43 / 54
琴と小麦の出会い
しおりを挟む
ーーー週末ーーー
琴は祖父母と共にペットショップに来ていた。
「わ~たくさん動物がいるね。」
琴は目を輝かせ店内を見回した。
シャイニーは、琴の頭を優しく撫でながらソッと囁いた。
「琴ちゃんを癒してくれる子が待ってるよ。」
琴はキョロキョロしながら歩き、お目当てのハリネズミを探した。
「え~と…ハリネズミはどこかな~あ!いた!」
ガラスケースに入ったハリネズミを見つけ、琴は駆け寄った。
「あれ?みんな寝てる…」
「あら、本当ね…琴ちゃん、ハリネズミは夜行性で昼間は寝ている事が多いみたいよ。」
祖母は、ガラスケースに貼られた説明書きを指差し言った。
「そっか…起きてる姿、見たかったな~」
残念そうに肩を落とす琴に、シャイニーは再び囁いた。
「琴ちゃん、右上の棚を見てごらん。可愛らしい子が見てるよ。」
シャイニーの声は聞こえていないが、琴はふと右上の棚が気になり目を向けた。
すると、1匹のデグーがケージに前足を掛け琴を見ている。
「あれ?この子、琴を見てるよ。」
立ち上がりケージを覗くと、デグーがアピールするかのように隙間から鼻を突き出してきた。
「僕はデグー。琴ちゃんの家に連れて行って欲しいな~」
デグーは鼻をヒクヒクさせアピールした後、回し車をカラカラと回し始めた。
「琴ちゃん、見て見て~回し車も回せるんだ。」
デグーはプラスチック製の回し車から顔を覗かせ、琴を見ながら回り続けた。
「この子、琴を見ながら回し車を回してるよ。可愛い~」
「あら、面白いわね。え~と、この子はデグーですって。昼行性だから日中は起きてるみたいね。でも、何だかネズミみたいね~」
「ばぁば、でも顔はウサギみたいだよ。ネズミじゃないよ。」
「でも…色がね。尻尾も長くてネズミみたいだし…」
「尻尾は先がフサフサしててライオンみたいだよ。」
デグーは、回し車を回しながら2人の話しを聞いていた。
祖母は、どうしてもネズミに見えるらしくためらっているようだった。
「ね!じいじ、この子がいい。いいでしょ?」
「まぁ…琴ちゃんが飼いたいと思う子が一番じゃないか?それに、このデグー半額になってるぞ。」
「あら…本当。そうね。琴ちゃんが飼いたい子が一番ね。デグーにしましょう。」
「やった~!」
琴は嬉しさのあまり、その場でピョンピョンとジャンプした。
「今日から、あなたは家族になるんだよ。」
琴は、ニコニコしながらデグーに話し掛けた。
「よし!やった!ここから出られる!」
デグーは、小さくガッツポーズをしてシャイニーを見た。
「シャイニー、ありがとう。やっとここから出られるよ。」
「良かったね。デグーくん。これから琴ちゃんをよろしくね。」
シャイニーが手を差し出すと、デグーは小さな手を人差し指に乗せ握手をした。
「もちろんだよ。僕に任せて!」
デグーが、腰に手を当て胸を反らすポーズをとっていると、店員がケージに手を入れ捕まえようとした。
「うわっ!分かったよ。分かったから、無理やり掴まないでよ。こう見えてもデリケートなんだからさ。」
デグーがプラスチックケースに入れられると、琴達は飼育に必要な物を買い揃え家に帰っていった。
家に着くと、ケージは琴の部屋に設置された。
琴はケースからデグーを出し、ケージの中にソッと入れた。
デグーは、暫くウロウロと動き回り一通り匂いを嗅ぐと巣箱の中に入っていった。
「琴ちゃん、今日はこの子をソッとしておいてあげるのよ。慣れない環境で怖がってるはずだからね。少しずつ慣らすのよ。」
「分かってるって。ばぁば。慣れたら遊べるようになるんでしょ?」
