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第四章 夢を見つけた

6、取材開始!

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「望月さん、あまり知らない方を取材されるって言ってたけど、懇意にされてる方なんですね。」
櫻は疑問を投げかけてみた。
「いいところに目をつけるね。そう、この置き屋に遊びにきている時にスズメとは知り合ったんだけど、まあその当時は10歳とかだからね、僕の家に遊びにこさせたり、友人としてのスズメは知ってるんだよ。実際、修行してる姿とかお座敷でのことは僕は知らないからね。」
「まあ、お兄ちゃん、江藤さんに説明もしないで連れてきたの?もう自由人二人に囲まれて大丈夫だった?」
「あ、全然。むしろ楽しいというか。」
「そう、この人たちといると楽しくなっちゃうのよね。」
鈴音は本当にはっきりとしていて気持ちのいい女性だった。

「さて、今日は僕はスズメの取材に来たんだ。小一時間、話を聞くよ。」
「さあどうぞ、お兄ちゃん何から聞きたい?」
「うーん、じゃあスズメにとって芸妓ってなんだい?」
「いきなり壮大な聞き方するのね。私に芸妓は職業であって、人生の全て。私の自慢でもあるわ。」
「世間じゃ、こういう職業を変な見方する人もいるが、スズメはそれはどう思う?」
「男性相手に踊りを踊ったり、お酒のお供するんだからそう思われたって仕方ないわ。でもね、私たちは厳しい修行をしながら、前を向いて半玉から本物の芸妓になることを目指してるの。」

辻が口を挟む。
「ということは、鈴音さんにとって芸妓は自慢の職業ということだね。」
「辻さん、その通りよ。私しかできないそんな芸妓になるのが夢だわ。まだ半玉だから、姉さんのお座敷のお供しかできないけど、いつか鈴音しか呼びたくないって言われる芸妓を目指してるのよ。」

櫻はその真っ直ぐさを眩しく感じた。
実際、男性を相手にする職業がどういう世界か知らなかった。しかし、この誇りに満ちた鈴音を見ていると、ここは彼女にとって社交界なのかもしれない。

望月は聞く
「スズメはそういうことでは一番の稽古になってどういう婦人になりたいんだい?」
「いつか、プロマイドに載って評判の美人で売れっ子になりたい!」

「スズメ、夢は大きくだね!僕は君のプロマイドは買わないけどね。」
「お兄ちゃん、もう!こういう時はぜひ買うよっていうのよ。いけずなんだから。」
鈴音と望月のやりとりを聞いていると、これを見てアグリは平気なのかな?ともちょっと櫻は不安になった。
「あ、江藤さん、私とお兄ちゃん本当に何にもないからね。変に思わないで。顔に出てるわよ。」
「え!ごめんなさい。」
「いいの、いいの。こういう職業だから色んな人に色目って思われがちのもあながち間違いじゃないしね。」

まだまだ取材は続く。



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