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第二十一話 はじめて(性描写有)

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(どうしよう……もうギブアップしそう、詠臣さん、いつもと違う! 当たり前なんだけど、男性の顔をしている!)
 寧々は胸の中が、モゾモゾとして落ち着かない気がした。
(好きな人と抱き合いたいと思ってたけど、いざ……ってなると、どうしたらいいか分からないよ! 私、上手く出来るのかな⁉ 変なやつだと思われたりしないかな……大丈夫かな?)
 初めての事に、寧々は不安と心配に襲われた。もちろん、期待や興奮もあるけれど、好きだからこそ、嫌われたりしないかネガティブになった。
「寧々……」
 詠臣は寧々を抱き上げて歩き出すと、ベッドに優しく座らせた。

(ここから……私はどうしたらいいんだろう……男女が何をするのか位は知っているけど……実際、どうしたら良いかわからないよ! どうしよう、美怜ちゃん! もっと勉強しておけば良かったよ!)
寧々の混乱をよそに、詠臣はネクタイの結び目に指を差し入れて、もどかしそうに引き抜いた。
(かっ……かっこいい……)
 寧々が詠臣に見惚れているうちに、詠臣は軍服のジャケットを脱いで床に捨てた。
 普段ならば、しっかりとハンガーに掛ける詠臣の粗野な振る舞いに、寧々は、さらにドキッとした。
 そして、詠臣はワイシャツの腕のボタンを外した。

(あっ……私も服を脱ぐべき? 今がその時なのでしょうか? えっ……どうしよう、これ首元まであるパーティードレスなの! チャックが後ろなの……)
 寧々が固まっている間に、詠臣はワイシャツの胸のボタンを外しにかかっていた。
(ワイシャツの隙間から見える詠臣さんのお胸……す、すごくドキドキする……抱きつきたい……どうしよう、私……おかしいのかな⁉)
「寧々……あまり熱心に見つめられると、優しくできなくなります」
 寧々の視線に気がついた詠臣が、苦笑してワイシャツを脱ぎ捨てた。
 そして、上半身裸の状態で寧々に近づいて、膝でベッドに乗り上げた。迫り来る、美しい雄の肉体が、寧々を圧倒する。

「そんな不安そうな顔をしないでください……虐めたくなります」
「え、いしんさ……んっ……あっ」
 詠臣の手が寧々の頬に添えられ、唇を食べるようにキスをされた。
 いつもより激しく、執拗なキスに呼吸がままならない。ギュッと目を閉じて縋るように詠臣の胸に手を置いて、相手が素肌なことに鼓動が高鳴った。
「……はっ……んぁ……あっ」
 角度を変えて、より深く口付けられたソコから、舌が入って来た。
(こ……これが、ディープキスっていう……キス……詠臣さんの……舌が、私の中で動いている……)
 寧々がキスに圧倒され喘いでいるうちに、詠臣の腕が後ろに回り、寧々の背中のファスナーをゆっくりと下げていった。首元までキッチリと身を包むドレスがはらりと胸元まで垂れた。

「やっ……」
 恥ずかしくなった寧々は胸元でドレスを押さえた。顔を下げた事でキスが止んだ。
「寧々……嫌ですか?」
 寧々に迫っていた詠臣が、後ろに引いてベッドの上で片膝だけ正座をした状態で止まった。
 寧々がゆっくりと首を振った。
「私……詠臣さんみたいな、素敵な体じゃなくて……恥ずかしい」
「……」
 詠臣が眉間を摘まむように抑え、俯いた。深いため息が出ている。
「……私だけには、見せてください」
 気を取り直した詠臣が、自分が脱いだシャツを手を伸ばし拾い上げて、寧々の肩から掛けた。
 そんな詠臣の紳士的な振る舞いに、寧々の胸がキュンと締め付けられた。

 詠臣が寧々の首元で、シャツをマントのように抑えてくれている間に、寧々はブラジャーを外してドレスを引き抜くと、恥ずかしさの余り詠臣のシャツに腕を通して着た。
 詠臣が目を見張って笑っている。
(ショーツも脱ぐのかな……でも、詠臣さんもズボンはいているし、まだ良いよね……だって、無理……)
「……」
 寧々が、泣きそうな顔で詠臣を見上げると、詠臣が寧々の頭を支えてベッドに押し倒した。
「寧々……好きです、とても……」
 詠臣の手がシャツの隙間から入り、寧々の胸に触れた。
 少し荒れている詠臣の硬い手に、意識的に優しく触れられると、くすぐったいような心地よさに包まれた。
「……あっ……んっ」
 温かい手が寧々の胸を優しく揉みながら、反対の手が寧々のお腹や脇を撫でている。
「詠臣さん……」
(すごく、大切に扱われているのが、わかる……心が満たされる……嬉しい……好きが溢れてくる)
 寧々は柔らかい表情で微笑むと、詠臣の頬に手を伸ばし、人差し指で唇に触れた。
 すると、その指にチュッとキスをされたので「そっちじゃなくて……」と寧々が不満を漏らすと、意地悪そうに微笑んだ詠臣が寧々に顔を寄せ、軽いキスををした。
そして、その唇は、首筋、胸元へと下がっていった。

