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第十二章 新学期
23、辻からの言葉
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放課後、洋装店に行く車の中で辻が話しかけてきた。
「櫻くん、あのポスターは素敵だね。」
「え?先生、見たんですか?」
「今日、図書準備室に用があったからね。」
「和枝さんが手伝ってくれたんです。だから想像よりとってもいいものができました。」
「ほお、二人で。」
「はい。昼休みに手伝ってくれて。」
「嫉妬してしまうね。」
「え?和枝さんは女性ですよ。」
「君の大切が増えるたびに僕は嫉妬していくのかな?」
「冗談も程々にしてください。」
「まあ、それを加味してもとてもいいポスターだった。」
「アイデアをくれたのは先生ですよ。」
「でも、あんなにいいものになるなんて思わなかった。」
「私、あれを踊り場に飾りたいんです。」
「踊り場?」
「玄関入って正面の。」
「ああ、いい場所だね。」
「和枝さんがアドバイスしてくれたんです。」
「なんの?」
「最初、図書室に飾る予定で。でも、それって勿体無いって言ってくれて。」
「そうだね。あれは人が見る場所に飾るべきものだよ。」
「何人にもいってもらうと嬉しいです。」
「しかし、上野くんは君のことを本当に思ってくれるんだね。」
「はい。本当にラッキーでした。」
「ラッキー?」
「実は、先生のからくりクラブに最初に誘ってくれたんです。堅物の私を。」
「それは知らなかった。」
「でも、その時仕事もしていたし、断ったんです。」
「それでも上野くんは君を大切に思ってくれたんだ。」
「そうなんです。だから、私はそれを大切にしたくて。」
「結局、からくりクラブには入らなかったけど、君を友達だと思ってくれたんだね。」
「そうです。でも、そのきっかけをくれたのは辻先生ですよ。」
「じゃあ、僕はご褒美をもらわないとね。」
「え?」
そういうと、軽く口づけをした。
「びっくりする。」
「そうしたかったから。」
「ずるい、先生。」
「ずるくないよ。君のものだ。」
「私、先生のおかげで本当に世界が広がって、楽しいんです。」
「羽ばたいていかないでくれよ。」
「え?」
「君は羽ばたいていきそうで。」
「私は先生からは離れません。絶対。」
「絶対はないよ。だから、今この瞬間を大切にしよう。僕たちは一緒だ。」
辻が何度も不安がるこの気持ちが櫻はわからなかった。
しかし、その先の未来、櫻は辻を不安にさせてしまうこともずっと先なので想像もつかなかった。
「櫻くん、あのポスターは素敵だね。」
「え?先生、見たんですか?」
「今日、図書準備室に用があったからね。」
「和枝さんが手伝ってくれたんです。だから想像よりとってもいいものができました。」
「ほお、二人で。」
「はい。昼休みに手伝ってくれて。」
「嫉妬してしまうね。」
「え?和枝さんは女性ですよ。」
「君の大切が増えるたびに僕は嫉妬していくのかな?」
「冗談も程々にしてください。」
「まあ、それを加味してもとてもいいポスターだった。」
「アイデアをくれたのは先生ですよ。」
「でも、あんなにいいものになるなんて思わなかった。」
「私、あれを踊り場に飾りたいんです。」
「踊り場?」
「玄関入って正面の。」
「ああ、いい場所だね。」
「和枝さんがアドバイスしてくれたんです。」
「なんの?」
「最初、図書室に飾る予定で。でも、それって勿体無いって言ってくれて。」
「そうだね。あれは人が見る場所に飾るべきものだよ。」
「何人にもいってもらうと嬉しいです。」
「しかし、上野くんは君のことを本当に思ってくれるんだね。」
「はい。本当にラッキーでした。」
「ラッキー?」
「実は、先生のからくりクラブに最初に誘ってくれたんです。堅物の私を。」
「それは知らなかった。」
「でも、その時仕事もしていたし、断ったんです。」
「それでも上野くんは君を大切に思ってくれたんだ。」
「そうなんです。だから、私はそれを大切にしたくて。」
「結局、からくりクラブには入らなかったけど、君を友達だと思ってくれたんだね。」
「そうです。でも、そのきっかけをくれたのは辻先生ですよ。」
「じゃあ、僕はご褒美をもらわないとね。」
「え?」
そういうと、軽く口づけをした。
「びっくりする。」
「そうしたかったから。」
「ずるい、先生。」
「ずるくないよ。君のものだ。」
「私、先生のおかげで本当に世界が広がって、楽しいんです。」
「羽ばたいていかないでくれよ。」
「え?」
「君は羽ばたいていきそうで。」
「私は先生からは離れません。絶対。」
「絶対はないよ。だから、今この瞬間を大切にしよう。僕たちは一緒だ。」
辻が何度も不安がるこの気持ちが櫻はわからなかった。
しかし、その先の未来、櫻は辻を不安にさせてしまうこともずっと先なので想像もつかなかった。
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