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第3章 トリック・オア・トリート!

Ver.2/第18話

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 カサロストイ地方に転移してから、ハルマの案内で森を目指す。
 まだまだ高難易度のエリアボスを討伐しなければ進めないエリアのため、他にプレイヤーはほとんど見かけることがなく、静かなものだった。
「あ、あそこにジャック・オー・ランタンあるよ」
 シュンの指さす方向に、イベント用のオブジェクト、カボチャのランタンがふわふわと浮かんでいるのが目に入った。
 近寄り、代表のスズコが触れると、ふわりと空中に溶けるように消えたかと思ったら、お菓子を入手したアナウンスが表示された。
「シュークリームかあ。この世界で食べても味がすればいいのになあー」
 アヤネの言葉に、多くが「?」となる。
「もらえるお菓子、皆、同じじゃないんだね」
 モカの言葉に、それぞれが手に入れたお菓子の種類を口にする。クッキー、キャンディ、ゼリー、チョコレート、プリンと、思いの外多かった。
「なんだろ?〈いたずらゴースト〉によって、渡すお菓子が違うのかな?」
「あー。ありえる。プレイヤー同士のトレード交流も目的にしてるのかも」
 シュンの考察にスズコが答えると、チップが続く。
「じゃあ。けっこうジャック・オー・ランタン探さないと足らなくなるかもな」
「そうかもね。でも、パーティで共有できるのわかったから、人海戦術でけっこうそろえられるんじゃない?」
「じゃあ、森に向かいつつ、ジャック・オー・ランタンを優先して回収するってことにしましょうか」
 ハルマの提案で方針が固まると、穏やかな時間が続くことになった。
 時折、戦闘になることもあるのだが、ここにいるのは全員がトッププレイヤーである。一番戦闘に向いていないと思っているハルマでさえ、それを補って余りある戦力を有している。
 むしろ、戦いを挑んできたモンスターの方が可哀そうなほどであった。
「いやー。普段はキツイけど、今日は楽でいい!」
 最前線で大楯を構えるゴリは、いつもよりあっさり終わる戦闘にご機嫌な様子だ。何しろ、相手の攻撃を1度か2度防ぐだけで、圧倒的な火力によって目の前からモンスターが排除されているのだから気も楽だ。
「ボクは、出番がないです」
 一方、同じ盾役であるシュンは、回避盾が主な役割のため、ヘイトを集める間もなく終わる戦いに居場所がなかった。
「まあまあ、集団戦になればゴリだけだと手が回らないから、回避盾の出番もあるわよ」
 同じ前衛職であるスズコに慰められるが、後ろから見ていた面々は懐疑的だった。何せ、後衛からの援護射撃も必要ないほど、モカ、スズコ、チップにヤタジャオースを加えた攻撃力は高かったからである。本当にここは、現在、最難関エリアのひとつなのかと疑いたくなるほどだった。
 そうやって、フィールドを移動しながらジャック・オー・ランタンをいくつも発見し、目的の森に到着したのだった。
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