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第八章 遭遇
9、アグリに感謝
しおりを挟むその夜、アグリの書斎を訪れた櫻は感謝の意を述べた。
「アグリ先生。私を午後新婦人社にってお話ししてくださったみたいで。」
「うん。夏休みもあと少しでしょ。だから、心配はらないわ。午前だけ洋装店に来てくれるだけで、櫻さんの処理は早いからね。」
「他の弟子の皆さんはどう思うでしょうか?」
「元からね、あなたのことは女学生だし、親戚筋から預かってるって言ってあるから大丈夫よ。」
アグリの優しさは本当にすごいと思った。
「先生。富田編集長にはどのように?」
「今日、主人から編集長にお話ししてくださってるはずよ。だから、来週からよろしくね。」
トントン
書斎の扉がノックされた。
「どなた?」
「僕だよ、アグリ」
「お入りになって。」
望月が颯爽と書斎に入ってきた。
「櫻くん、今日富田編集長に話をしてきたよ。」
「どうでしたか?」
「ぜひとの事だよ。君の能力を買っている一人だからね。」
「ご夫婦ともにこんなにしていただいて返せるものがないです。」
「櫻さん、そんなことはないの。このお腹にいる赤ちゃんを救ってくレたのはあなたなんだから。」
「そうだよ。アグリはこう見えてね、強いけど、弱いところもあるんだ。僕が風来坊だから苦労かけっぱなしだけど。」
顔を見合わせた望月夫妻を見て微笑ましく思った。
「私、お二人に何かお返しできるように、仕事頑張ります。」
「あなたにあった職業は絶対あるはずよ。今はまだ探してそれを磨けばいいわ。」
櫻はこの家に来て本当に心が暖かくなった。
「さあ、明日も早いわよ。みんな自分の部屋に戻って。」
「え?僕も?」
「次の原稿、あるって今日出版社の方が見えたわよ。」
「へへ。じゃあ、僕も執筆としますか。」
望月と櫻は部屋を出た。
「櫻くん、来週からは本当の同僚だね。文筆は本当に世の中を闘いぬく素晴らしいものだ。ペンは剣よりも強しだよ。」
「はい、頑張ります!」
櫻はワクワクしていた。
週末の勉強に読書をもっと入れて他の執筆を再度読んでみようと思った。
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