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そろそろ、たまってた。
しおりを挟む目が覚めた時には、俺のベッドに眠っていた。まだ夜は明けてない。外は真っ暗闇だ。
蒼陽がここまで運んでくれたのかな?起き上がって蒼陽のベットを確認しようとして、俺の時が止まった。
パンツの中が、ぬちゃっとした。パンツの中が……濡れている。これは……おしっこじゃない。
「……でちゃった」
まさかの夢精!いや……この世界に転生して一ヶ月以上経ったけど、おっぱい触られたりとか有ったけど、そういえば、この体で一度も射精してない。だからって……何てことだ。どうしよう。
「……」
俺は気持ち悪いパンツに耐えながら起き上がり、周囲を警戒した。レッドは見張りで不在。蒼陽は、居ない。あれ?豹兒も、ジフも居ない。みんなお帰り宴会でもしているのだろうか?
「今のうちに!」
着替えよう。ベッドの下には俺の為に集めてもらった洋服が収納されている。パンツを取り出しベッドの上に置いて、床に立ち、ズボンのウエストゴムに手をかけ下ろし始めたとき…部屋の扉が開いて、LEDランプの明かりが俺を照らした。
「……あっ」
「あ゛」
濡れた股間が空気にさらせて肌寒い。まだ出たばかりだったのか精液が糸を引いている。俺はズボンを脱ぐ途中の格好のまま動けない。顔が熱い。は…恥ずかしい。
「犬……てめぇ、ついにションべん漏らしたのか?」
意地悪い顔で笑ったジフが、顎の無精髭をポリポリ掻きながら近寄ってきた。
「ちがっ……こ…これは…」
「なんだ?マスかいてたのか?」
目の前までやって来たジフが、目を細めて俺の濡れた性器とパンツにランプを翳して見た。
「そうじゃなくて……俺…」
「お前、まさか夢精したのか。おい……ガキかよ。豹兒とぬいてんじゃねーのか?」
俺はブンブンと首を振って、パンツを掴んで引き上げようとした。その手がジフに止められる。
「着替えろよ、エッチな奴隷さんよぉ。お前、あんなこと言っといて、赤ちゃんかよ」
俺の前にヤンキー座りしたジフが、俺の性器を掌にのせて持ち上げた。そして気がつく。ジフ、酒臭い!酔っ払い!?うわ…最悪だっと思って気がついた。さっきの俺も酒の勢いで、蒼陽の雄っぱいにセクハラした事実を……。反省だ!俺…最低だ。
「あっ、あっち行ってジフ!離して!」
掴まれたペニスが恥ずかしくて見られない。顔を逸らして言った。
「犬は、ここも可愛いんだな。ほら、脱げ」
俺の性器を離したジフは、俺のズボンとパンツを引き下ろした。そして俺をベッドの上に倒した。びっくりして目をギュッと瞑り、体を硬くして仰向けて止まる。ジフの手によってパンツもズボンも引き抜かれ、ジフが俺のベッドに膝で乗り上げてきた。
「ほら、足通せ」
何故か俺のパンツを手にして、俺の足に通していくジフ。
「おい、腰上げろ」
パンツを履かされる俺。えっ……ちょと襲われるのかと思った自分が恥ずかしい!というか、なんで履かす?えっ?え?
