283 / 419
第十六章 最終学年
4、担任
しおりを挟む
櫻は教室に入ると、サッと席についた。
今まで江藤だったのが佐藤になったので、15番だった。
1番か2番がいつもだっただけに、それはちょっと戸惑った。
後ろの方では女学生が誰と婚約したという話題で盛り上がっていた。
興味があるのか上野もその輪に入っていた。
昔の櫻だったらそれを侮蔑の目で見ていただろう。
しかし、今は違う。
結婚を前提として養女になったのだ。
今まで結婚を忌み嫌っていた自分が。
私の1番大切な人と共に歩むことができる、そう恥じないようにしたいと思った。
すると、ホームルームの時間を知らせる鐘が鳴った。
騒がしかった教室はみな、席についた。
席には年度はじめということで名札がついていた。
しばらくすると、ガラガラと戸が開いた。
すると、辻が入ってきた。
また、皆が騒がしくなった。
「コホン」
辻が、せきをした。
すると、教室が静かになった。
「えー、皆さん本年度担任になりました。辻潤之助です。皆さんにカラクリやフランス語を教えていたのであえて、自己紹介は不要かと思いますが、どうぞよろしく。」
皆が拍手をした。
「あとね、皆さんに紹介したい先生がいます。」
教室がまたざわめく。
「もう婚約者がいて将来を決めている人もいるともうが、将来のことは僕自身、自分で決められる世の中が来るといいと思っている。そこで、生活指導である若葉先生に進路指導をしてもらうことになりました。」
すると、また戸がガラガラと開いて学生ふうの若い青年が入ってきた。
「初めまして。若葉守です。早稲田で歴史を専攻していました。今年度は学校全体を見ていきます。」
すると、女学生が手を挙げた。
「あの、先生、質問が。」
「なんでしょう?」
「許嫁がおありで?」
「それは?」
「重要な質問です。」
「うーん。ある意味で言うと、ノーで、イエスです。」
「え?」
「お見合い合戦の最中です。」
教室がドッと笑った。
辻が口を開いた。
「と言うことで、僕と若葉先生でこのクラスを見ていくからよろしく。では一限の先生に任せます。」
そう言って、2人は教室を出て行った。
櫻は若葉が何かあるような気がして少し不安になった。
今まで江藤だったのが佐藤になったので、15番だった。
1番か2番がいつもだっただけに、それはちょっと戸惑った。
後ろの方では女学生が誰と婚約したという話題で盛り上がっていた。
興味があるのか上野もその輪に入っていた。
昔の櫻だったらそれを侮蔑の目で見ていただろう。
しかし、今は違う。
結婚を前提として養女になったのだ。
今まで結婚を忌み嫌っていた自分が。
私の1番大切な人と共に歩むことができる、そう恥じないようにしたいと思った。
すると、ホームルームの時間を知らせる鐘が鳴った。
騒がしかった教室はみな、席についた。
席には年度はじめということで名札がついていた。
しばらくすると、ガラガラと戸が開いた。
すると、辻が入ってきた。
また、皆が騒がしくなった。
「コホン」
辻が、せきをした。
すると、教室が静かになった。
「えー、皆さん本年度担任になりました。辻潤之助です。皆さんにカラクリやフランス語を教えていたのであえて、自己紹介は不要かと思いますが、どうぞよろしく。」
皆が拍手をした。
「あとね、皆さんに紹介したい先生がいます。」
教室がまたざわめく。
「もう婚約者がいて将来を決めている人もいるともうが、将来のことは僕自身、自分で決められる世の中が来るといいと思っている。そこで、生活指導である若葉先生に進路指導をしてもらうことになりました。」
すると、また戸がガラガラと開いて学生ふうの若い青年が入ってきた。
「初めまして。若葉守です。早稲田で歴史を専攻していました。今年度は学校全体を見ていきます。」
すると、女学生が手を挙げた。
「あの、先生、質問が。」
「なんでしょう?」
「許嫁がおありで?」
「それは?」
「重要な質問です。」
「うーん。ある意味で言うと、ノーで、イエスです。」
「え?」
「お見合い合戦の最中です。」
教室がドッと笑った。
辻が口を開いた。
「と言うことで、僕と若葉先生でこのクラスを見ていくからよろしく。では一限の先生に任せます。」
そう言って、2人は教室を出て行った。
櫻は若葉が何かあるような気がして少し不安になった。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる