夢は職業婦人〜カラクリ御曹司と偽お嬢様の恋

第十三章 養女になる準備

２８、聖書を読んで

櫻は聖書を読み始めた。
自分のは持っていなかったので、アグリに相談すると持っていた。

「アグリ先生、どうしてお持ちなんですか？」
「ああ、私ね、カトリックの女学校に通ってたのよ。」
「そうだったんですね。」
「でも、全部読む前に学校辞めちゃって、それからはずっと持ってるだけだった。」
「なら、借りたら、ダメなんじゃ？」
「ううん。多分、私今は読まないと思う。」
「どうして？」
「うーん。なんだろう。私の中の神様がキリストじゃないからかな？」
「他の神様は気になりませんか？」
「うん、今はね。子供が生まれたら興味が出るかも。だから気にしないで、長い間借りていいわよ。」
「では、お言葉に甘えて。」

アグリが他の神様を信じてるというのが意外だった。神頼みとかしない人だと思っていた。

櫻は今まで神様なんていないと思っていた。でも、辻と出会って、神様もいるんじゃないかと思い始めていた。

そして、20日かけて聖書を読み上げた。

早くノアに話したかった。すぐにピアノレッスンの日になった。

ピアノのレッスンが終わると、イタリア語の授業だったが、そのタイミングで話しかけてみた。
「ノア先生、私聖書読みました。」
「あら、あなた、早いわね。頑張りました。」
「はい、早く先生とお話ししたくて。」
「じゃあ、今日はイタリア語はちょっと少なくして、私の名前について話しましょう。」
「楽しみにです。」
「私は、ある戦争の時期に生まれました。イタリアのある村でした。でもなぜか中心部ではなく、そこで戦争が激しくなったのです。その中で、どうしても、私の命を守ろうとしたのが母でした。」
「すごいお生まれだったんですね。」
「そう。でも、私を守るために母は犠牲になりました。生まれた次の日です。父は私をつれて、村を離れました。畑ももう使い物にならないし。」
「お母様が。。」
「それで、父が熱心なクリスチャンだったので、ノアとつけたのです。」
「ノアの方舟。。。」
「そう。戦争から逃れて守られた子孫です。そして、父は私に生きるように。それが最大の重要だと言いました。」
「イタリアを離れて大丈夫だったんですか？」
「父はまだ生きています。私の主人と会って、ノアの子孫をよろしく頼むと言いました。」
「子供。。。」
「そう。そして、私は実は３歳の子供がいます。」
「そうだったんですか？」
「そう、子供は宝です。でもとても大変。でも好き。」

話はまだまだ続きます。