファから立ち上がり、台所に立つ。今時、中二で兄にコーヒーを淹れてくれる妹がいるだろうか。いや、いない(断定)
俺は、ソファにどかりと座り、置き去られたさくらの携帯をちらりと見た。台所にいるさくらに、さりげなさを装って尋ねる。
「あー……さくら、何か話してたな。部活の集まりかなんかか?」
「うん。OBが指導しに来るの」
さくらはテニス部である。しかし、運動部は基本的に男女別の筈だ。
「ふーん、女の先輩が来るのか」
「ううん、一人すっごい上手い先輩がいるの、男子部の方に。全国大会にも出たんだよ」
「もしかして、うちの学校とか」
「海星高校。凄いよね、運動できて頭もいいなんて!」
絶対そいつだ。久我なんとか先輩は。俺はソファに肘をつき、ふてくされ気味に言う。
「でもさあ、そーいうやつって、性格悪いんじゃね?」
「そんなことないよ、わざわざ来てくれるんだもん」
そいつ、もしやさくらに気があるんじゃないか。もやもやしたものを感じつつ、俺は首を傾げた。
「っていうか、久我なんてやつ、中学の時いたかな……」
昼休み、二年三組の教室は騒めきと弁当の匂いで満ちている。俺は水筒を取り出しながら、向かい合って弁当を食べている恵に尋ねた。
「なあ、恵。久我って知ってるか? 柳中にいたらしいけど」
米を口に運んでいた恵が、箸を止める。
「……久我? 久我正行?」
「ああ、多分そいつ」
「久我が、どうかした?」
「さくらが、そいつが中学に来るって喜んでて……有名なのか?」
恵は箸を置いて、なぜか視線を窓に向けた。俺もつられてそちらを見るが、青空が広がっているだけだった。
「まあ、あらゆる意味で……っていうか、なんで知らないの?」
「さくら関連以外はあんま気になんないからな……」
「まったく、このシスコンは……久我正道って知ってる?」
「誰それ」
恵はため息をついて「この人」と携帯を取り出す。
携帯の画面に映っているのは、精悍な顔つきの男だった。俺はそれを見て、あ、と声を上げる。
「選挙ポスターで見たことある」
「久我正行は、国会議員の息子」
「なんでうちの中学に? 普通私立とか行くだろ」
「さあ……とにかくそいつ、さくらちゃんに近づけないほうがいい」
「なんで?」
恵は眉をしかめて、俺の耳もとにこっそりと囁いた。
「女と見れば、見境ないって」
「!」
俺は真っ青になった。
「な、なななんだと……?」
手がぶるぶる震えて、水筒からお茶が溢れ落ちる。恵が慌ててタオルを差し出してきた。
「ちょっ、ヒロ、こぼれてる」
俺は受け取ったタオルをぎゅう、と握りしめた。そんなやつ、絶対さくらに会わせてたまるものか……!
そして、日曜日。久我が中学に来る日がやってきた。俺はいかにも具合が悪いという風を装いつつ、我が家の階段を降りていった。当然仮病である。
俺は階段の手すりにもたれ、けだるげな表情を作った。そうして、玄関で靴ひもを結ぶさくらに話しかける。
「さくら……」
さくらがくるりと振り向き、驚いたように目を見開いた。ああ、こういう顔も可愛いなあ……。俺は内心デレデレする。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
履き替けた靴から足を引いて、さくらはこちらにやってくる。俺はわざとらしく咳をした。
「いや、なんでもない……ゴホゴホ、ちょっとな」
「寝てたほうがいいよ」
さくらはそう言って、俺を支え、二階へと連れて行く。布団に俺を寝かせ、「お母さんはいないし……」と困ったように呟いた。俺はダメ押しのようにせき込む。
「気にするな、早く行かないと遅れるぞ」
「うん……そうだね」
さくらは曖昧に頷き、俺の部屋を出て行く。彼女の姿が視界から消えるなり、俺は慌てて寝台から起きあがった。
「あ、あれ?」
本当に行ってしまったのか。
俺は脱力して、思わず枕に突っ伏する。四歳の時、「わたし、お兄ちゃんのお嫁さんになる!」と言っていたさくらの笑顔を思い出し、涙を滲ませた。
「さくらあ……」
虚しく名前を呼んでいると、ガチャリと扉が開き、さくらが入ってきた。その手にはお盆がある。
「お粥作ったから食べて」
テーブルにおかゆを置くさくらに、俺は尋ねる。
「さくら……行かなくていいのか?」
「いいんだ、今から行っても間に合わないし」
さくらはお盆を抱えて、にこりと笑った。
「お兄ちゃんの方が大事だもん」
「さくら……!」
俺は感動すると共に、罪悪感に見舞われた。何してるんだ、俺は……さくらを騙すなんて!
