ダレカノセカイ

MY

文字の大きさ
上 下
67 / 67

episode.66

しおりを挟む
「……スバル、俺を喰え」
「おい!やめろ!」
 俺は叫んだ。
 刹那、スバルは自らの《剣装》にアヤトを取り込む。
 シュウウウウウウウウ!
 全身鎧から煙が噴き上がる。
 《剣装》で身につけた全身鎧が、ゴキボキボキゴキボキゴキボキボキ‼︎と音を立たせ、姿を変える。
「……まじかよ」
 俺はスバルの全身から放たれる闘気を目の当たりにし、ゴクリと音を鳴らす。
 相打ち覚悟の威勢。
 相手を捩じ伏せる圧。
 相手を絶せる力量。
 アヤトを取り込み、闘気を倍に跳ね上げたスバル。
 見ただけで分かる。
 今の全身鎧が、今までのどれとも違うことを。
 アヤトとスバルが最初身につけた全身鎧が、融合したかのような全身鎧。
「行ける!」
 ドッ!
 スバルが草原を粉々に蹴飛ばし、視界を奪う。
 真正面から殺気が放たれる。
 来る!
 そう思った時には、両手に握られたスバルとアヤトの二本の剣――雷を纏わせた――が同時に襲いかかる。
 身体強化されたのか?今までと段違いに能力が上がってる。
 俺は復讐者の籠手で捌き、両拳で連続的に攻撃を繰り返す。
 ドドドドドドドドドドドドッ‼︎
 全身鎧から煙が上がる。
「なっ⁉︎」
 俺は攻撃を止め、驚く。
 両拳で凸凹に潰した全身鎧が、煙が上がるとともに治るのを。
 こいつ、やばい。
 治癒力が桁違いに上がってる。
「《二刀・光速雷斬り》」
 スバルはアヤトの時とは数倍以上の速さで、両手に握る剣を振るう。
 融合して、更に強くなったのかよ。
「らぁああああああああああああ‼︎‼︎」
 スバルの二本の剣の速さ、力が徐々に増していく。纏った雷すら、大きく膨れ上がってる気さえする。
 捌ききれない剣撃が、俺の身体を切り裂く。切り裂かれた体に雷に焼かれ、黒焦げになる。
 焼け焦げた匂いが立ち込む。
 焦げた匂いが臭いな。
 俺は後方に下がると見せかけ、再び使い切ったスキル《闇の闘気》を発動する。
 全身に闇を纏い、スバルと激突する。
「《千雷剣》」
 スバルが剣を振るえば、振った軌道そのままに千の雷で生み出された剣が突然姿を現し、俺に襲いかかる。
 グサグサグサグサ。
 あまり貫かれた経験がない闇を貫き通し、全身に剣が刺さる。
 全身が痺れる。
 それでも、俺は不死身だ。
 痛みに慣れてさえいれば、どうってことない。
 俺は全身に刺さった剣が、痺れた体が、不死身の特性で1秒後には治り消えるのを知ってる。
 スッと何もなかったかのように体が元の状態に戻る。
「なぜだ⁈なぜ死なない⁉︎」
 スバルは今持ち合わせる全ての技を俺にぶつける。
 俺は全ての技を喰らい、体の一部が斬られては不死身の特性で戻る。それを繰り返し、スバルの間合いを詰める。
「そんな……馬鹿な⁉︎」
 俺は全身の闇を両拳に集結させ、
闇装術ダークドーピング闇の連撃この一撃で終わりだ!
 全身全霊の連撃をスバル目掛けて放った。


 ♦︎


「ねえ、これからずっと武軍人から追われるのかしらね?」
「どれだけ来ようと武軍人は倒す」
「昨日今日みたいに武軍人が来たら、恐い」
「薫、君を守る。約束は必ず果たす。それまでは襲い来る武軍人全ての息の根を止めるまでだ」
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

