イロコイ短編集

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 ☆

 私、吉永ゆり。BL漫画家で掃除夫☆
 ついさっき、ドクズの彼氏ができました☆
 脳内で明るいナレーションしてみるも、むかつく後輩に処女を奪われそうな事実は変わらない……。

「じゃーさっそくお願いしまーす」
 相良はそんなことを言い、私をラブホテルに引っ張り込んだ。内装は思ったより普通だったが、無駄におおきなベッドを見ると、心臓がどくどく鳴る。

 背後にいた相良が、囁いてくる。
「先輩、キンチョーしてる?」
「し、てないわよ」
「じゃあ、ベッド座って」
 私はぎこちなくベッドに座った。相良は携帯を取り出し、私に向ける。ピコン、という音にびくりとした。

「な、なに撮ってるわけ」
「あ、俺ってハメ撮り好きじゃないですか」
 知るか!
「ふざけんな、撮らないで」
「俺しか見ないからいいじゃないですか。ほら、服脱いで」
 よくないわ。こいつほんと、苦しんで死ねばいいのに。

「ほらほら、早くしてくださいよ。ビデオ撮ると、電池食うんだから」
 このクズが……もういい、さっさと終わらせればいいんだ。私は上着とスカートを脱いだ。
「わ、豪快。そーゆーの好き」
「黙ってて」

 下着を脱ぐとき、少し躊躇した。相良がこっちを見てる。びびってると思われるのは嫌だった。私は思い切ってブラとショーツを脱ぎ、ベッドに寝転んだ。
「早くして。帰ってネームやるから」

 心臓が痛いくらいに鳴っていたが、なんでもない顔をする。相良はこちらに歩いてきて、ベッドに乗り上げた。
 ギシ、と音がして、身体が強張る。相良は携帯を向けたまま、
「じゃ、オナニーして」
「は?」
「みたいなー、処女のオナニー」
 死ね、死ね、死ね!

 私は唇を噛んで、自分の身体に手を這わした。胸を包み、足の間に手を這わす。
「先輩、クリ派?」
「……うるさい」
 見られているのが恥ずかしい上に、相良が上着すら脱いでいないことに腹がたつ。なのに、勝手に濡れてきて、悔しくてたまらない。もうしにたい。

「エロいなー、先輩」
 相良はそんなことを言いながら、ベルトを外している。ごそごそ自身を取り出した。
「な、なにして」
「たっちゃった」
 相良は携帯をこちらに向けながら、性器をしごいている。本当にたってる。へんたいだ。相良のは、ぴくぴく動いていた。あれが、男のひとの。

 私は目を逸らし、枕に顔を埋めた。
「ゆび、中入れてくださいよ」
「いや」
「なんで?」
「音、するから」
「あれー? なんでも言うこと聞くんですよねー」
 このクズ!

 私は指先を膣内にそっと入れた。
「すげーやらしい、先輩」
 相良の目は熱っぽく潤んでいた。はあはあ言ってるし。なんなのよ、このへんたい。
「もっと音出して、クチュクチュって」
「うる、さい」
 相良の言うことなんか聞くのはごめんだが、この状況が恥ずかしくて、とにかく早く終わらせたかった。

 指先を動かしたら、水音がした。相良は私のゆびが埋まった部分をガン見している。こんな変態クズに自慰を見られているなんて、本当にしにたい。
「ん、っ」
 びく、と震えた私の内股に、暖かいものがかかる。
「あ」
 相良の精液だ。ベタベタしてて気持ち悪い。

「あー、エロかった。保存するんでちょっと待ってください」
 相良は嬉しそうに携帯をいじっている。破壊してやりたいが、また慰謝料を請求されるだろう……そう思って、無言で相良の精液をぬぐう。

