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水泳部のマーメイドの憂鬱 〜水瀬 サクヤ〜

美魔女の戯れ 2 その行為が罠だと感じながらも、あまりにも甘美なモノでーー

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 浪人生にとって、夢精してしまって以降の恋人は、自分の右手である。
 その恋人は長年の連れ添いもあり、誰よりも自身の『気持ちよくなれるポイント』を、知り尽くしている。
 対して、ヨツユの手はツボを押さえてるとは言い難い。
 軽く竿を握り、一定のリズムで緩やかに上下に扱いているだけだ。

(これが、女性の手!! す、凄い。柔らかくて優しいのに、気持ちいい)

 しかし、細くしなやかで長い指先のシャフトと。
 指も含めた掌の柔らかさに包まれて擦られる感覚は、それだけで心地よかった。

「オチンチン、ずいぶん熱くなってるわね?」

 自分の手がペニスを握っても、体温の違いを感じることはあまりない。
 だが、ヨツユの手はとても温かい。
 ヨツユの体温の方が明らかに低いと感じながらも、明確にヨツユの体温を感じられた。
 自分とは違う体温を持つ者が触れることで感じる、触れ合いにより感じる温もり。
 それだけで、童貞ペニスは、長年の恋人を裏切りそうになる。

「それに、触った時点で、根本の辺りまでヌルヌル」
「射精してはいなさそうだけれど、覗く前から先走っちゃってたのかしら?」
「それとも、まさか、覗く前からイッちゃってた?」

 サクヤの入浴時間は、おおよそ決まっている。
 覗く前から自慰を行うのはもったいなさすぎるため、スルのは覗いてから。
 しかし、時間が近づいた段階でペニスは期待し。
 推察の通り、覗く前から肉棒は涎を垂らしていた。

「あっ……そ、それはっ……流石にっ……あぁっ~ーー!!」

 射精を否定しようと口を開いた瞬間。 
 縦一辺倒だった刺激が、瞬間的に横の刺激となった。
 刺激はすぐに縦のモノへ戻ったものの、一定だった刺激のリズムには緩急が。
 堪らず引いてしまった腰は、突如変化したペースについていけず、引きっぱなしに。
 強く背後のヨツユに体重を押し付ける形になったが。
 体幹がいいのか、筋肉のつき方がいいのか。
 細身で華奢な痩身は、ブレることなく浪人生の体を受け止めている。

「コレでイかなかったってことは、早漏くんではないようね」
「ウフフ。オチンチン、もっと、もっと、気持ちよくなりたいって、ビクビクしっぱなしよ」

 耳の穴に向かって、普段より更に低いトーンの声が向けられる。
 当然、生温かな吐息もセットで吹き込まれることになり、耳元から甘美なさざなみが押し寄せてくる。
 数年前、まだJCだったサクヤに、触れ合いこそないものの、背後から似たように囁かれたことがあった。
 その時も、甘えるような声だったが、ヨツユのようにワザと声のトーンを落とすことはなかった。

(サクヤちゃんの時は、色っぽいけどくすぐったいって感が強かったけど)
(こ、これが大人の色気か!? 凄い、ゾクゾクがっ!!)

 声音の高低の落差。
 それだけで、感じる刺激のくすぐったさが、めくるめく甘美な官能へと昇華されて。
 唾液が舌に絡むノイズですら、耳どころか精嚢すらも刺激してくる。
 その上、綺麗な声音で卑猥な言葉を囁かれれば、まともに受け答え出来ぬほど理性を溶かされてしまう。
 つい先ほど、美少女のオナニーを生々しく見せつけられ、コレに勝る刺激はそうそうないだろうと考えていた。
 だが、童貞というのは、あまりにも井の中の蛙であるようだった。
 
「あら? シャワーの音……あの子、頭でも冷やしてるのかしら」

 撮影された動画は、家の角からのものだった。
 流石に、浴室の中の様子までは伺えなかったのだろう。
 対して浪人生は、サクヤがいつもの流れで洗髪をはじめたことを察した。

「まあいいわ。これなら、少し声を出してもバレないでしょう」
「それで、君はサクヤとはどこまでイったのかしら」

「はあ、はぁ? えっ……」

 正直、今はサクヤのことがどうでもよくなっていた。
 絶妙な竿握りによる不規則なシャフトは、少しでも油断すれば即射精しそうな程に心地よかった。
 先走り汁を潤滑油とした、程よい握力の扱きは肉棒を昂らせ。
 昂りがほとばしりへ変わりそうになると、落ち着かせようと宥めてくる。
 同じ握り包んで擦るでも、わずかな加減で感じる刺激が真逆のモノに。
 劣情に身を任せてしまいたいが、もっと長い間味わっていたい。
 だが、それ以上にこの手筒によって果てたい欲望が勝りはじめた。

(い、一回、一回だけ先に)
(大丈夫、普段から2発は余裕だし、こんな気持ちいいなら、4発位はイケる!!)

 二発目を許してもらえるか分からないというのに、次弾のことを考えれば。
 耐えて快楽を持続させるより、目先の強烈な開放感を求めようとしてしまう。

「こーら!! ちゃんと、人の話は聞きなさい!! 続けてあげないわよ」

「す、すいませんっ!!」

「君と、サクヤは今、どんな関係なのかしら?」
「親としては、あまり健全なプレイとは思えないから、心配してるのだけれど」

「……へはっ? そ、それは……!?」

 関係を問われても、風呂を覗いてしまったら、その後オナニーまで見せてくれたという関係は説明し難いものだった。
 それに、問いかけはまるで恋人のような付き合いを前提にしてるように聞こえる。
 手コキを続けてもらいたい一心で、わずかに思考が働いた時、思わずハッとした。
 美少女が自慰を見せてくれて、その母が手コキをいきなり行ってきて勘違いしそうになったが。
 自分はいわゆるモブだ。
 それが、こんなに連続で、これほど美味しい思いをするなんておかしい。
 
(ハニトラ!? へ、下手に答えたら、詰む!!)

 おそらく、ヨツユは自分が純粋な覗き魔なのか、サクヤと合意の上で覗いていたのかを測っているのだ。
 その証拠に、ヨツユの手の動きは射精寸前まで昂らせてはくるも。
 決して、それ以上の刺激を与えてこない。

(そうだ、こんな美味しい話があるはずがない)
(欲望に流されるな。サクヤちゃんとは、合意みたいになってたし)
(サクヤちゃんに、操をたてるように受け答えすれば助かるはず)
(ああ、でもイキたい、気持ちいい!! イったらだめだ、イったら、終わりだ!!)

「サッ、サクヤちゃん以外では……イキませんっ!!」
「はじめては、サクヤちゃんとって決めてます!!」

 切羽詰まった浪人生が咄嗟に絞り出した答えは、ヨツユの問いかけに対する答えになっていなかった。
 それは完全に余裕の無さややましさからくるもので。
 下の鈴口より先に、上に口に方が暴発してしまう。

「へ~、そうなのー……そうだろうとは、思ってはいたけど……とっても身持ちが硬いのね」

 浪人生は気づかない。
 事態打開のために口にした言葉を聞いて。
 ヨツユが背後で、言葉の意図を理解しかねてキョトンとしたことを。
 次の瞬間、獲物を見るような猛禽な笑みを浮かべたことを。
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