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「橘さん、最近良いことあった?」
「え?」
突然同僚の棚橋に言われて、和花はギクッと肩を揺らした。“良いこと”とは何を指しているのだろうか。差し当たり、秀人と付き合い始めたことが和花にとって良いことにあたるのだが。
「よく笑ってるよね」
「へ、変ですか?」
「違う違う。良い感じ。幸せそう」
「ありがとうございます」
「その笑顔、チーム長にも分けてあげてよ。いつもしかめっ面して仕事してるから。厳しくて怖いんだよー」
棚橋は大げさに目をつり上げて言う。
確かに秀人は会社ではクールだ。だが、和花と二人きりの時はよく笑ってくれるし、その笑顔は優しくていちいち和花の胸をきゅんとさせる。
そんな姿を知っているのは自分だけなのかもしれないと考えると、和花はちょっぴり優越感に酔いしれた。
「和花ちゃんお疲れ~。なんか最近楽しそうじゃない?」
手を振りながら陽気にやってきたなぎさは、和花の姿を見るなりそう指摘した。
和花は自分でも前よりも人とコミュニケーションが取れていると感じていた。それはきっと秀人のおかげだ。秀人が和花に与えてくれる愛が、和花の心を溶かしているのだ。
「んん?何があったのかなー?」
「別に何もないですよ」
「佐伯くん?」
その名前を聞くだけでドキッと胸が高鳴る。そんな反応を見てなぎさはニヨニヨと楽しげな笑みを浮かべた。
「橘さん、最近良いことあった?」
「え?」
突然同僚の棚橋に言われて、和花はギクッと肩を揺らした。“良いこと”とは何を指しているのだろうか。差し当たり、秀人と付き合い始めたことが和花にとって良いことにあたるのだが。
「よく笑ってるよね」
「へ、変ですか?」
「違う違う。良い感じ。幸せそう」
「ありがとうございます」
「その笑顔、チーム長にも分けてあげてよ。いつもしかめっ面して仕事してるから。厳しくて怖いんだよー」
棚橋は大げさに目をつり上げて言う。
確かに秀人は会社ではクールだ。だが、和花と二人きりの時はよく笑ってくれるし、その笑顔は優しくていちいち和花の胸をきゅんとさせる。
そんな姿を知っているのは自分だけなのかもしれないと考えると、和花はちょっぴり優越感に酔いしれた。
「和花ちゃんお疲れ~。なんか最近楽しそうじゃない?」
手を振りながら陽気にやってきたなぎさは、和花の姿を見るなりそう指摘した。
和花は自分でも前よりも人とコミュニケーションが取れていると感じていた。それはきっと秀人のおかげだ。秀人が和花に与えてくれる愛が、和花の心を溶かしているのだ。
「んん?何があったのかなー?」
「別に何もないですよ」
「佐伯くん?」
その名前を聞くだけでドキッと胸が高鳴る。そんな反応を見てなぎさはニヨニヨと楽しげな笑みを浮かべた。
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