「やぁっ……あ……うっ」
 指で弄られ痼った乳首に口付けられて、寧々の体が震えた。
(なに、これ……ジンジンする……息が詰まる……でも、やめて欲しくない……)
 詠臣の口に含まれた乳首は、温かい舌に優しく吸われ舐められて、寧々の腰が浮き上がった。少し濡れてきたソコに詠臣の手が迫る。
「あっ……駄目っ」
 恥ずかしくて、やめてと言おうとした寧々の口が詠臣のキスに塞がれた。
 置き去りにされた胸が寒くて、シャツの前を引き寄せたら、乳首が擦れ予期せぬ快感に眉を顰めた。
「寧々……」
(ずるい……詠臣さんに、そんな熱っぽく名前を呼ばれたら……何も言えないよ……)
 詠臣の手はショーツの上から寧々の秘所に触れた。

「詠臣さん……あっ……」
 濡れてしまったソコが恥ずかしくて、寧々は唇を噛みしめた。
 しかし、触れるか触れないかのタッチで、何度もソコを擦られると、耐えきれなくなって、荒い吐息が漏れる。
「ゆっくりしましょう……寧々の心臓が驚かないように……」
「……」
 言葉通り、詠臣は寧々の体をゆっくり開いていった。
 あまりに、丁寧すぎて……寧々が焦れるまで。

「えっ、詠臣さん! もう……やだっ……」
 詠臣の指にいかされて、更になお解されて……寧々は、もう限界が近かった。気持ちいいのも辛いと初めて知った。
「……痛い思いをするかもしれません……」
 寧々の中から指を抜いた詠臣は、一度起き上がって軍服のズボンを脱ぎ捨てた。
 ソコには、勃起して下着を押し上げる、凶悪なモノが待っていた。
(……痛い……思い……えっと、えっと……)
 再び覆い被さってきた詠臣のソレが、寧々のもとに近づいて来た。
 いつの間にか、避妊具も装着されている。

「……すみません」
 苦しそうな顔で謝る詠臣に、寧々は何故だか高揚感が湧いた。
(詠臣さんが……愛しい……)
 覚悟を決めて、詠臣の首に腕を回した。
 硬く大きなソレが、寧々の中に沈み込んで来る。
(いっ……痛い……あんなに解されたけど……少し……痛い……)
「寧々……寧々…」
 自身を穿つ圧迫感と痛みはあったけれど、それよりも興奮が勝った。
(詠臣さんが必死に私を呼んでる……苦しそうで、気持ちよさそうな顔が……堪らない……)
「えい、しんさ……ああっ……ん……あ…」
 最初は痛いばかりだったけれど、痛みの中にも少しづつ疼くような快楽が戻ってきた。
 寧々の様子の変化を感じ取った詠臣が、寧々の気持ち良い所を探り、刺激するように腰を打ち付けた。

 詠臣は、やり過ぎるな、耐えろ、相手は体の弱い寧々なのだと頭では分かっていたが、普段は大人しく清らかな印象の寧々が、蕩けるような顔で喘いでる姿に止まらなかった。
 それに……今、この瞬間だけでも、寧々が自分だけのモノになっているという、独占欲が満たされる快感に溺れそうだった。
「…くっ……寧々……愛しています……寧々…」
 しっとりと汗を掻いた詠臣が、髪を乱し覆い被さると、寧々の手を掴んで指を絡めた。
「あっ、やぁ……詠臣さ……あっ……んっ、あぁー‼」
 詠臣に握りしめられた、寧々の手の力が抜けた。
 はぁはぁと呼吸の乱れた詠臣の体が、寧々の上に寄り添うと、最後まで食べ尽くされるようにキスをされた。

 しばらく、寄り添って横になった後、詠臣が額に手を当てて、深いため息をついた。
 寧々は、自分が何かしてしまったのかと、ギョッとして隣に寝ている詠臣の方を見た。
「……空将にご連絡するのを……忘れてました」
「っ!」
(そうだった……お爺様に、詠臣さんと食事してから帰りますってメールしたんだった……今、えっ……十二時……まさか私、今から帰されちゃう?)
 寧々は明日筋肉痛になっていそうな重い体を起こして、詠臣の胸の上に顔を乗せた。
「……帰らないと駄目ですか?」
 寧々の行動に詠臣が目を瞑って笑った。
「帰さない理由を考えてました……可愛いことをしないでください……これ以上、碌でもない男になりたくないです」
 詠臣の手が寧々の乱れた髪を撫でた。
 気持ち良くて幸せで、つい笑ってしまう。
「寧々……」
 体を少し起こした詠臣が肘をついて横になると、寧々の唇にキスをした。
 唇が離れると、二人で見つめ合って微笑んだ。
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