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自然豊かなところでした
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辿り着いたドラヴァレン辺境伯の居城は、なんというか——
「……ずいぶん鬱蒼としていますわね。幽霊でも出てきそうな」
私の隣で城を見上げたリズがちょっと怯えながらそう言った。
リズがそう表現したくなるのも、無理もない。
黒い石造りの城を伸び放題の草木が取り囲んでいて、なんだかおどろおどろしいのだ。
その時。
ギギーっと蝶番の音を大きく響かせて、城門が開いた。
現れたのは、真っ白い髪の、腰の曲がった小柄な老人だった。
物語に出てくる魔法使いを思わせるたたずまいだ。
「ようこそ、おいでくださいました。セヴィニエ家のクララ様ですな」
老人がしわがれ声でそう言った。
「はい。あなたは……?」
「わしは執事のトドリと申します。以後お見知りおきを。早速ですが、主の元へご案内いたしましょう」
踵を返したトドリが向かったのは、城ではなく、その脇の木立の中だった。
「どこへ行くのでしょう……」
「……わからないけど、付いて行ってみましょう」
私とリズは顔を見合わせ、トドリの後を追った。
連なる樹木をくぐりぬけた先にあったのは、広々とした畑だった。
麦やさまざまな野菜が植えられていて、農夫が数人、収穫や手入れに従事している。
私は目をしばたたき、トドリに尋ねた。
「あの、ロイド様はここにいらっしゃるのですか」
「はい。研究室にいなければ、大概はこの畑におられます」
トドリは頷き、手前にいた若い男を呼んだ。
「すまんが、ロイド様を呼んできておくれ」
「はい、トドリ様」
男が駆け出し、畑の奥でしゃがんでいた人に声をかけた。
少しのやりとりの後、その人が慌てたように立ち上がる。
服は他の農夫たちと同じようなシンプルなチュニック姿で泥まみれだけど、その頭は身覚えのあるぼさぼさスタイルで。
ということは、あの方がロイド様?
「……ずいぶん鬱蒼としていますわね。幽霊でも出てきそうな」
私の隣で城を見上げたリズがちょっと怯えながらそう言った。
リズがそう表現したくなるのも、無理もない。
黒い石造りの城を伸び放題の草木が取り囲んでいて、なんだかおどろおどろしいのだ。
その時。
ギギーっと蝶番の音を大きく響かせて、城門が開いた。
現れたのは、真っ白い髪の、腰の曲がった小柄な老人だった。
物語に出てくる魔法使いを思わせるたたずまいだ。
「ようこそ、おいでくださいました。セヴィニエ家のクララ様ですな」
老人がしわがれ声でそう言った。
「はい。あなたは……?」
「わしは執事のトドリと申します。以後お見知りおきを。早速ですが、主の元へご案内いたしましょう」
踵を返したトドリが向かったのは、城ではなく、その脇の木立の中だった。
「どこへ行くのでしょう……」
「……わからないけど、付いて行ってみましょう」
私とリズは顔を見合わせ、トドリの後を追った。
連なる樹木をくぐりぬけた先にあったのは、広々とした畑だった。
麦やさまざまな野菜が植えられていて、農夫が数人、収穫や手入れに従事している。
私は目をしばたたき、トドリに尋ねた。
「あの、ロイド様はここにいらっしゃるのですか」
「はい。研究室にいなければ、大概はこの畑におられます」
トドリは頷き、手前にいた若い男を呼んだ。
「すまんが、ロイド様を呼んできておくれ」
「はい、トドリ様」
男が駆け出し、畑の奥でしゃがんでいた人に声をかけた。
少しのやりとりの後、その人が慌てたように立ち上がる。
服は他の農夫たちと同じようなシンプルなチュニック姿で泥まみれだけど、その頭は身覚えのあるぼさぼさスタイルで。
ということは、あの方がロイド様?
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