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第十五章 佐藤櫻として
7,久しぶりの話
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辻としばらく抱き合った後、ふたりは体を離した。
「久しぶりでしたね。」
「そうだね。」
「櫻くん、くれぐれもいっておくけど、女学生の君にもう手出しはしないつもりなんだ。」
「え?」
「まえはいたずらでちょっかいをだすようなこともしたけどね、でも君の時間を子供ができたりしてうばいたくないんだ。」
そう、辻は言うとベッドにふたりで腰掛けるように促した。
「大丈夫、なにもしないよ。」
「はい。」
「あのね、ぼくは、アグリ君を見てきて心底思ったんだ。」
「なにをですか?」
「学校を途中でやめなければならないつらさをさ。」
「本当は最後まで通いたかったって、アグリ先生おっしゃってました。」
「そう、そうなんだよ。ぼくが一時の快楽のために子供ができたとするだろ。」
「。。。。」
「そうしたら、君は学校をやめなくてはならなくなる。そして、結婚も難しくなるかもしれない。」
「それは?」
「うちの親父はね、順序というのに大変厳しんだ。だから、そこからそれたらみとめない。だから、今回、養女になってもらったんだけど。」
「ええ。」
「でもさ、おかしな話じゃないかい?」
「え?」
「順序って法律じゃないだろ。だから、ちょっと反発もあるんだ。」
「でも、それにしたがってるのはどうしてですか?」
「君を幸せな形で嫁にむかえたいからだよ。」
「養女に来たばかりなのにもう、結婚の話ですか、ふふ。」
「君も上手だね。」
「いいえ、先生のほうが。」
そして、二人は笑った。
「ああ、いつになく真剣なはなしをしてしまったね。それにしてもこの部屋、とてもロマンチックだね。」
「そうですね。アメリカの物語の少女の家のような。」
「あ、赤毛のアンだろ。」
「先生、ご存じですか?」
「まだ翻訳されてないけどね。きみは原文で読んだのかい?」
「はい。でもわからない単語もまだありますけど。」
「君は外国に絶対行くべきだね。これは絶対といっていい。」
「私も行ってみたいです。紀行文でもだそうかな。」
「僕も櫻君の紀行文読んでみたいよ。」
この部屋にいるとまるで外国にいるような気分になる。
櫻はそれがうれしかった。
そして、その空間に辻といられることがもっと嬉しかった。
「久しぶりでしたね。」
「そうだね。」
「櫻くん、くれぐれもいっておくけど、女学生の君にもう手出しはしないつもりなんだ。」
「え?」
「まえはいたずらでちょっかいをだすようなこともしたけどね、でも君の時間を子供ができたりしてうばいたくないんだ。」
そう、辻は言うとベッドにふたりで腰掛けるように促した。
「大丈夫、なにもしないよ。」
「はい。」
「あのね、ぼくは、アグリ君を見てきて心底思ったんだ。」
「なにをですか?」
「学校を途中でやめなければならないつらさをさ。」
「本当は最後まで通いたかったって、アグリ先生おっしゃってました。」
「そう、そうなんだよ。ぼくが一時の快楽のために子供ができたとするだろ。」
「。。。。」
「そうしたら、君は学校をやめなくてはならなくなる。そして、結婚も難しくなるかもしれない。」
「それは?」
「うちの親父はね、順序というのに大変厳しんだ。だから、そこからそれたらみとめない。だから、今回、養女になってもらったんだけど。」
「ええ。」
「でもさ、おかしな話じゃないかい?」
「え?」
「順序って法律じゃないだろ。だから、ちょっと反発もあるんだ。」
「でも、それにしたがってるのはどうしてですか?」
「君を幸せな形で嫁にむかえたいからだよ。」
「養女に来たばかりなのにもう、結婚の話ですか、ふふ。」
「君も上手だね。」
「いいえ、先生のほうが。」
そして、二人は笑った。
「ああ、いつになく真剣なはなしをしてしまったね。それにしてもこの部屋、とてもロマンチックだね。」
「そうですね。アメリカの物語の少女の家のような。」
「あ、赤毛のアンだろ。」
「先生、ご存じですか?」
「まだ翻訳されてないけどね。きみは原文で読んだのかい?」
「はい。でもわからない単語もまだありますけど。」
「君は外国に絶対行くべきだね。これは絶対といっていい。」
「私も行ってみたいです。紀行文でもだそうかな。」
「僕も櫻君の紀行文読んでみたいよ。」
この部屋にいるとまるで外国にいるような気分になる。
櫻はそれがうれしかった。
そして、その空間に辻といられることがもっと嬉しかった。
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