「そうね。外遊びが好きらしいから慣れたらね。名前付けてあげないとね。」
「そうだ!名前付けなきゃ。何が良いかな~可愛い名前にしたいな~」
琴は勉強机に向かうと、ノートを出して名前を考え始めた。
「名前が決まったら教えてね。」
祖父母は、ニコニコしながら琴の部屋を出て行った。
「この子は男の子だから…」
琴はブツブツ言いながら、名前の候補をノートに書き出していった。
「きなこ…あずき…女の子みたいだからダメでしょ~あんず…これも女の子みたい。小麦…そうだ!小麦にしよう!」
琴は、ケージの前に座るとデグーに話し掛けた。
「あなたの名前は小麦だよ。」
小麦は、巣箱から顔を出すと軽く首を傾げ琴を見た。
「分かる?これから小麦って呼ぶからね。」
小麦は、のそのそと巣箱から出て、琴の前まで来るとケージに前足を掛けた。
「ピー」
「あ!返事した。分かったのかな?」
一鳴きした後、小麦は牧草を食べ始めた。
「早く一緒に遊びたいな~」
小麦を見つめる琴の目はとても優しく、シャイニーはそんな琴を見て嬉しくなるのだった。
「琴ちゃん、だいぶ元気になって良かったね。このままいくと、僕が天使の国に帰る日も近いかな…」
そう考えると、シャイニーは嬉しい半面、寂しさも感じ胸がギュッと締め付けられるような感覚を覚えるのだった。
琴は祖父母と共にペットショップに来ていた。
「わ~たくさん動物がいるね。」
琴は目を輝かせ店内を見回した。
シャイニーは、琴の頭を優しく撫でながらソッと囁いた。
「琴ちゃんを癒してくれる子が待ってるよ。」
琴はキョロキョロしながら歩き、お目当てのハリネズミを探した。
「え~と…ハリネズミはどこかな~あ!いた!」
ガラスケースに入ったハリネズミを見つけ、琴は駆け寄った。
「あれ?みんな寝てる…」
「あら、本当ね…琴ちゃん、ハリネズミは夜行性で昼間は寝ている事が多いみたいよ。」
祖母は、ガラスケースに貼られた説明書きを指差し言った。
「そっか…起きてる姿、見たかったな~」
残念そうに肩を落とす琴に、シャイニーは再び囁いた。
「琴ちゃん、右上の棚を見てごらん。可愛らしい子が見てるよ。」
シャイニーの声は聞こえていないが、琴はふと右上の棚が気になり目を向けた。
すると、1匹のデグーがケージに前足を掛け琴を見ている。
「あれ?この子、琴を見てるよ。」
立ち上がりケージを覗くと、デグーがアピールするかのように隙間から鼻を突き出してきた。
「僕はデグー。琴ちゃんの家に連れて行って欲しいな~」
デグーは鼻をヒクヒクさせアピールした後、回し車をカラカラと回し始めた。
「琴ちゃん、見て見て~回し車も回せるんだ。」
デグーはプラスチック製の回し車から顔を覗かせ、琴を見ながら回り続けた。
「この子、琴を見ながら回し車を回してるよ。可愛い~」
「あら、面白いわね。え~と、この子はデグーですって。昼行性だから日中は起きてるみたいね。でも、何だかネズミみたいね~」
「ばぁば、でも顔はウサギみたいだよ。ネズミじゃないよ。」
「でも…色がね。尻尾も長くてネズミみたいだし…」
「尻尾は先がフサフサしててライオンみたいだよ。」
デグーは、回し車を回しながら2人の話しを聞いていた。
祖母は、どうしてもネズミに見えるらしくためらっているようだった。
「ね!じいじ、この子がいい。いいでしょ?」
「まぁ…琴ちゃんが飼いたいと思う子が一番じゃないか?それに、このデグー半額になってるぞ。」
「あら…本当。そうね。琴ちゃんが飼いたい子が一番ね。デグーにしましょう。」
「やった~!」
琴は嬉しさのあまり、その場でピョンピョンとジャンプした。
「今日から、あなたは家族になるんだよ。」
琴は、ニコニコしながらデグーに話し掛けた。
