157 / 419
第十章 冬休み 旅行に出る
11、次の目的地
しおりを挟む
ツエに鍵を返して、大阪の街から出ることにした。
「さあ、次はそろそろ帰りながら旅行をしなくてはだよ。」
「辻くん、ちょっと遠回りになるけど、箱根にいきたいな。」
「全然遠回りじゃないじゃないか。」
「あ、箱根湯本じゃなくて、仙石原に行きたいんだ。」
「どうして?」
「あの彼女と旅行に行ったんだ、仙石原。」
「でも、もう彼女とはいけないよ。」
望月は鞄から大阪の写真ハガキを出した。
「あのね、こういう写真ハガキを買いに行きたいんだ。」
「買ってどうしたいんだい?」
「彼女に手紙を出したい。」
「思い出の場所だから?」
「そう。」
辻はちょっとデリカシーがないのではないかとも思ったが、望月が好きなようにしてあげようと思った。
「僕のわがまま旅になってるね。」
「そんなことないよ。君といると誰でも楽しい。」
「僕は呑気に生きてるからさ、普段ないことが起きると、何かしたくなっちゃうんだ。」
「それは誰でもだよ、望月くん。」
自分だって、櫻の前では尋常ではいられない時がある。
それは誰だってあるのだ。
望月は、周りに恵まれていた人生だったのかもしれない。
今回の彼女だって、本当は望月の家に乗り込んでいくこともできたのかもしれない。
しかし、それをしなかった。
密かに、男の名前で手紙を出し、望月に子供を産むことを知らせ、何も必要はいらないという。
「まあ、仙石原もいい宿があるしな。」
「あ、辻くんも行ったことあるの?」
「前に、ガールフレンドとね。」
「まあ、もう辻くんは櫻くんに夢中だから、他の女性とは無いんでしょ?旅行は僕との楽しみになってるね。」
「助かるよ。もう一回ガールフレンドを作ることは望んで無いからね。」
「イエッサー。じゃあ、切符を買おうか?」
2人は東京方面の電車に乗った。
大阪城が彼方に見える。ここに今度来るときはどんな時だろうか。
自分の未来がどうなるか、自分自身はわからない。
いろいろな経験が自分を成長させると辻が車中からアンニュイな気持ちで思った。
「さあ、次はそろそろ帰りながら旅行をしなくてはだよ。」
「辻くん、ちょっと遠回りになるけど、箱根にいきたいな。」
「全然遠回りじゃないじゃないか。」
「あ、箱根湯本じゃなくて、仙石原に行きたいんだ。」
「どうして?」
「あの彼女と旅行に行ったんだ、仙石原。」
「でも、もう彼女とはいけないよ。」
望月は鞄から大阪の写真ハガキを出した。
「あのね、こういう写真ハガキを買いに行きたいんだ。」
「買ってどうしたいんだい?」
「彼女に手紙を出したい。」
「思い出の場所だから?」
「そう。」
辻はちょっとデリカシーがないのではないかとも思ったが、望月が好きなようにしてあげようと思った。
「僕のわがまま旅になってるね。」
「そんなことないよ。君といると誰でも楽しい。」
「僕は呑気に生きてるからさ、普段ないことが起きると、何かしたくなっちゃうんだ。」
「それは誰でもだよ、望月くん。」
自分だって、櫻の前では尋常ではいられない時がある。
それは誰だってあるのだ。
望月は、周りに恵まれていた人生だったのかもしれない。
今回の彼女だって、本当は望月の家に乗り込んでいくこともできたのかもしれない。
しかし、それをしなかった。
密かに、男の名前で手紙を出し、望月に子供を産むことを知らせ、何も必要はいらないという。
「まあ、仙石原もいい宿があるしな。」
「あ、辻くんも行ったことあるの?」
「前に、ガールフレンドとね。」
「まあ、もう辻くんは櫻くんに夢中だから、他の女性とは無いんでしょ?旅行は僕との楽しみになってるね。」
「助かるよ。もう一回ガールフレンドを作ることは望んで無いからね。」
「イエッサー。じゃあ、切符を買おうか?」
2人は東京方面の電車に乗った。
大阪城が彼方に見える。ここに今度来るときはどんな時だろうか。
自分の未来がどうなるか、自分自身はわからない。
いろいろな経験が自分を成長させると辻が車中からアンニュイな気持ちで思った。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
大正警視庁正門前みたしや食堂
森原すみれ@薬膳おおかみ①②③刊行
キャラ文芸
時は大正。西洋文化が花開いた帝都。
警視庁中央部に赴任した若き警察官 龍彦は、正門前で食堂を営む女主人 満乃と出逢う。
満乃が作るのは、食に頓着しない龍彦をも惹きつける、ハイカラな西洋料理だった。
喧嘩っ早い龍彦と意思を曲げない満乃は、時にぶつかり、時に認めあいながら交流を深めていく。
そんな二人に、不穏な企みが襲い掛かり……。
「悪知恵働かせて搾取する野郎なんざ、荷車喰らって当然だろ」
「人の矜持を踏みつけにする無礼者に出すものはございません!」
ケンカップル(未満)なふたりの、じれじれ甘い恋物語です。
※ノベマ!、魔法のiらんど、小説家になろうに同作掲載しております
妻と夫と元妻と
キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では?
わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。
数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。
しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。
そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。
まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。
なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて………
相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不治の誤字脱字病患者の作品です。
作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。
性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
雪井しい
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい
【完結済】後悔していると言われても、ねぇ。私はもう……。
木嶋うめ香
恋愛
五歳で婚約したシオン殿下は、ある日先触れもなしに我が家にやってきました。
「君と婚約を解消したい、私はスィートピーを愛してるんだ」
シオン殿下は、私の妹スィートピーを隣に座らせ、馬鹿なことを言い始めたのです。
妹はとても愛らしいですから、殿下が思っても仕方がありません。
でも、それなら側妃でいいのではありませんか?
どうしても私と婚約解消したいのですか、本当に後悔はございませんか?
愛を知ってしまった君は
梅雨の人
恋愛
愛妻家で有名な夫ノアが、夫婦の寝室で妻の親友カミラと交わっているのを目の当たりにした妻ルビー。
実家に戻ったルビーはノアに離縁を迫る。
離縁をどうにか回避したいノアは、ある誓約書にサインすることに。
妻を誰よりも愛している夫ノアと愛を教えてほしいという妻ルビー。
二人の行きつく先はーーーー。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる