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章外 Greenhorn-onlineチャンネル①
Ver.1/第77話
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「そっか! それだ! すっかり忘れてたわ」
学校でのひと時、シュンも混ざってチップと情報交換していると、ガード率の謎がようやく解明できた。
「にしても……。他のゲームよりは高めに設定されてるようなことは聞いた気がするけど、それでもDEXのガード率補正なんて2%ないんじゃなかったか? 正確な数字はさすがに知らんけど」
「DEXの補正率はボクも知らないけど、AGI依存の回避率と同じだったら1.87%かな? ボクもがんばったら、回避率100%狙えるかもしれないと思って聞いてたけど、〈心眼〉はマグレで取れたとしても〈二刀流〉は無理だよねぇ。それに〈二刀流〉取れても、武器には回避率アップは付けられないもんなー。今さらDEX上げてガード率特化も目指せないし」
「いやー。どっちも俺が取ったって感じのスキルじゃないんだけどな。でも、探したら何かあるかもしれないぜ? まあ、狙って取ったわけじゃない俺が言うのも何だけど」
シュンの言葉に、ハルマは頬をかきながら答えると、計算機のアプリを立ち上げる。
「えーと。1.87%として確かDEXは1020だったはずだから……。19%ちょっとで、ぎりぎり100%超えてるな」
「マジか!? DEX1000超えてるのかよ……。100%ガードするとか、どんな不具合かと思ったらハルマのプレースタイルのせいだったかー。安藤さんが発売前に言ってたのを思い出すよ」
「ははは。ハルマ君みたいなプレイヤーは運営も扱いに困るだろうねぇ。それで、新しい仲間はどんなことができるの? これで何人目? 4人目? 5人目?」
「ラフまで入れたら5人目だな。どれも人ではないけど……。ユララはゴーゴンくらげって名前がついてるから、メデューサの親戚みたいなもので、〈鋼鉄化〉って状態異常スキルを持ってる。けど、トワネと同じで、戦闘中にできることっていったら、それと〈加護の霧雨〉ってスキルが使えるくらいだな」
「〈鋼鉄化〉も聞いたことないけど、なんだ、それ? 知らないスキルだ」
「〈鋼鉄化〉は、まあ、そのままだ。一定時間、体を鋼鉄に変えちまう。破壊できれば即死効果が入るらしいけど、かなり頑丈で、基本、ダメージ入らないから、時間稼ぎ用だな。〈加護の霧雨〉も、名前の通りだよ。ユララを中心に、状態異常を無効化させる霧雨を降らせるんだ。あと、ちょっとだけ火属性のダメージも軽減してくれる」
「〈ヒーリングレイン〉の上位スキルの更に上位みたいな感じだな。めっちゃ強いじゃん」
〈ヒーリングレイン〉は水属性の回復魔法のひとつで、HPの範囲回復に加え、暗黒、マヒ、混乱、魅了、封印、毒の解除を低確率で行い、更に火傷の解除を中確率で行う便利な魔法である。ただ、手広くカバーしている反面、回復量も成功率も低いため、追い込まれた時に苦し紛れに使われることが多かった。
「そうか?」
「あのなあ。自分が物理無効と同じことができるって、わかってるのか? それで状態異常も入らないんじゃ、ほぼ無敵じゃん」
「そりゃ、ガードできる攻撃しかしてこない相手ならそうだろうけど、チップ達が躓いてるボスって、ほとんど魔法攻撃も厄介な相手なんだろ? モブのモンスターもそういう系統増えてきてるらしいし」
「まあ、そうだけど……。範囲魔法系は、さすがにガードは無理か」
「そういうこと。AGIが高けりゃ範囲外に逃げることもできるんだろうけど、俺のステータスじゃ無理だからなー。大人しく、今まで通り生産職メインでのんびりやっていくよ」
「ボクとしては、ハルマ君がのんびりプレーしている方が、何しでかすかわからない怖さがあるけどねー」
「違いない」
「今までが運が良すぎただけだよ。それより、今日の放送何か新情報あるかな?」
「そりゃ、何かしらあるんじゃね? サービス始まって最初の公式生配信なんだから」