 保存を終えたらしい彼は、上着を脱いで、ネクタイを解いた。
 携帯を手に、私の方へじりじり寄ってくる。唇が近づいてきたので、私は思わず顔を背けた。
「先輩?」
「き、キスはいやだ」
「え、なんで?」
「好きなひととしたいから」
 相良は目を瞬いて、笑う。
「先輩カワイイ」
「馬鹿にしないで、っ!」

 唇を奪われて、ぎゅ、と目を瞑る。相良はぺろ、と唇を舐め、
「奪っちゃった」
「しね、もう、っ」
 またキスされた。私は呼吸を止めて唇をぎゅうっと閉ざす。
「先輩、息しないと死んじゃいますよ」
「あんたの虫歯菌がうつるからいやだ」
「虫歯ないですよ。いー」
 歯を剥いてみせる。無駄に白い歯だ。歯周病になって、全部抜けてしまえばいいのに。

「ほら、お口あーん」
「いやだっ、ていうの」
 私と相良は互いの顎を掴んで攻防する。なんか間抜けだ。相良は沈痛な面持ちで、
「あー鼻が痛むなあ」
「っしね……」
 屈辱に眉をしかめ、私は唇を開いた。相良がにや、と笑い、唇を重ねて来る。

 彼は何度か軽く口付けたあと、舌を忍ばせてきた。ぬるぬるしてきもちわるい。
 舌が絡まるたびに、くちゅくちゅ音がしている。相良の髪から、シャンプーの匂いがした。花みたいな、甘い匂い。こいつ、いいシャンプー使ってるわね……。相良のくせに。しね。

 おおきな掌が胸を包んだ。
「先輩、胸おっきいね」
「うるさい」
「褒めたのにい」
 柔らかく胸を揉みながら、尖りに舌を這わせた。私は生温い感触に耐えながら歯をくいしばる。
「先輩、修行僧みたいな顔してますよ」
「修行僧見たことあるわけ」
「ないですけど。もっとカワイイ顔してほしいなあ」
「元々こういう顔よ」
「えーさっきはもっとエロい顔してましたよ」
「してない」

 相良は私に携帯を向け、先ほどの映像を再生した。私がオナニーしながら顔を真っ赤にしている。うわっ。
「!」
「ほら、精液かけられてビクビクする先輩、超カワイイ」
「やめなさいよ、このクズ!」
 私は相良の携帯に手を伸ばした。その手を絡め取られる。
「ほら先輩、持ってて」
 私は相良にうながされて、腕を膝の裏に入れ、足を持ち上げる。

「なに、この格好」
「ちゃんと持っててくださいね」
 相良の頭が下がるのが見えて、ぴちゃ、と生温い感触がした。
「え、っ!」
 こいつ、舐めてる。
「きたない、でしょこの変態!」
「すごい濡れてる」
 花芯を舌でつつかれ、私は喉を震わせた。ぴちゃぴちゃといやらしい音がして、頭の奥が熱くなった。
「先輩、きもちいい?」
「きもちわるいわよ、このへんたい」
「嘘つき」

 長い指先が入ってきて、私はびく、と震えた。濡れた中を擦られて、少しの痛みと、脳がじん、と痺れるような快感を覚える。
「あ、や」
「やらしい汁、いっぱい出てきましたよ」
 わざとらしくささやいて、相良が私のなかをくちゅくちゅ抉る。足が攣ってきたけど、相良が掌で押さえつけてるせいで下ろせない。私は震える声で訴えた。
「足が、痛い」
「あ、本当だ。プルプル」

 相良は掌を退け、私の足を降ろさせた。
 私の顔を覗き込み、破顔する。
「その顔カワイイ」
「うるさい、ん」
 唇を奪う。指先が中を行き来して、身体が震えた。
「初めてなのに敏感ですね。なか柔らかいし、オナニーばっかしてるの?」

