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第2章 謎は霧の中に
Ver.3/第15話
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「それで? 何でユキチちゃんもついてくるんだ?」
立て続けに新たな出会いがあったハルマだが、今回一緒に行動することになったのは、チップ達パーティとモヤシ。それに加えてユキチだった。
目的は、モヤシが希望した〈大工の心得〉の取得である。
春休みに入り、本格的に育成を始めたユキチとモヤシだったが、ユキチはモカのスタイルに近いソロプレーを選択し、モヤシは生産職をメインに遊んでいくつもりのようだ。
ユキチのソロプレー選択にアヤネはぶーぶー文句を言っていたが、たまには一緒に遊んであげるからという譲歩を引き出し、何とか機嫌を直していたのはここだけの話である。
戦闘に関しては有益な情報を持っていない自覚があるハルマだが、生産職としての知識はトップレベルにあると自負している。モヤシも、そんなハルマの教えを受け、メキメキと上達していた。
ただ、生産職の基礎〈錬金〉〈調合〉〈木工〉〈裁縫〉〈鍛冶〉〈魔加術〉〈細工〉のスキルを一通り取得した後は、ハルマの家に置いてある職人設備を使って比較的自由に遊ばせており、全てを教える、というやり方はとっていない。
職人の醍醐味は、自分で気づき見つけることにあるとハルマ自身が感じているからだ。そのため、モヤシから質問された時にヒントだけ教えるということが多かった。それでも、自ら生産職を選択するだけあり、モヤシの筋は良く、また、ゲーム慣れしていることもあり、システムに馴染むのも早かった。
そうやって、ある程度職人の腕を上げたところで、モヤシは自立を考えるようになっていた。
つまりは、スタンプの村ではなく、自分の村を持ちたいと思うようになっていたのだ。
そうなると〈大工の心得〉が必要となるのだが、そこで困ったことが起こったのである。
「〈大工の心得〉って、どこからが取得のフラグなんだ?」
スキル取得の条件はある程度知っている。知っているのだが、自分が通ってきた道のりを考えると、はて? と、なってしまったのだ。
直接スキルを取得したのは、家を作った段階である。
しかし、家を作るには大工道具が必要であり、大工道具の獲得には図書館で本を読む必要があった。そうなると、本を読むために文字が読めるようにならなければならないのだが、ここで困ったことになる。
文字が読めるようになる条件がわからないのである。
時間をかけて本とにらめっこしていれば、おそらく読めるようになるのだろうが、それに何時間費やさなければならないのかが、さっぱりわからなかったのだ。
本を読む工程をすっ飛ばして、直接大工道具をもらえないか試してみたが、やはり本を読むというフラグを立てなければもらうことはできないらしく、お菓子屋でモヤシが話しかけても、怪訝な顔をされるだけで終わってしまった。
ならば、地道に文字を読めるように勧めるべきなのだろうが、ハルマという先駆者がいるからこそ試せることがあったのだ。
「だって。ハル君が何か試してみるんでしょ? 面白そうじゃん」
ユキチは両手を後頭部に回しながらチラリと視線を向けてきた。
「別に、特別珍しいことじゃないぞ? 俺が作った大工用のアイテムを使ってもらうだけだから」
最初に〈大工の心得〉で覚えることができるレシピの中には、大工専用の道具である〈大きな木づち〉も含まれているのだ。これは、発展可能なレシピであり、ハルマが現在使っているものも初期の〈大きな木づち〉ではなく〈じょうぶな木づち〉という上位種であった。
今回は、ハルマの作った〈大きな木づち〉をモヤシに譲渡して使わせることで、〈大工の心得〉が取得できるのかを試すことが目的であったのだ。
立て続けに新たな出会いがあったハルマだが、今回一緒に行動することになったのは、チップ達パーティとモヤシ。それに加えてユキチだった。
目的は、モヤシが希望した〈大工の心得〉の取得である。
春休みに入り、本格的に育成を始めたユキチとモヤシだったが、ユキチはモカのスタイルに近いソロプレーを選択し、モヤシは生産職をメインに遊んでいくつもりのようだ。
ユキチのソロプレー選択にアヤネはぶーぶー文句を言っていたが、たまには一緒に遊んであげるからという譲歩を引き出し、何とか機嫌を直していたのはここだけの話である。
戦闘に関しては有益な情報を持っていない自覚があるハルマだが、生産職としての知識はトップレベルにあると自負している。モヤシも、そんなハルマの教えを受け、メキメキと上達していた。
ただ、生産職の基礎〈錬金〉〈調合〉〈木工〉〈裁縫〉〈鍛冶〉〈魔加術〉〈細工〉のスキルを一通り取得した後は、ハルマの家に置いてある職人設備を使って比較的自由に遊ばせており、全てを教える、というやり方はとっていない。
職人の醍醐味は、自分で気づき見つけることにあるとハルマ自身が感じているからだ。そのため、モヤシから質問された時にヒントだけ教えるということが多かった。それでも、自ら生産職を選択するだけあり、モヤシの筋は良く、また、ゲーム慣れしていることもあり、システムに馴染むのも早かった。
そうやって、ある程度職人の腕を上げたところで、モヤシは自立を考えるようになっていた。
つまりは、スタンプの村ではなく、自分の村を持ちたいと思うようになっていたのだ。
そうなると〈大工の心得〉が必要となるのだが、そこで困ったことが起こったのである。
「〈大工の心得〉って、どこからが取得のフラグなんだ?」
スキル取得の条件はある程度知っている。知っているのだが、自分が通ってきた道のりを考えると、はて? と、なってしまったのだ。
直接スキルを取得したのは、家を作った段階である。
しかし、家を作るには大工道具が必要であり、大工道具の獲得には図書館で本を読む必要があった。そうなると、本を読むために文字が読めるようにならなければならないのだが、ここで困ったことになる。
文字が読めるようになる条件がわからないのである。
時間をかけて本とにらめっこしていれば、おそらく読めるようになるのだろうが、それに何時間費やさなければならないのかが、さっぱりわからなかったのだ。
本を読む工程をすっ飛ばして、直接大工道具をもらえないか試してみたが、やはり本を読むというフラグを立てなければもらうことはできないらしく、お菓子屋でモヤシが話しかけても、怪訝な顔をされるだけで終わってしまった。
ならば、地道に文字を読めるように勧めるべきなのだろうが、ハルマという先駆者がいるからこそ試せることがあったのだ。
「だって。ハル君が何か試してみるんでしょ? 面白そうじゃん」
ユキチは両手を後頭部に回しながらチラリと視線を向けてきた。
「別に、特別珍しいことじゃないぞ? 俺が作った大工用のアイテムを使ってもらうだけだから」
最初に〈大工の心得〉で覚えることができるレシピの中には、大工専用の道具である〈大きな木づち〉も含まれているのだ。これは、発展可能なレシピであり、ハルマが現在使っているものも初期の〈大きな木づち〉ではなく〈じょうぶな木づち〉という上位種であった。
今回は、ハルマの作った〈大きな木づち〉をモヤシに譲渡して使わせることで、〈大工の心得〉が取得できるのかを試すことが目的であったのだ。
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