「なんだろうなー。楽しみだなー」
こうやって、和やかな昼のひと時は過ぎていったのだった。
学校でのひと時、シュンも混ざってチップと情報交換していると、ガード率の謎がようやく解明できた。
「にしても……。他のゲームよりは高めに設定されてるようなことは聞いた気がするけど、それでもDEXのガード率補正なんて2%ないんじゃなかったか? 正確な数字はさすがに知らんけど」
「DEXの補正率はボクも知らないけど、AGI依存の回避率と同じだったら1.87%かな? ボクもがんばったら、回避率100%狙えるかもしれないと思って聞いてたけど、〈心眼〉はマグレで取れたとしても〈二刀流〉は無理だよねぇ。それに〈二刀流〉取れても、武器には回避率アップは付けられないもんなー。今さらDEX上げてガード率特化も目指せないし」
「いやー。どっちも俺が取ったって感じのスキルじゃないんだけどな。でも、探したら何かあるかもしれないぜ? まあ、狙って取ったわけじゃない俺が言うのも何だけど」
シュンの言葉に、ハルマは頬をかきながら答えると、計算機のアプリを立ち上げる。
「えーと。1.87%として確かDEXは1020だったはずだから……。19%ちょっとで、ぎりぎり100%超えてるな」
「マジか!? DEX1000超えてるのかよ……。100%ガードするとか、どんな不具合かと思ったらハルマのプレースタイルのせいだったかー。安藤さんが発売前に言ってたのを思い出すよ」
「ははは。ハルマ君みたいなプレイヤーは運営も扱いに困るだろうねぇ。それで、新しい仲間はどんなことができるの? これで何人目? 4人目? 5人目?」
「ラフまで入れたら5人目だな。どれも人ではないけど……。ユララはゴーゴンくらげって名前がついてるから、メデューサの親戚みたいなもので、〈鋼鉄化〉って状態異常スキルを持ってる。けど、トワネと同じで、戦闘中にできることっていったら、それと〈加護の霧雨〉ってスキルが使えるくらいだな」
「〈鋼鉄化〉も聞いたことないけど、なんだ、それ? 知らないスキルだ」
「〈鋼鉄化〉は、まあ、そのままだ。一定時間、体を鋼鉄に変えちまう。破壊できれば即死効果が入るらしいけど、かなり頑丈で、基本、ダメージ入らないから、時間稼ぎ用だな。〈加護の霧雨〉も、名前の通りだよ。ユララを中心に、状態異常を無効化させる霧雨を降らせるんだ。あと、ちょっとだけ火属性のダメージも軽減してくれる」
「〈ヒーリングレイン〉の上位スキルの更に上位みたいな感じだな。めっちゃ強いじゃん」
〈ヒーリングレイン〉は水属性の回復魔法のひとつで、HPの範囲回復に加え、暗黒、マヒ、混乱、魅了、封印、毒の解除を低確率で行い、更に火傷の解除を中確率で行う便利な魔法である。ただ、手広くカバーしている反面、回復量も成功率も低いため、追い込まれた時に苦し紛れに使われることが多かった。
「そうか?」
「あのなあ。自分が物理無効と同じことができるって、わかってるのか? それで状態異常も入らないんじゃ、ほぼ無敵じゃん」
「そりゃ、ガードできる攻撃しかしてこない相手ならそうだろうけど、チップ達が躓いてるボスって、ほとんど魔法攻撃も厄介な相手なんだろ? モブのモンスターもそういう系統増えてきてるらしいし」
「まあ、そうだけど……。範囲魔法系は、さすがにガードは無理か」
「そういうこと。AGIが高けりゃ範囲外に逃げることもできるんだろうけど、俺のステータスじゃ無理だからなー。大人しく、今まで通り生産職メインでのんびりやっていくよ」
「ボクとしては、ハルマ君がのんびりプレーしている方が、何しでかすかわからない怖さがあるけどねー」
「違いない」
「今までが運が良すぎただけだよ。それより、今日の放送何か新情報あるかな?」
「そりゃ、何かしらあるんじゃね? サービス始まって最初の公式生配信なんだから」
「なんだろうなー。楽しみだなー」
こうやって、和やかな昼のひと時は過ぎていったのだった。
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