そう、別にさくらの邪魔をしたいわけじゃないのだ。ただ、信用ならない男に妹を託すわけにはいかない。――こうなったら、俺が直接出向いてそいつの正体を見極めるしかない。
最愛の妹をたぶらかし、俺の貞操を奪い、常に冷笑的で、他人を見下している。見た目も頭も家柄もよく、スポーツも万能だが、性格だけが破滅的に悪い男。その名を、久我正行と言う。
やつは、愛ってなんだと俺に尋ねた。俺だってそんなことは知らない。久我と出会って長いことたつ、今だってわからない。だから俺は今でも久我に、愛してるって言ってない。もしかしたら、一生言わないかもしれない。それでも俺は多分ずっと、久我と一緒にいる。
まずは悪魔に遭遇する前の、平和な日常から話そう。季節は11月初め。俺がまだ、何も知らなかったころの話。
★
街路樹の枯れ葉が、歩道の上を舞っている。それを見ながら、俺はくあ、と欠伸をした。
食欲の秋というが、今は眠気がまさっている。成長期だからこんなに眠いのだろうか。だったらうれしいけど。そんなことを思っていたら、後ろ頭にちょん、と指の感触がした。
振り返ると、モデルみたいな佇まいの男が微笑んでいた。
「恵」
「寝ぐせひどいよ、ヒロ」
濃いブラウンに染めた髪は、端正な顔立ちによく似合っている。少し長い髪を縛り、垂らしているのだが、不思議と軟派な感じはしない。この男前は、俺の親友の高野恵である。
俺と並んで歩きながら、恵は言う。
「もう高校生なんだから、髪くらいといたら?」
恵の姿に、通りすがりの女子高生が見惚れている。俺は肩をすくめた。
「いーんだよ、恵と違ってイケメンでもないし」
別にひがんでいるわけではない。男は顔ではなく、心意気で評価されるべきだからだ。
「そんなんじゃ、さくらちゃんに嫌われるよ。行きつけの美容院、紹介するけど」
俺はけっ、と吐き捨てた。
「男は床屋だ。美容院なんてチャラチャラしたとこ行けるかよ」
「……何時代の価値観?」
古風と言え、古風と。
「それに、さくらは男を見た目で判断したりしないんだ」
「さくらちゃん、今いくつ?」
「十四歳」
「だったら、もう好きな男の子の一人や二人いるんじゃない?」
「いない」
俺がきっぱり言い切ると、恵が疑わし気な顔をした。
「ほんとに?」
「さくらは年上が好きなんだ。ドラマとか見てても、三十代の俳優とかをカッコ良いって言ってる。部活が終わるとすぐ帰ってくるし、同級生の男を連れてきたこともない」
「……ヒロが、追い返してるんじゃなくて?」
「してない」
「もしさくらちゃんが、男の子を連れてきたら?」
「まず、さくらを一生かけて守る気があるのかどうか尋問する」
恵がため息をついて、俺の肩に手を置いた。俺はきょとんとした。
「なんだよ」
「それ、マジで嫌われるからやめたほうがいい。っていうか、ヒロ、お父さんみたい……」
「俺は兄であり、父親代わりなんだから、心配するのは当然だろ」
「行き過ぎ。多感な時期なんだから、恋くらい自由にさせるべき」
「さくらが恋してる? あり得ない。もしそうなら俺は必ず気づく。さくらを誰よりも愛してるからな!」
恵は俺を胡乱な目で見て、「駄目だ、このシスコン」と言った。
☆
俺の父親は、俺が五歳の時に亡くなった。その時さくらはたった三歳。それから十一年、母親は女手ひとつで俺たちを育ててくれた。片親にも関わらず、俺たちは心身ともに健康に育ってきた。
特にさくらは優しくて可愛くて、天使のような女の子に育った。
しかし、最近、俺にはひとつ懸念がある。さくらは名前の通り、花のように愛らしい。変な虫がつかないか心配なのだ。
「ただいまー」
「橘」という表札のかかった門を抜け、声を上げながら靴を脱ぐ。母は働いているので日中不在だが、さくらはテスト週間中なのでいるはずだ。案の定、玄関には中学指定の革靴がある。
「えっ、久我先輩が来るの?」
リビングから、浮き足立ったさくらの声が聞こえてくる。俺は、そちらに向かう足を止めた。
「うん、だよね、うわー……絶対行く!」
さくらの声は華やいでいた。まさに、恋する乙女のようである。ますます怪しいではないか。通話を終えたさくらが、受話器を置く。ごほん、と咳払いすると、妹が笑みを浮かべて振り向いた。
「あっ、おにいちゃん、お帰り!」
きらきら輝く黒目がちな瞳、色の入っていない髪はさらさらと肩で揺れている。白い頬は今の電話の余波か、うっすら紅潮していた。いつ見ても、俺の妹はアイドルも真っ青な可愛さである。俺はデレデレしながら答えた。
「ああ、ただいま」
「コーヒー飲む? 淹れてあげる」
さくらはソファから立ち上がり、台所に立つ。今時、中二で兄にコーヒーを淹れてくれる妹がいるだろうか。いや、いない(断定)
