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第十六章 最終学年
86、その日の夕食
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その日の夕食、櫻は父と今日会った話をした。
「そうだね。気をつけなくてはいけない件だね。」
父はすぐに神妙に思ってくれ、心配してくれた。
「ありがとうございます。お父さんに相談してよかった。」
「それで、その若葉先生は櫻の手に余っているんだよね。」
「うーん。わかりません。でも、不意に辻先生とのことが知られそうで。」
「坊ちゃんにも早く伝えなくては。明日坂本さんに会う予定があるよ。」
「よかった。いつも帰りの時に坂本さんを坂のしたで見かけるんですが、私も車で声もかけられないし、坂本さんと話しているのを若葉先生に見られたらと怖くて。」
「櫻は早く成長してしまったんだね。」
「え?」
「もっと、無邪気でもいいんだよ。」
「どういうことですか?」
「結婚で狙ってくる男が現れるのは当たり前の時期だ。だから、周りが本当はサポートしなくてはいけないしね。」
「それって?」
「うん。そうなんだけどね。私の長女の由美子の話を詳しくはしてなかったね。」
「ああ、外国にすぐに行かれてしまったお嬢様でしたね。」
「彼女は最終学年でお見合いをしてすぐに外国に行ってしまった。」
「お父さんは婿のことは考えなかったんですか?」
「ああ、考えた。でも、特に佐藤の家を再興しようなんて思ってなかったしね。」
「そう思う親は少ないですよね。」
「心のどこかで次女の恵美がいるからいいと思っていたのかも知らない。」
「え?」
「いや、絶対次いで欲しいなんていうことじゃないよ。でも、縛りたくなかったんだ。」
「私も本当は婿取りした方がいいですか?」
「いや、この家に来てもらったのも坊っちゃまのところに行く前提だから大丈夫だよ。」
「私、深く考えなくて。」
「いや、本当にいいんだ。でも、若葉先生はとても上昇志向の人なんだね。」
「え?」
「辻財閥とはいえ、私一代で終わるかもしれないのに、櫻の懐に入ろうとはね。」
「一代って。」
「人生はその人のものだ。もちろん、将来由美子が日本に帰ることがあれば、苗字が違っても歓迎するよ。」
「私が辻になっても?」
「ああ、その通りだ。若いことは罪でもあり、勇気でもある。」
「深い言葉ですね。」
「私も若い時は勇気があった。でも、もう失った勇気を櫻からもらっているよ。」
「そうなんですか?」
「だから、気にしないで。」
父に相談してよかった。翌日昼間に坂本に話してくれ、それを辻に伝言してくれることになったと聞いた時、櫻は安堵した。
「そうだね。気をつけなくてはいけない件だね。」
父はすぐに神妙に思ってくれ、心配してくれた。
「ありがとうございます。お父さんに相談してよかった。」
「それで、その若葉先生は櫻の手に余っているんだよね。」
「うーん。わかりません。でも、不意に辻先生とのことが知られそうで。」
「坊ちゃんにも早く伝えなくては。明日坂本さんに会う予定があるよ。」
「よかった。いつも帰りの時に坂本さんを坂のしたで見かけるんですが、私も車で声もかけられないし、坂本さんと話しているのを若葉先生に見られたらと怖くて。」
「櫻は早く成長してしまったんだね。」
「え?」
「もっと、無邪気でもいいんだよ。」
「どういうことですか?」
「結婚で狙ってくる男が現れるのは当たり前の時期だ。だから、周りが本当はサポートしなくてはいけないしね。」
「それって?」
「うん。そうなんだけどね。私の長女の由美子の話を詳しくはしてなかったね。」
「ああ、外国にすぐに行かれてしまったお嬢様でしたね。」
「彼女は最終学年でお見合いをしてすぐに外国に行ってしまった。」
「お父さんは婿のことは考えなかったんですか?」
「ああ、考えた。でも、特に佐藤の家を再興しようなんて思ってなかったしね。」
「そう思う親は少ないですよね。」
「心のどこかで次女の恵美がいるからいいと思っていたのかも知らない。」
「え?」
「いや、絶対次いで欲しいなんていうことじゃないよ。でも、縛りたくなかったんだ。」
「私も本当は婿取りした方がいいですか?」
「いや、この家に来てもらったのも坊っちゃまのところに行く前提だから大丈夫だよ。」
「私、深く考えなくて。」
「いや、本当にいいんだ。でも、若葉先生はとても上昇志向の人なんだね。」
「え?」
「辻財閥とはいえ、私一代で終わるかもしれないのに、櫻の懐に入ろうとはね。」
「一代って。」
「人生はその人のものだ。もちろん、将来由美子が日本に帰ることがあれば、苗字が違っても歓迎するよ。」
「私が辻になっても?」
「ああ、その通りだ。若いことは罪でもあり、勇気でもある。」
「深い言葉ですね。」
「私も若い時は勇気があった。でも、もう失った勇気を櫻からもらっているよ。」
「そうなんですか?」
「だから、気にしないで。」
父に相談してよかった。翌日昼間に坂本に話してくれ、それを辻に伝言してくれることになったと聞いた時、櫻は安堵した。
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