136 / 419
第九章 成長に合わせて
1、櫻、夏休みもあと二日
しおりを挟む
もうあと二日となった夏休み。
結局夏休みらしいこと、海に行ったり山に行ったりなんてことはなかったが、今まで生きてきて1番充実した夏休みであった。
それもこれも、辻が全てのレールを引いてくれたからだった。
女学生時代にこれほどに職業婦人について触れることはできなかっただろう。
しかし、その憧れの憧れの世界に入らせてくれた。
「先生、あと二日になりました。」
「うん、本当にお疲れ様でした。」
「私、本当に先生に感謝しているんですよ。」
「わかってるよ。君の顔に書いてある。」
今日は、シウマイの弁当だった。
櫻が以前美味しいと言って、定期的に差し入れてくれる。
「先生、本当に美味しいですね。」
「本当は色々なレストランに君を連れて行きたいけどね。」
「そうですか?」
「でも、僕たちはまだ教師と生徒のままだ。」
「そうですね。」
「自由恋愛を隠さなきゃいけないところから、君を救いたい。」
「それってどういう?」
「卒業したら、君を自由の身にしたいんだ。」
「でも、父が。」
「わかってる。そのお父上をどうにか説得できる、あるいは君を諦めてくれる方法を思案してるところだよ。」
「先生、そんなことして大丈夫でしょうか?」
「うん、坂本といろいろ話して、妙案も出てきたんだ。」
一呼吸おくと、辻が話し始めた。
「君をある程度の家の養女にして、僕の家に嫁いて欲しいんだ。」
「え?養女?」
「うん。どの家にするかは相談が必要だけどね。いいところを探しているところなんだ。」
「でも、父が許しません。」
「許さなくても、極端なことを言うと、勘当されてもいいと考えているんだよ。」
そんなこと大丈夫なのだろうか。本当にできるのだろうか。
「私のような育ちのものが、養女に入れるものでしょうか?」
「ここ数ヶ月で君は色々な人たちに会ってきただろう。君の良さを色々な人が知った。だから、その中に君をぜひにって言う人もいると思うんだ。」
そうであってほしい。でも、私のこの汚れた経歴を消すこと、偽お嬢様という仮面を本当のお嬢様にできるのだろうか。と櫻は思った。
「櫻くん、君は心配しなくていい。まだ卒業まで一年以上あるからね。」
「。。。はい。。」
どうか神様、私をみていたら、辻先生との将来に明るい未来をと願う桜であった。
結局夏休みらしいこと、海に行ったり山に行ったりなんてことはなかったが、今まで生きてきて1番充実した夏休みであった。
それもこれも、辻が全てのレールを引いてくれたからだった。
女学生時代にこれほどに職業婦人について触れることはできなかっただろう。
しかし、その憧れの憧れの世界に入らせてくれた。
「先生、あと二日になりました。」
「うん、本当にお疲れ様でした。」
「私、本当に先生に感謝しているんですよ。」
「わかってるよ。君の顔に書いてある。」
今日は、シウマイの弁当だった。
櫻が以前美味しいと言って、定期的に差し入れてくれる。
「先生、本当に美味しいですね。」
「本当は色々なレストランに君を連れて行きたいけどね。」
「そうですか?」
「でも、僕たちはまだ教師と生徒のままだ。」
「そうですね。」
「自由恋愛を隠さなきゃいけないところから、君を救いたい。」
「それってどういう?」
「卒業したら、君を自由の身にしたいんだ。」
「でも、父が。」
「わかってる。そのお父上をどうにか説得できる、あるいは君を諦めてくれる方法を思案してるところだよ。」
「先生、そんなことして大丈夫でしょうか?」
「うん、坂本といろいろ話して、妙案も出てきたんだ。」
一呼吸おくと、辻が話し始めた。
「君をある程度の家の養女にして、僕の家に嫁いて欲しいんだ。」
「え?養女?」
「うん。どの家にするかは相談が必要だけどね。いいところを探しているところなんだ。」
「でも、父が許しません。」
「許さなくても、極端なことを言うと、勘当されてもいいと考えているんだよ。」
そんなこと大丈夫なのだろうか。本当にできるのだろうか。
「私のような育ちのものが、養女に入れるものでしょうか?」
「ここ数ヶ月で君は色々な人たちに会ってきただろう。君の良さを色々な人が知った。だから、その中に君をぜひにって言う人もいると思うんだ。」
そうであってほしい。でも、私のこの汚れた経歴を消すこと、偽お嬢様という仮面を本当のお嬢様にできるのだろうか。と櫻は思った。
「櫻くん、君は心配しなくていい。まだ卒業まで一年以上あるからね。」
「。。。はい。。」
どうか神様、私をみていたら、辻先生との将来に明るい未来をと願う桜であった。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる