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男たちの話し合い

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 宮殿の一室にて――――

「集まってくれてどうもありがとう。それぞれお互い自己紹介をしようじゃないか。それから、畏まった口調は不要だよ。公式な席でもないしね」
 手紙の送り主のカイルから話し出す。

「まず私は、カイル。南の国で皇太子をしているよ」

「ルーカスです。護衛騎士をしています」

「クラウスです。同じく護衛騎士をしてます」

「エイデンです。神官をしております」


「そこまで固くならないでくれ。君たちとは仲良くしたいと思っているんだ。まぁ、口調は慣れてきたらでも。そういう私は普段でもこの口調なんだけど。さっそくだけど、それぞれの聖女様との出会いを教えてくれるかな」


 それぞれの出会いや、聖女様から届いた手紙の内容を話し合う。


「そうか……」
 考えこむカイル。


「何かわかりました?」
 エイデンが問う。


「おそらく、聖女様は自分に対してあまりアプローチをしてこない相手を選んでいるな。実際、聖女様はアプローチが苦手だと言っておられたしな。あとクラウスの場合は、黒に対する前の世界での親しみも加わった形かな」

「それで……今回集まった理由は?」
 ルーカスが聞くと

「私は聖女様の夫になりたいと思っている。そして3人もそれぞれ夫が希望の場合、協定というか協力し合わないか?」

「協定……」

「ああ。手紙をくれた事や内容から、結婚に対して前向きになられている。そして私を入れてこの4人に手紙をくれた。たぶん聖女様は前の世界との違いに戸惑っている点もたくさんあるだろうから、定期的にこうして4人集まって情報共有をするんだ。あと聖女様への結婚の話も同じようなタイミングでして、押し切ってしまおうと考えている」

「押し切る……」

「悪いように考えないでくれ。結婚までの時間をかけ過ぎると、他の者たちからの横やりも入ると思う。それより、この4人で夫となり、それから聖女様の今やりたい事、今後の方向性とかを話し合っていって、聖女様との信頼関係を作る方が良いと思う」

「なるほど……」

「私への手紙を見てくれ。さまざまな分野の者と話しをして、前の世界での知識を生かしたいとのお考えみたいだが、こうした話し合いの場にも夫が何人か同席した方が良いだろうし、今後のことを考えてもお互い信頼できる夫が何人かいた方が良いだろう」

「それでは、具体的にどう進めますか?」

「そうだな――――」

 こうして、男たちの相談の夜は更けて行った

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