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19・お前の番だ
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「思い出したか?」
杏の様子をじっと見守っていたハスが口を開いた。
「その石は、お前の母親のものだった」
「…そうかもしれない」
杏は記憶の中の母を思った。
母の胸に光っていたペンダント。
手のひらにそっと握らされたのはこの石だ。
でもわけがわからない。
この石のせいで人間以外の生き物と話せるなんて。
杏は信じられない思いで、手の中の石を見た。
「嘘じゃないし夢でもない、現実だ。それから」
怖がらせるつもりはないんだが、とハスは続けた。
「それを狙っている奴らがいる」
「この石を?誰が?」
「ああ。お前も庭の穴を知っているだろう?」
そう言ってハスは庭を振り返る。
ここ数日で、庭にはまた掘り返されたような穴が増えていた。
「あれはアズマモグラのせいじゃない。その石を探しに来た奴らの仕業だ」
「それって誰なの?」
「十年前ここでお前の母親を殺した奴らだ。俺たちは、あいつらを『悪しきものたち』と呼んでいる」
「信じられない。だって母さんは」
言いかけて杏は声を詰まらせた。
母は心臓麻痺で亡くなったはずだ。
わたしがわがままを言ったせいで。
降り積もった枯れ葉の中で発見された幼い自分を杏は思い出す。
母の頬に光ったもの、最後に抱きしめられた時の腕の強さ。
「はなは戦い、お前と石を守ったんだ。次はお前がその石の持ち主だ。俺はそれを奴らから守るために来た。用心しろ杏、もうすぐ奴らがくる」
ハスの言葉に呼応するように、杏の手のひらの石が光った。
杏の様子をじっと見守っていたハスが口を開いた。
「その石は、お前の母親のものだった」
「…そうかもしれない」
杏は記憶の中の母を思った。
母の胸に光っていたペンダント。
手のひらにそっと握らされたのはこの石だ。
でもわけがわからない。
この石のせいで人間以外の生き物と話せるなんて。
杏は信じられない思いで、手の中の石を見た。
「嘘じゃないし夢でもない、現実だ。それから」
怖がらせるつもりはないんだが、とハスは続けた。
「それを狙っている奴らがいる」
「この石を?誰が?」
「ああ。お前も庭の穴を知っているだろう?」
そう言ってハスは庭を振り返る。
ここ数日で、庭にはまた掘り返されたような穴が増えていた。
「あれはアズマモグラのせいじゃない。その石を探しに来た奴らの仕業だ」
「それって誰なの?」
「十年前ここでお前の母親を殺した奴らだ。俺たちは、あいつらを『悪しきものたち』と呼んでいる」
「信じられない。だって母さんは」
言いかけて杏は声を詰まらせた。
母は心臓麻痺で亡くなったはずだ。
わたしがわがままを言ったせいで。
降り積もった枯れ葉の中で発見された幼い自分を杏は思い出す。
母の頬に光ったもの、最後に抱きしめられた時の腕の強さ。
「はなは戦い、お前と石を守ったんだ。次はお前がその石の持ち主だ。俺はそれを奴らから守るために来た。用心しろ杏、もうすぐ奴らがくる」
ハスの言葉に呼応するように、杏の手のひらの石が光った。
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