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第十六章 最終学年
8、出版社への出社
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久しぶりに出版社への出社となり、櫻はワクワクしていた。
昼食はスエが持たせてくれたワッパ弁当を公園で食べた。
14時過ぎに出版社の下につき、階段を上った。
ドアを開けると、富田が記事に読み入っていた。
「編集長、お久しぶりです。」
「あら!櫻さん。ああ、もう佐藤さんのよね。」
「はい、お陰様で。」
「今日は、佐藤邸から?」
「いいえ、今日は学校の帰りに出社しました。」
「ああ、そうね。もう学校が始まる時期だわね。」
「今日は何をしましょうか?」
「そうね、する仕事は余るほどあるの。だから、溜まっている校正をしてもらえるかしら?」
櫻は溜まっている原稿を渡された。
「結構ありますね。」
「そうなの。今、新人教育に一人取られちゃって、うちみたいな会社だと一人いるかどうかで変わるのよね。」
「では、早速働きます。」
櫻はワクワクが止まらない感覚を思い出した。
そして、校正する原稿を読んでいく。
女性の生き方やコラムが載っている。
女性も主張しているが、男性の原稿も何個かあった。
一通り、原稿を読むと富田編集長から渡された分は終わった。
しかし、富田の前にはどさっとまだまだ原稿はあるようだ。
ふと、自分の席から海辺を見た。
東京湾だ。
今日は晴れていて、春の風が吹いている。
春のかぜは強い。優しい季節なのに、飛ばされそうになるくらいである。
ピシっと窓が風で鳴った。
櫻はそういえば花見をしていないなと思った。
一年前はまだ辻と出会ってなかった。
梅雨のその前に出会ったので後もう少しで一年。
一緒に桜を見たいと思った。
自分のつけた名前だとしても、桜を見て桜を二人で味わいたいと。
そんな考え事をしていたら富田編集長に呼ばれた。
「櫻さん、ぼんやりして、もう令嬢ともなればペースも変わる?」
「それって?」
「うん、嫌味。」
富田はニコニコしながら、次の原稿を渡してきた。
「私はどんな身分でも関係ないわよ。」
「もちろん、そうしてください。」
「あら、令嬢様はいうこと違うわね。」
「違いません!」
はははと二人で笑った。
やはり、この出版社は風通しがいい。
冨田カヨというこの人物が作り上げたからはある。
そしてまた櫻は原稿の世界へと入って行った。
それは櫻にとってとても素敵な時間だった。
昼食はスエが持たせてくれたワッパ弁当を公園で食べた。
14時過ぎに出版社の下につき、階段を上った。
ドアを開けると、富田が記事に読み入っていた。
「編集長、お久しぶりです。」
「あら!櫻さん。ああ、もう佐藤さんのよね。」
「はい、お陰様で。」
「今日は、佐藤邸から?」
「いいえ、今日は学校の帰りに出社しました。」
「ああ、そうね。もう学校が始まる時期だわね。」
「今日は何をしましょうか?」
「そうね、する仕事は余るほどあるの。だから、溜まっている校正をしてもらえるかしら?」
櫻は溜まっている原稿を渡された。
「結構ありますね。」
「そうなの。今、新人教育に一人取られちゃって、うちみたいな会社だと一人いるかどうかで変わるのよね。」
「では、早速働きます。」
櫻はワクワクが止まらない感覚を思い出した。
そして、校正する原稿を読んでいく。
女性の生き方やコラムが載っている。
女性も主張しているが、男性の原稿も何個かあった。
一通り、原稿を読むと富田編集長から渡された分は終わった。
しかし、富田の前にはどさっとまだまだ原稿はあるようだ。
ふと、自分の席から海辺を見た。
東京湾だ。
今日は晴れていて、春の風が吹いている。
春のかぜは強い。優しい季節なのに、飛ばされそうになるくらいである。
ピシっと窓が風で鳴った。
櫻はそういえば花見をしていないなと思った。
一年前はまだ辻と出会ってなかった。
梅雨のその前に出会ったので後もう少しで一年。
一緒に桜を見たいと思った。
自分のつけた名前だとしても、桜を見て桜を二人で味わいたいと。
そんな考え事をしていたら富田編集長に呼ばれた。
「櫻さん、ぼんやりして、もう令嬢ともなればペースも変わる?」
「それって?」
「うん、嫌味。」
富田はニコニコしながら、次の原稿を渡してきた。
「私はどんな身分でも関係ないわよ。」
「もちろん、そうしてください。」
「あら、令嬢様はいうこと違うわね。」
「違いません!」
はははと二人で笑った。
やはり、この出版社は風通しがいい。
冨田カヨというこの人物が作り上げたからはある。
そしてまた櫻は原稿の世界へと入って行った。
それは櫻にとってとても素敵な時間だった。
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