望月アグリと申します

有住葉月

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第6章 いざ東京

3上野に到着

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望月アグリと申します。
電車の車内で親切な職業婦人の方とお話ししながらの車中でしたので、あっという間に上野につきました。

「望月さん、あなた、東京大丈夫?」
「え?どういうことですか?」
「ご主人、お迎えとかきてないの?」
「はい、でも行き方は番頭さんから聞いているので。」
「じゃあ、ついていけないけど、頑張ってね。」

そのお姉さんは、辻百貨店の銀座店のお化粧品コーナーで働いている加藤さんという方でした。

いつか、お礼にいきたいものです。

兎にも角にも、上野の駅は大きいものでした。
加藤さんに大丈夫と言ってしまいましたが、全然大丈夫ではありません。
むしろ、自分を過信したことを後悔しました。

磯部さんが書いてくれたメモを取り出します。
「上野に着いたら、山手線に乗って、東京を目指してください。その後、中央線に乗り換えて、、」

色々書いてありました。
でも、山手線やら何やらもうわかりません。

私は上野で降りてみることにしてみました。

初めての東京です。
お上りさんかもしれませんが、西郷さんをみてみたくなりました。
「あの、」
歩いている人に声をかけてみました。
「お姉さん、どうしたの?」
「あの、西郷さんに行ってみたくて。」
「そしたら、あの階段降りて、右に行くとあるよ。また階段登るけど。」

親切な紳士でした。
今考えると、悪い人にスリでもされても仕方ない状況だったんですね。

私は幸か不幸か西郷さんに辿り着きました。
あの西南戦争を戦い抜いた英雄。
あ、私は女学校時代、歴史研究会におりまして、こういうことが好きなのです。

って、私は本来の目的、望月の家に向かうことを忘れておりました。
しかし、腹が減っては戦はできぬ。
磯部さんが持たせてくれた、おにぎりを車中ではお話に夢中で食べておりませんでしたので。
上野の恩賜公園で食べることにしました。

ここは緑が多くて、群馬のようでした。
そうしたらちょっと涙が出てきました。

どうやって、望月の家まで行こう。

空を見上げました。
ああ、やってみたいことをすればいいのね。

私は、上野駅に乗り付けているタクシーに住所を伝えました。
難なく、ヨウスケさんの家につきました。
お父様から頂いたお金の30%はそこでなくなってしまいました。

でもいいんです。あのまま上野で呆けても何にもなりませんからね。

ということで、今日はこの辺りで失礼します。お粗末さまでした。
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