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第九章 成長に合わせて

2、アグリを訪ねる辻

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昼食をとったあと、学校へはいかず、望月邸を目指した辻であった。
あの、富田編集長との話をちょっと話してみたいと思ったからだ。
なぜ学友の望月を選ばなかったかというと、フワフワ風船みたいな望月より、アグリの方が適任だと思ったからだった。

リーン。
望月邸の呼び鈴を鳴らす。
「わあ辻さん!」
急に出てきて、淳之介が抱きついた。
「どうしてきてくれたの?僕と遊べる?」
「ああ。お母さんとお話しちょっとしたら遊べるよ。」
「お母さん、書斎でデッサンしてるよ。」
「じゃあ、お母さんとのところまで連れて行ってくれるかな?」

淳之介の案内で、書斎のドアをノックした。
「辻です。入ってもいいですか?」
そういうと、3秒くらい経って、あぐりが出てきた。
「わあ、びっくりしたわ。ごめんなさい、今日お化粧してないの。こう言うこともあるから普段からしなきゃね。」
「僕は一向に構わないがいい?」
「ごめんなさいね、もう二人の子持ちになろうってのにね。」

アグリに招き入れられ、書斎へと入った。
「じゃあ辻さん、終わったら僕の部屋へいきてね!」

元気よく淳之介は去っていった。

「このごろ、急にくるのは風来坊の辻さんが蘇ったのかしら?」
「皮肉かな?まあ、風来坊の僕が、いつになくきちんとした人生を歩もうと、ちょっとね。」
「どう言うこと?」
「実は、父が櫻くんのことを調べてると考えてから、彼女をきちんとした家から迎えないと父にオーケーをもらえない気がしてね。」
「うん、それは私も思ってた。」
「それで、富田編集長に話したんだ。うん、相談かな。」
「富田編集長はなんて?」
「望月毛の養女にどうかって言うんだ。」
アグリは目を丸くした。

「そうねえ。なくはないけど。。。私と櫻さん10歳しか離れてないしね。と言っても、うちの舅と姑も別居してる状態だし。迎え入れたいのは山々だけど、難しいかもしれないわ。」
「うん、そう言われると思ってはいた。そのことを坂本に話したら、百貨店の佐藤支店長とかもどうかって言うんだ。」
「あの方なら、この間、お嬢様がお嫁に言って5年経つでしょ。家にお嬢さんがいらっしゃらないからちょうどいいかもしれない。」

さすが、銀座界隈のことはよく知っている。
「あなたも佐藤さんとは懇意にしてるんでしょ?」
「うん、娘のカナとも一つ違いだから子供の頃は遊びに行かせてもらったよ。」
「佐藤支店長、お嬢様も嫁いで、お寂しいんじゃない?」
「それも言えるかもしれない。もしかしたら。。。」
「あの方も口は硬いわ。相談してみるのもいいと思う。」
「アグリくん、ありがとう。そうしてみるよ。」
「私のちょっとした意見で申し訳ないわ。でも、あと5歳小さかったら櫻さんを本当に養女にしていたかも。」
「でも、僕はもっと破廉恥な状態だね。」
「いずれにしても、出会うべくして出会った二人なのよ。」
「ありがとう、君に話してよかった。」

安心した辻はほっと息をついた。
さて、2階で待っている淳之介のところへ行こう。

「度々だけど急な話にありがとう。淳之介としばらく遊んだら帰るよ。」
「ごめんなさいね。淳も。よろしくお願いします。」

そういうと、辻は書斎を後にした。
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