「よし!やった!ここから出られる!」
デグーは、小さくガッツポーズをしてシャイニーを見た。
「シャイニー、ありがとう。やっとここから出られるよ。」
「良かったね。デグーくん。これから琴ちゃんをよろしくね。」
シャイニーが手を差し出すと、デグーは小さな手を人差し指に乗せ握手をした。
「もちろんだよ。僕に任せて!」
デグーが、腰に手を当て胸を反らすポーズをとっていると、店員がケージに手を入れ捕まえようとした。
「うわっ!分かったよ。分かったから、無理やり掴まないでよ。こう見えてもデリケートなんだからさ。」
デグーがプラスチックケースに入れられると、琴達は飼育に必要な物を買い揃え家に帰っていった。
家に着くと、ケージは琴の部屋に設置された。
琴はケースからデグーを出し、ケージの中にソッと入れた。
デグーは、暫くウロウロと動き回り一通り匂いを嗅ぐと巣箱の中に入っていった。
「琴ちゃん、今日はこの子をソッとしておいてあげるのよ。慣れない環境で怖がってるはずだからね。少しずつ慣らすのよ。」
「分かってるって。ばぁば。慣れたら遊べるようになるんでしょ?」
「そうね。外遊びが好きらしいから慣れたらね。名前付けてあげないとね。」
「そうだ!名前付けなきゃ。何が良いかな~可愛い名前にしたいな~」
琴は勉強机に向かうと、ノートを出して名前を考え始めた。
「名前が決まったら教えてね。」
祖父母は、ニコニコしながら琴の部屋を出て行った。
「この子は男の子だから…」
琴はブツブツ言いながら、名前の候補をノートに書き出していった。
「きなこ…あずき…女の子みたいだからダメでしょ~あんず…これも女の子みたい。小麦…そうだ!小麦にしよう!」
琴は、ケージの前に座るとデグーに話し掛けた。
「あなたの名前は小麦だよ。」
小麦は、巣箱から顔を出すと軽く首を傾げ琴を見た。
「分かる?これから小麦って呼ぶからね。」
小麦は、のそのそと巣箱から出て、琴の前まで来るとケージに前足を掛けた。
「ピー」
「あ!返事した。分かったのかな?」
一鳴きした後、小麦は牧草を食べ始めた。
「早く一緒に遊びたいな~」
小麦を見つめる琴の目はとても優しく、シャイニーはそんな琴を見て嬉しくなるのだった。
「琴ちゃん、だいぶ元気になって良かったね。このままいくと、僕が天使の国に帰る日も近いかな…」
そう考えると、シャイニーは嬉しい半面、寂しさも感じ胸がギュッと締め付けられるような感覚を覚えるのだった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
明日は晴れますか
春紗
ファンタジー
そこは国で一番美しく魔法の技術も高く誰もが理想とする活気ある領地だった。だが、ある日を境にゴーストタウンのような領地へと変わってしまった。瘴気に覆われ…作物は実りにくく…住人はほんの数人…建物は廃墟だらけ…呪いの魔法使いの噂…そんな領地を昔のように快適で素晴らしい場所へと変えていく
『私はここを素晴らしい場所へと変えるために来ました。約束は必ず果たすそれが私のモットーです』
策略、チート、技術、知識、有能な部下…この領地昔より…いや、国で一番最強の領地へと成り上がっている
これは、13歳の謎に満ちた彼女が領地開拓をする物語。彼女は何者なのか…なぜ領地を守るのか…
最恐の領地から最高の領地へと成り上がる
神機妙算の神々
AGE・小説家となるもの
ファンタジー
全ての神が集まる天界
神機妙算な神々達は神の意義を問い分からず人間に転生することによって答えを求めようとした
が悪魔達はそれをチャンスとし神々共を殲滅しに動き出す!!