俺は、ソファにどかりと座り、置き去られたさくらの携帯をちらりと見た。台所にいるさくらに、さりげなさを装って尋ねる。
「あー……さくら、何か話してたな。部活の集まりかなんかか?」
「うん。OBが指導しに来るの」
さくらはテニス部である。しかし、運動部は基本的に男女別の筈だ。
「ふーん、女の先輩が来るのか」
「ううん、一人すっごい上手い先輩がいるの、男子部の方に。全国大会にも出たんだよ」
「もしかして、うちの学校とか」
「海星高校。凄いよね、運動できて頭もいいなんて!」
絶対そいつだ。久我なんとか先輩は。俺はソファに肘をつき、ふてくされ気味に言う。
「でもさあ、そーいうやつって、性格悪いんじゃね?」
「そんなことないよ、わざわざ来てくれるんだもん」
そいつ、もしやさくらに気があるんじゃないか。もやもやしたものを感じつつ、俺は首を傾げた。
「っていうか、久我なんてやつ、中学の時いたかな……」
昼休み、二年三組の教室は騒めきと弁当の匂いで満ちている。俺は水筒を取り出しながら、向かい合って弁当を食べている恵に尋ねた。
「なあ、恵。久我って知ってるか? 柳中にいたらしいけど」
米を口に運んでいた恵が、箸を止める。
「……久我? 久我正行?」
「ああ、多分そいつ」
「久我が、どうかした?」
「さくらが、そいつが中学に来るって喜んでて……有名なのか?」
恵は箸を置いて、なぜか視線を窓に向けた。俺もつられてそちらを見るが、青空が広がっているだけだった。
「まあ、あらゆる意味で……っていうか、なんで知らないの?」
「さくら関連以外はあんま気になんないからな……」
「まったく、このシスコンは……久我正道って知ってる?」
「誰それ」
恵はため息をついて「この人」と携帯を取り出す。
携帯の画面に映っているのは、精悍な顔つきの男だった。俺はそれを見て、あ、と声を上げる。
「選挙ポスターで見たことある」
「久我正行は、国会議員の息子」
「なんでうちの中学に? 普通私立とか行くだろ」
「さあ……とにかくそいつ、さくらちゃんに近づけないほうがいい」
「なんで?」
恵は眉をしかめて、俺の耳もとにこっそりと囁いた。
「女と見れば、見境ないって」
「!」
俺は真っ青になった。
「な、なななんだと……?」
手がぶるぶる震えて、水筒からお茶が溢れ落ちる。恵が慌ててタオルを差し出してきた。
「ちょっ、ヒロ、こぼれてる」
俺は受け取ったタオルをぎゅう、と握りしめた。そんなやつ、絶対さくらに会わせてたまるものか……!
そして、日曜日。久我が中学に来る日がやってきた。俺はいかにも具合が悪いという風を装いつつ、我が家の階段を降りていった。当然仮病である。
俺は階段の手すりにもたれ、けだるげな表情を作った。そうして、玄関で靴ひもを結ぶさくらに話しかける。
「さくら……」
さくらがくるりと振り向き、驚いたように目を見開いた。ああ、こういう顔も可愛いなあ……。俺は内心デレデレする。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
履き替けた靴から足を引いて、さくらはこちらにやってくる。俺はわざとらしく咳をした。
「いや、なんでもない……ゴホゴホ、ちょっとな」
「寝てたほうがいいよ」
さくらはそう言って、俺を支え、二階へと連れて行く。布団に俺を寝かせ、「お母さんはいないし……」と困ったように呟いた。俺はダメ押しのようにせき込む。
「気にするな、早く行かないと遅れるぞ」
「うん……そうだね」
さくらは曖昧に頷き、俺の部屋を出て行く。彼女の姿が視界から消えるなり、俺は慌てて寝台から起きあがった。
「あ、あれ?」
本当に行ってしまったのか。
俺は脱力して、思わず枕に突っ伏する。四歳の時、「わたし、お兄ちゃんのお嫁さんになる!」と言っていたさくらの笑顔を思い出し、涙を滲ませた。
「さくらあ……」
虚しく名前を呼んでいると、ガチャリと扉が開き、さくらが入ってきた。その手にはお盆がある。
「お粥作ったから食べて」
テーブルにおかゆを置くさくらに、俺は尋ねる。
「さくら……行かなくていいのか?」
「いいんだ、今から行っても間に合わないし」
さくらはお盆を抱えて、にこりと笑った。
「お兄ちゃんの方が大事だもん」
「さくら……!」
俺は感動すると共に、罪悪感に見舞われた。何してるんだ、俺は……さくらを騙すなんて!
そう、別にさくらの邪魔をしたいわけじゃないのだ。ただ、信用ならない男に妹を託すわけにはいかない。――こうなったら、俺が直接出向いてそいつの正体を見極めるしかない。
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