星架の望み《ステラデイズ》・星

零元天魔
ファンタジー
 ――落ちた星。  砕けた欠片より生まれ落ちた――〝最悪の竜〟  異常事態、驚天動地、狂瀾怒濤。  人類種最大の危機、全てを喰らい尽くす七匹の厄竜は深き眠りから目覚める。  天樹を宿す〝愚者〟は厄災を越えるため、その力を振るう。  逆望の願い――最悪へ覆る現実――砕け散る理想。  燦々と輝く星々の架ける天、数多の結末を持って彼の者は歩む。  ――星は三千世界を知らず、救いの手を伸ばし続けた。  残った天は三千世界の夢を見る。  愚者は壊れた理想/願望を果たす為、朽ち果て崩壊へ向かう己を抱いて歩を進める。  決して折れぬ〝鉄心〟――裁定の〝秤〟。  運命に根付く天樹の縁、選択者に成れぬ愚かな当事者。  でも、それでも――――その手を伸ばし続ける。  これは――    〝顕現する竜を殺す〟物語―― 概要――  投稿日は一日一話、あるいはまちまち。  誤字脱字の方がありましたら、コメントの方で教えて頂ければ幸いです。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様でも公開しています。他にも「世界の修正者は世界を守らない」という作品も書いているので、お暇があればそちらもご覧頂ければ嬉しいです。

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

異世界へ全てを持っていく少年- 快適なモンスターハントのはずが、いつの間にか勇者に取り込まれそうな感じです。この先どうなるの?

初老の妄想
ファンタジー
17歳で死んだ俺は、神と名乗るものから「なんでも願いを一つかなえてやる」そして「望む世界に行かせてやる」と言われた。 俺の願いはシンプルだった『現世の全てを入れたストレージをくれ』、タダそれだけだ。 神は喜んで(?)俺の願いをかなえてくれた。 希望した世界は魔法があるモンスターだらけの異世界だ。 そう、俺の夢は銃でモンスターを狩ることだったから。 俺の旅は始まったところだが、この異世界には希望通り魔法とモンスターが溢れていた。 予定通り、バンバン撃ちまくっている・・・ だが、俺の希望とは違って勇者もいるらしい、それに魔竜というやつも・・・ いつの間にか、おれは魔竜退治と言うものに取り込まれているようだ。 神にそんな事を頼んだ覚えは無いが、勇者は要らないと言っていなかった俺のミスだろう。 それでも、一緒に居るちっこい美少女や、美人エルフとの旅は楽しくなって来ていた。 この先も何が起こるかはわからないのだが、楽しくやれそうな気もしている。 なんと言っても、おれはこの世の全てを持って来たのだからな。 きっと、楽しくなるだろう。 ※異世界で物語が展開します。現世の常識は適用されません。 ※残酷なシーンが普通に出てきます。 ※魔法はありますが、主人公以外にスキル(?)は出てきません。 ※ステータス画面とLvも出てきません。 ※現代兵器なども妄想で書いていますのでスペックは想像です。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

貴族の家に転生した俺は、やり過ぎチートで異世界を自由に生きる

フリウス
ファンタジー
幼い頃からファンタジー好きな夢幻才斗(むげんさいと)。 自室でのゲーム中に突然死した才斗だが、才斗大好き女神:レアオルによって、自分が管理している異世界に転生する。 だが、事前に二人で相談して身につけたチートは…一言で言えば普通の神が裸足で逃げ出すような「やり過ぎチート」だった!? 伯爵家の三男に転生した才斗=ウェルガは、今日も気ままに非常識で遊び倒し、剣と魔法の異世界を楽しんでいる…。 アホみたいに異世界転生作品を読んでいたら、自分でも作りたくなって勢いで書いちゃいましたww ご都合主義やらなにやら色々ありますが、主人公最強物が書きたかったので…興味がある方は是非♪ それと、作者の都合上、かなり更新が不安定になります。あしからず。 ちなみにミスって各話が1100~1500字と短めです。なのでなかなか主人公は大人になれません。 現在、最低でも月1~2月(ふたつき)に1話更新中…

処理中です...