 図星を突かれて顔が熱くなる。ストレス解消にいいのだ。
「してないわよ、んう」
 無駄にサラサラした髪が胸元に埋まり、甘い匂いが鼻をくすぐる。柔らかく尖りを舐め、ちゅう、と吸った。
「っ」
「ほえはまんひはふへいひへふほ」
 なに言ってるかわかんないわよ。唇を離した相良は、
「声出してくださいよ」
「いやだ」
「えー?」
「早くして。明日も仕事なんだから」

 相良は唇を尖らせて、シャツとズボンを脱ぎ、ダッシュボードに手を伸ばした。引き出しの中にあった、四角い袋を取り出す。
 あれが……コンドーム。相良がそれをつけるのを、私は思わず見つめた。ああいう風なんだ……漫画の参考にしよう。

 目が合ったので慌ててそらす。
「あ、先輩、つけたかった?」
「そんなわけないでしょ」
 相良が覆いかぶさってきたので、私はびくりとした。
 男のひとの裸を見たのは、大学のとき通っていたデッサン教室以来だ。
 もっとヒョロイと思っていたのに、意外と筋肉質だった。──触ってみたい。目の前の男が今からなにをしようとしていたのか一瞬忘れ、私は相良の裸をガン見した。

「あのー」
「え?」
「見るならもっと色っぽい目でお願いします」
「あんたに興味ない」
「先輩、言いますよねー。そういうとこすき」
 私は嫌いだ。
 相良は私に口付けて、ひた、と熱いものを押し付けた。思わず唇を噛む。

「先輩、唇噛む癖直ってませんね。傷ついちゃいますよ」
「あんたに関係ないでしょ」
「ですよねー」
 ゆっくり入ってきたものに、私はあ、と声をあげた。ピリッとした痛みに身体が震える。押し広げられ、喉をそらした。

「あったかい」
 相良は気持ち良さそうに息を吐く。よかったわね。こっちは痛いけど。
「動いていい?」
「勝手にしたら」
 相良がゆっくり私を揺らし始めた。いたい。彼は私の額に額を押し当て、
「先輩がそういう顔してると、すげえ興奮する」

 言葉通り相良の息が荒い。
「このクズ、来世はゴキブリに生まれ変われ、っん」
 奥を突かれ、あ、あ、と声をあげる。痛みが強くなり、涙が滲んだ。
「そういうこと言われると、いじめたくなっちゃうな」
「い、た、い、は……」
「かわいそう、先輩。でもカワイイ」
 私が痛がってるのをみて、相良は笑う。この、ドクズ。

「しね、う」
 相良は私に優しく口付け、柔らかく腰を揺らした。じわじわと、何かが湧き上がってくる。彼は私の目尻をなぞり、
「目がうるうるしてる」
「してない、あ」

 花芯をいじられ、身悶えする。すり上げられるたびに、中が震えて、熱くなる。こんなクズに犯されてるのに、痛みがだんだん薄れて、快感にふるえだす。
「せんぱい、トロ顔しちゃって、俺の、気持ちいい?」
「気持ち、よくな、あ」
ずるっ、と引いて、また押し込む。引き上げられる感覚に、私は息を飲む。
「やだ、相良」
「せんぱいのなか、吸い付いてる」
「へんた、あ」
相良が胸を揉みしだく。乳首をこねられ、腰が揺れてしまう。
「エロ。先輩、処女なのに腰揺れてますよ」
「うるさ、あ、あ」
相良が私を抱き潰し、激しく突いてきた。
「や、ああ、あ」
頭の奥がちかちかする。耳たぶに相良の息があたる。
「その声たまんね。かわいい」
「う、るさい、は、あ」
「あーもういく。先輩も一緒に行こう」
「誰があんたなんかと、っ、あ」 

 相良が私の手を引き、突き上げてきた。くちゅくちゅと音がして、飛沫が飛び散る。内股を伝う、ぬるぬるした感触。 
「や、あ、あ」
 あ、この感じ、絶対血が出てる。最悪。そう思いながら、私は絶頂に震えた。
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