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第十六章 最終学年
20、佐藤家に帰って
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櫻は佐藤家に帰って、夕食を父と食べていた。
「お父さん、お世話になった望月のアグリ先生が今日出産されたんです。」
「あれ?今日、櫻は家庭教師の日じゃなかったのかい?」
「そうです。流れでお手伝いすることになりました。」
「君はなんでもするんだね。」
「お世話になった先生ですから。」
「櫻の生きてきた17年間は無駄じゃなかったんだね。」
「え?」
「いろんな家で経験してきたんだろ、出産の。」
「そうです。」
「うちの長女、今外国にいる子だけどね。孫はまだいなくてね。」
「そうなんですか。子供は縁ですからね。」
「うん、そうなんだ。だから、うちは息子もいないし、櫻がお嫁に行ったらお墓も潰すかもな。」
「そんなこと言わないでください。」
「どうして?」
「私、お嫁に行ったって、この家に時々は帰ります。」
「坊ちゃんの家が許すかね?」
「辻先生は私を飼い殺しにしたくないと言っています。」
「うん、社長はそれで失敗してるしね。」
「私、将来子供を産むかわかりませんが、それでももしできたら、お父さんにも抱っこして欲しいです。」
「嬉しいことを言うね。」
「たとえば、私が5人の子供を産んだら、成人したら佐藤の家に入れます。」
「え?」
「私、いっぱい子供欲しいんです。」
「でも、働きながらたくさんの子どもは大変だよ。」
「私、女性だけが育児に参加するのはどうも変だと思っていて。」
「どうして?」
「父親が育児に参加したら、子どもはとても幸せに育つと思うんです。」
「それは言えるかもね。」
「お父さんはどんな育児だったんですか?」
「僕はね、姉が女中をしていたから、家事全般を仕込まれていてね。だから、そう言うことで、女中がいてもオシメを変えたり、風呂に入れたり、一緒に添い寝したりしたよ。」
「そんなお父さんいるんですね。」
「変わった考えだろ?」
「私は理想です。」
「そう言ってくれると嬉しいよ。」
「ぜひ、辻先生に指導してください。」
「櫻、気が早いよ。」
「ああ、そうでした。」
「でも、君が妥協しない子供ということ知ってるよ。だからそうしたいし、そうでありたい。」
櫻は父がとても子煩悩で子供と関わっていたことに感動した。
だからこそ、失った時の悲しさは人一倍なのかもしれない。
恩返しという意味でも素敵な子供を産みたいと思った。
「お父さん、お世話になった望月のアグリ先生が今日出産されたんです。」
「あれ?今日、櫻は家庭教師の日じゃなかったのかい?」
「そうです。流れでお手伝いすることになりました。」
「君はなんでもするんだね。」
「お世話になった先生ですから。」
「櫻の生きてきた17年間は無駄じゃなかったんだね。」
「え?」
「いろんな家で経験してきたんだろ、出産の。」
「そうです。」
「うちの長女、今外国にいる子だけどね。孫はまだいなくてね。」
「そうなんですか。子供は縁ですからね。」
「うん、そうなんだ。だから、うちは息子もいないし、櫻がお嫁に行ったらお墓も潰すかもな。」
「そんなこと言わないでください。」
「どうして?」
「私、お嫁に行ったって、この家に時々は帰ります。」
「坊ちゃんの家が許すかね?」
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「うん、社長はそれで失敗してるしね。」
「私、将来子供を産むかわかりませんが、それでももしできたら、お父さんにも抱っこして欲しいです。」
「嬉しいことを言うね。」
「たとえば、私が5人の子供を産んだら、成人したら佐藤の家に入れます。」
「え?」
「私、いっぱい子供欲しいんです。」
「でも、働きながらたくさんの子どもは大変だよ。」
「私、女性だけが育児に参加するのはどうも変だと思っていて。」
「どうして?」
「父親が育児に参加したら、子どもはとても幸せに育つと思うんです。」
「それは言えるかもね。」
「お父さんはどんな育児だったんですか?」
「僕はね、姉が女中をしていたから、家事全般を仕込まれていてね。だから、そう言うことで、女中がいてもオシメを変えたり、風呂に入れたり、一緒に添い寝したりしたよ。」
「そんなお父さんいるんですね。」
「変わった考えだろ?」
「私は理想です。」
「そう言ってくれると嬉しいよ。」
「ぜひ、辻先生に指導してください。」
「櫻、気が早いよ。」
「ああ、そうでした。」
「でも、君が妥協しない子供ということ知ってるよ。だからそうしたいし、そうでありたい。」
櫻は父がとても子煩悩で子供と関わっていたことに感動した。
だからこそ、失った時の悲しさは人一倍なのかもしれない。
恩返しという意味でも素敵な子供を産みたいと思った。
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