攫われた聖女~魔族って、本当に悪なの?~
月輪林檎
ファンタジー
人々を恐怖に陥れる存在や魔族を束ねる王と呼ばれる魔王。そんな魔王に対抗できる力を持つ者を勇者と言う。
そんな勇者を支える存在の一人として、聖女と呼ばれる者がいた。聖女は、邪な存在を浄化するという特性を持ち、勇者と共に魔王を打ち破ったとさえ言われている。
だが、代が変わっていく毎に、段々と聖女の技が魔族に効きにくくなっていた……
今代の聖女となったクララは、勇者パーティーとして旅をしていたが、ある日、勇者にパーティーから出て行けと言われてしまう。
勇者達と別れて、街を歩いていると、突然話しかけられ眠らされてしまう。眼を覚ました時には、目の前に敵である魔族の姿が……
人々の敵である魔族。その魔族は本当に悪なのか。クララは、魔族と暮らしていく中でその事について考えていく。
魔法少女になれたなら【完結済み】
M・A・J・O
ファンタジー
【第5回カクヨムWeb小説コンテスト、中間選考突破!】
【第2回ファミ通文庫大賞、中間選考突破!】
【第9回ネット小説大賞、一次選考突破!】
とある普通の女子小学生――“椎名結衣”はある日一冊の本と出会う。
そこから少女の生活は一変する。
なんとその本は魔法のステッキで?
魔法のステッキにより、強引に魔法少女にされてしまった結衣。
異能力の戦いに戸惑いながらも、何とか着実に勝利を重ねて行く。
これは人間の願いの物語。
愉快痛快なステッキに振り回される憐れな少女の“願い”やいかに――
謎に包まれた魔法少女劇が今――始まる。
・表紙絵はTwitterのフォロワー様より。
ジャンヌ・ガーディクスの世界
西野 うみれ
ファンタジー
近くで戦闘勝利があるだけで経験値吸収。戦わずして最強になる見習い僧侶ジャンヌの成長物語。
オーガーやタイタン、サイクロプロス、ヘカトンケイレスなど巨人が治める隣国。その隣国と戦闘が絶えないウッドバルト王国に住むジャンヌ。まだ見習い僧兵としての彼は、祖父から譲り受けた「エクスペリエンスの指輪」により、100メートル以内で起こった戦闘勝利の経験値を吸収できるようになる。戦わずして、最強になるジャンヌ。いじめられっ子の彼が強さを手に入れていく。力をつけていくジャンヌ、誰もが無意識に使っている魔法、なかでも蘇生魔法や即死魔法と呼ばれる生死を司る魔法があるのはなぜか。何気なく認めていた魔法の世界は、二章から崩れていく。
全28話・二章立てのハイファンタジー・SFミステリーです。
gimmick-天遣騎士団-
秋谷イル
ファンタジー
千年前、異界から来た神々と創世の神々とがぶつかり合い、三つに分断された世界。ガナン大陸では最北の国カーネライズの皇帝ジニヤが狂気に走り、邪神の眷属「魔獣」を復活させ自国の民以外を根絶やしにしようとしていた。
だが大陸の半分がその狂気に飲み込まれてしまった時、伝説の舞台となった聖地オルトランドの丘でそれを再現するかのように創世の三柱の使徒「天遣騎士団」が現れ、窮地に陥っていた人々を救う。
その後、天遣騎士団は魔獣の軍勢を撃破しながら進軍し、ついには皇帝ジニヤを打倒してカーネライズの暴走に終止符を打った。
一年後、天遣騎士団の半数はまだカーネライズに留まっていた。大陸全土の恨みを買った帝国民を「収容所」と称した旧帝都に匿い、守るためである。しかし、同時にそれは帝国の陥落直前に判明したあるものの存在を探すための任務でもあった。
そんなある日、団長ブレイブと共にこの地に留まっていた副長アイズ、通称「黒い天士」は魔獣の生き残りに襲われていた少女を助ける。両親を喪い、成り行きで天遣騎士団が面倒を見ることになった彼女の世話を「唯一の女だから」という理由で任せられるアイズ。
無垢な少女との交流で彼女の中に初めての感情が芽生え始めたことにより、歴史はまた大きく動き始める。
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる