超短編小説集 4.5.6月

いとくめ

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2023.5月

証明

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傷つけられたのは事実なのに
証拠がなければ証明することができない

声の大きな彼らはしらを切り
わたしの言うことを嘘だと吹聴するだろう

何を言おうと意味はない
都合よく解釈され片付けられておしまいになる

そのうち記憶は曖昧になり
話題にする人もいなくなって

ついには
わたしの認識が間違っていたのではないか
本当に起きたことなのだろうかと
自分のことを疑い始めることになる

だけど
わたしがおかしいのだとしたら
いまも傷ついたままのわたしはなぜここにいる?
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