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第七章 新しい夢探し
5、アグリへの報告
しおりを挟むその日の夜、櫻はアグリの書斎にいた。
「アグリ先生、ありがとうございました。お陰様で編集部でたくさんお仕事できました。」
「そう、よかったわ。富田編集長は贔屓もしないし、人として尊敬できるでしょ?」
「はい!まさにモダンガールという感じで、時代の先を走っていますね。」
「富田編集長のお洋服、うちのお店で仕立ててもらってるのよ。」
「アグリ先生のデザインも本当に素晴らしいです。」
「まあ、一年くらいはお休みしちゃうけどね。」
アグリは天井にある電球を見つめた。
「先生、お休みしたからって先生の繊細なデザインが廃ることはないと思います。」
「そう言ってくれるとありがたいわ。私も、遅れを取らないように、雑誌とかチェックしなきゃだわね。」
櫻は言うべきか迷ったが、アグリに聞いてみた。
「今日、校正と言って文章のチェックするお仕事をしたんですが、女性の書いた小説を読んだんです。」
「あら、女性が」
「それで、それがとても共感できて素晴らしい小説だったんです。」
「うん」
「すごく刺激になりました。私も文士になれるのかなって、勇気が出ました。」
「あなたには物書きの血が流れているのかもしれないわね。ヨウスケさんも書くことに対しては全然妥協しないもの。」
「私に人を感動させる文章がかけるでしょうか。」
「そのために、今編集部に行ってるんでしょ?いろんな刺激を受けて、影響を受けるのもいいと思うわよ。」
櫻は未来に向けてワクワクした。
「あ、辻先生、月曜日の午後に遊びに来るそうです。」
「このお家に?」
「はい。淳之介くんが勉強で私が家にいるからって。」
「本当、櫻さんのこととなると辻さんご熱心なのね。私も在宅してるから、淳之介の勉強の間、お相手するわ。」
「お料理も百貨店からお惣菜を持ってきてくださるそうです。」
「私もつわりが収まってきたから楽しみだわ。」
明日、また編集部に行く。学校では味わえなかった刺激に櫻はワクワクしていた。
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