「よし、風邪引くなよ、ちんこ」
俺のペニスを指さし確認したジフが、フラフラと自分のベッドに戻りうつ伏せに倒れ込み、眠った。
「ジ…ジフの馬鹿!」
俺はパンツ姿のまま起き上がり、ジフのベッドに乗り込んだ。ジフの大きな体に乗り上げて、その背中をパコパコ叩いたけれど、ジフは気持ちよさそうに寝ている。
「ジーフー、絶対許さない」
俺は、首をひねり考えた。ジフへの仕返しを。
「よし!」
俺は、ジフのTシャツを捲り背中に唇を寄せた。ちゅーっと強く吸い付き、プハーと息を吸った。次は、うなじ。その次は体を何とかひっくり返して、耳の下辺りに吸い付いた。そして、またシャツを捲り上げて、ジフのちょっと筋っぽい雄っぱいに口を寄せて甘噛みした。
「んっ…んがっ…」
ジフの寝息が詰まった。モソモソっとTシャツから抜け出し、今度は力を入れなくても浮き上がっている素晴らしき腹筋に吸い付いた。
「完璧だ……」
この全身に散らばるキスマークに驚き、俺の身に何があったんだとビックリするといい!ふふふ……と意地悪く笑って、俺はズボンを履いてパンツを洗いに出かけた。
無事、普段誰も入らない部屋にパンツを干して、守衛室を覗いた。ソコには酒に酔い潰れた三人が各々の場所で眠っている。
「み…見張りは?はっ!今こそ活躍の時!」
俺は、眠りこけているレッドの代わりに、ライフルを装備して外が見える場所に椅子を用意して座った。今夜、この工場は俺が守る!
□□□□
「……ポチ……ポチ、危ない」
誰かが俺に声を掛けて、頬を優しく叩いている。んんーと唸りながら重い瞼を開けた。視界に広がる豹兒の顔。
「…コレ、抜くよ」
俺が抱え込んでいるライフルが豹兒に引き抜かれた。俺は椅子に座って寝たからガチガチに固まった体を小さく動かして解してから、大きく伸びをした。
「んー、おはよう豹兒」
腕と共に、顎を思いっきり逸らして伸びた。すると後ろにはコメカミを抑えて水を飲んでいる蒼陽と、髭が生えまくっているレッドがいた。
「ポチ……それどうしたの?」
「え?何が」
眉を寄せて俺の首を指さす豹兒。俺から取り上げられたライフルは机に置かれた。
「赤くなっている」
「そう?銃口当たってたのかな?」
見えないから良く分からないけど。
「危ない」
「ごめん。あーあ、結局寝ちゃったよ、見張りしてようと思ったのに」
「あー、ごめん、ポチ。つい飲み過ぎちゃったよ。俺が見張りだったのに。ジフにバレたら怒られそう」
レッドがテーブルの上のスルメのような食べ物を手にして口に入れた。
「おい、お前ら。さっさと目を覚ませ。今日は忙しいぞ。明日には台風が来るぞ。準備しろ」
いつの間にか入り口に立っていたジフが俺達に声をかけた。レッドは「ハイ!」と飛び上がると、そそくさと部屋を後にした。豹兒は飲んだ酒の瓶を集めて片付けに向かう。蒼陽は「帰り支度をします」と俺に手を振った。
「ジフ、おはよう」
俺は昨日の悪戯を思い出して、ニヤニヤするのを堪えて挨拶をした。ジフ、朝着替えたみたいだし、気づいたかな?キスマーク!
「なぁ、ポチ」
「なに?」
ジフがチンピラみたいにポケットに手をつっこんで、ゆっくりと俺の元に歩いてきた。そして俺の肩に顎をのせるように屈んだ。
「お前が俺の事をそんなに好きだとは思わなかったぜ……お返ししといたぜ」
俺の耳がジフによって舐められた。舌の感覚と数日剃ってない髭と、吐息で俺の背中にゾクゾクっと震えが走った。
「うひゃあ!」
蚊を潰すように思いっきり自分の耳を押さえたら、キーンと耳鳴りがした。
「おっ…おかえし!?」
なんでバレたの!?しかも、まさか……豹兒に言われた首の跡ってまさか!
「たっぷり楽しませて貰ったぜ、エッチな奴隷の体をな」
「えええ!」
俺は、その場から走って逃げ出し、パンツを干した部屋に入った。あちこち服を捲って確かめるけど、何もなかった。おそらく、首だけなのだろう。
だ、騙された。完全に遊ばれた。俺は乾いたパンツを握りしめて窓ガラスに投げつけた。
あれ?ジフ…何で俺だって分かったの?酔ってたけど記憶があるの?意識あったの?
だとしたら、俺……あんなに一生懸命、ジフの体中にキスしてるの……分かってたの!?
「ああああ!」
仕返しのつもりが……ただの恥の上塗りだった……。
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