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第十六章 最終学年
11、父への報告
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家に帰ると、19時ごろに父が帰るからその頃夕食にしましょうと言われた。
さすが時間ぴったりで、父は19時ごろに帰ってきた。
「やあ、櫻まっててくれたのかい?」
「はい、おしゃべりもしたくて。」
「じゃあ、すぐに着替えてくるよ。」
父はすぐにダイニングに戻ってきた。
「いいね、おしゃべりのある夕食は。」
「はい。」
「そうだ、僕の名前について櫻にはきちんと話していなかったね。」
「ああ、そうでした。」
「興味なかった?」
「いえ、自分のことで手一杯で。」
「そうだね。櫻自身が苗字が変わったんだしね。」
「ところで、お父さん、お名前の件て?」
「そう、僕の名前は佐藤政誠実というんだ。」
「まさみち、ってどんな漢字ですか?」
「笑ってしまうんだけどね、誠実って書くんだよ。」
「え?」
「誠に実でまさみちなんだ。」
「素敵なお名前ですね。」
「本当?」
「はい。」
「僕はね、名前負けしてるんじゃないかっていつも恥ずかしったよ。」
「全然!お父さんは、とても誠実な方です。」
「名前が僕を引っ張ったのかもしれないと思うよ。名前らしく生きなくてはってね。」
「そうですね。私も本当はサクだったのに、自分で櫻にしてしまいました。」
「櫻は十分、花開いてるよ。まだ5分咲きくらいかな?」
「5分咲き?」
「そう。今、世間では桜が満開だろ。櫻はきっともっと大成するよ。」
「努力しなきゃですね。名前負けしないように。」
「そう。名前が後押ししてくれる。」
ふと会話の途中で、壁にヤモリがいることに気がついた。
「お父さん、ヤモリ、が。」
「ああ、いいよ。この家にもきてくれるようになったんだね。」
「え?」
「ヤモリは家に幸運をもたらしてくれるんだよ。」
「え?そうなんですか?」
「そう。だから、勝手に追いやったり殺したりしたらダメだんだ。」
「以前にもヤモリが来たんですか?」
「ああ、もう5年も経つけどね。」
「じゃあ、久しぶりの再会ですね。」
「うん、櫻が来てくれてそれで来てくれたんだね。」
「私がくる前から、ずっといたんですよ。きっと。女中さんたちもとっても素敵だし。」
「そうだね。ずっといてくれて、今日再開したのかもしれない。」
「そうですよ。」
「うん、そうだね。」
夜の来訪者がこれからの櫻を後押しすることは、この時の櫻はまだ知らない。
さすが時間ぴったりで、父は19時ごろに帰ってきた。
「やあ、櫻まっててくれたのかい?」
「はい、おしゃべりもしたくて。」
「じゃあ、すぐに着替えてくるよ。」
父はすぐにダイニングに戻ってきた。
「いいね、おしゃべりのある夕食は。」
「はい。」
「そうだ、僕の名前について櫻にはきちんと話していなかったね。」
「ああ、そうでした。」
「興味なかった?」
「いえ、自分のことで手一杯で。」
「そうだね。櫻自身が苗字が変わったんだしね。」
「ところで、お父さん、お名前の件て?」
「そう、僕の名前は佐藤政誠実というんだ。」
「まさみち、ってどんな漢字ですか?」
「笑ってしまうんだけどね、誠実って書くんだよ。」
「え?」
「誠に実でまさみちなんだ。」
「素敵なお名前ですね。」
「本当?」
「はい。」
「僕はね、名前負けしてるんじゃないかっていつも恥ずかしったよ。」
「全然!お父さんは、とても誠実な方です。」
「名前が僕を引っ張ったのかもしれないと思うよ。名前らしく生きなくてはってね。」
「そうですね。私も本当はサクだったのに、自分で櫻にしてしまいました。」
「櫻は十分、花開いてるよ。まだ5分咲きくらいかな?」
「5分咲き?」
「そう。今、世間では桜が満開だろ。櫻はきっともっと大成するよ。」
「努力しなきゃですね。名前負けしないように。」
「そう。名前が後押ししてくれる。」
ふと会話の途中で、壁にヤモリがいることに気がついた。
「お父さん、ヤモリ、が。」
「ああ、いいよ。この家にもきてくれるようになったんだね。」
「え?」
「ヤモリは家に幸運をもたらしてくれるんだよ。」
「え?そうなんですか?」
「そう。だから、勝手に追いやったり殺したりしたらダメだんだ。」
「以前にもヤモリが来たんですか?」
「ああ、もう5年も経つけどね。」
「じゃあ、久しぶりの再会ですね。」
「うん、櫻が来てくれてそれで来てくれたんだね。」
「私がくる前から、ずっといたんですよ。きっと。女中さんたちもとっても素敵だし。」
「そうだね。ずっといてくれて、今日再開したのかもしれない。」
「そうですよ。」
「うん、そうだね。」
夜の来訪者がこれからの櫻を後押しすることは、この時の櫻はまだ知らない。
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