望月アグリと申します

有住葉月

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第8章　修行って！

１、アグリ先生って呼んで！

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望月アグリと申します。

さて、山岡先生のお子様の家庭教師をすることになりました。

帰ってきて、お母さんに言いました。
「それって、タダ働きさせたいだっけなん？」
「いいえ、私のことをわかっていただきたいんです。」
「そういうてもなあ。住み込みはせんでええの？」
「はい。住み込みしないで通いでします。」
「まあ、それはいいことだけど。」

ということで、私は家族の了承も得られました。

あ、お忘れですか？
ヨウスケさんは最近、おかえりにならないので、まあ了承したとしましょう。

翌日、山岡先生のお家に伺いました。
「初めまして、望月です。」
ドアを開けると、少女と少年がいました。

「ゲラ！」
「はい？」
「ゲットアウト！」
「え？」
「あんた、英語できないの？」
「女学校ではそこそこ」
「ゲラもわからないなんて大したことない家庭教師ね。」
「どういう意味なんですか？」
「出てけって意味よ。」

なんてことでしょう。
そしてあの山岡先生のお子様とは思えないこの対応。

「あの、私にだって得意科目はありますから、子供部屋までご案内ください。」
「好きにすれば。」

お嬢様は自己紹介せず、スタスタ歩いて行ってしまいました。
私も履き物を脱いで急いで跡を追いかけました。

「ここが子供部屋。。。」
机と椅子は二個ありますが、大変片付いておりません。

「あの、お勉強はなさってるんですか？」
「日本の学校はバカなことしか教えないからやめたの。」
「え？」
「ママから聞いてない？私たちこの間までパパとアメリカにいたのよ。」
「ああ、知りませんでした。」
「あなた、全然信用されてないのね。」
「信用って。」
「私、あなたより頭いいと思う。」

お嬢様、そう思っても言わないのが礼儀ってものですよ。

「そう、思ったらごめんなさい。お互い自己紹介をしましょう。」
「I'm勝」
「I'm舞」

え？

「あの、英語で自己紹介ですか？」
「先生はできないの？」

悔しいです。
でも、わかりましたので、
「勝さんと舞さん、私は望月アグリです。」
「そう、アグリって変な名前ね。」
「いいえ、英語でアグリカルチャーってあるじゃないですか？」
「あ、農業ね。貧相な名前。」

「私のことは先生と呼んでください。」

「やだね！」
勝さんが叫びました。
私のやり場のない怒り。。。

まだまだ、家庭教師は始まったばっかりです。

ということで、今日はこの辺りで失礼します。お粗末さまでした。

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