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第一章 先生との出会い
16、愛おしいあなた、、、あたらしい世界へ
しおりを挟む夜の短いデエトは彼らの中で毎日続いた。
お互いを知りたい、しかし、くちづけを続けていたい、、、そんな離れたくない二人がいた。
「櫻さん、だいぶ、僕に対して甘えてくれるようになりましたね。」
「甘えてるんではありません!私は辻先生と離れたくなくて、こうしてしまうのです。」
「嬉しいですね。でも、本当はあなたをさらって一晩中語り明かしたいとも思うのですよ。」
嬉しいと櫻は心底思った。辻を知れば知るほど、辻の知識も分けて欲しいと。
「こうやって抱き合ってるのも猫を追い払ってると見せかけての数分。僕たちには大切な時間ですが、少し方法を変えて会う方法を変えてみませんか?」
「それはどうやって?」
「僕の父の会社で百貨店をやっているんですがね、田中菓子店が出店してる上野店にあなたが手伝いに行くという名目で百貨店の裏側には行って見るということですよ。」
「でも、私はまだ学生の身です。学校が終わった後、そのようなことが可能でしょうか?」
「外国ではね、インターンといって職業体験をしながらその会社に貢献する学生のシステムがあるのですよ。」
インターンシップ、システム、そういった言葉はまだメジャーでは無い。
「田中家では他の女中が百貨店の代わりに来るようにそっと手配ししょう。あなたも職業婦人の様子も見たいでしょう。」
「それは勿論!でも、先生ともうお会いできないということなのでしょうか?」
「おやおや、あんなに勝気なあなたをこうしてしまったのは僕の罪ですね。安心してください。歩いて帰るという名目を僕の車で帰ることにして、毎日時間をとりましょう。もちろん、あなたと挨拶ではない抱擁をすることは僕にとってはもう日課になってしまいましたからね。」
二人はもう一度熱い抱擁をした。そして、何度も接吻を交わし、お互いを貪りあった。
「はあはあはあ」
辻の接吻が激しいので、櫻は呼吸が苦しくなってしまった。しかし、それは嬉しい苦しさであって、幸せの真ん中にいた。
「そろそろお暇しないといけませんね、さくらさん、最後の接吻を」
すると、櫻から辻に激しい接吻が重ねられてた。
1分近く二人は口づけを交わしていたのだろうか。
「これ以上いたら、僕はキミに何をしてしまうかわからない。さあ、立ち上がりましょう」
腰掛けていた二人は立ち上がって、手を取りあう。
「センセ、私、本当に幸せ。。。」
「あなたを本当のレディにするためには僕は惜しみません。安心しなさい。」
二人が別れる時、辻がウインクをした。
その動作がとても愛おしく、お茶目だな、と心の中でかみ締めていた。
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