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江戸時代。彼らと共に歩む捜査道

人魚の出現5

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私達は一つずつ部屋を覗き、やっと全てみおえた。途中女中の部屋の棚を漁ったり気まずい思いをしたりしたが。
「ふむ、ここも外れか……。というか、こんなに広い屋敷の部屋を片っ端から首を突っ込んでいると言うのに、なぜ誰も見当たらないんだ?みたとしても女中や鍵番や奉公人が数人のみ。雇われているものたちは買い出しなどででばらっているらしいが……雇い主はどこなんだ……?」
「意外とバレないこの変装のお陰かなんとかなんにも言われず歩けてますけど……これで一周しましたよね?」



「ああ……そうだな。女中や奉公人の部屋を漁ってみたが……あるとしても女中がくすねたかんざし等の装飾品や奉公人の着替え、日記などしか見つからないしな……。先程みた牢屋の中は……まぁ、わしたちが気にすることではないだろう。」
「玄関はありましたけど鍵かかってましたものね。」
「大浴場は奉公人の男が床掃除をしていて入れなかったな。主人の部屋も同様に女中が掃き掃除をしていた。一つ開かない部屋もあったが……まぁ、いまは脱出口を探すことが優先だな。……にしても、店主殿は絵がうまいのだな。」
ついほめられて照れてしまう。それと同時に不安感が募ってしまう。
「……どうしましょう。なにか手がかりは……。」
「ふむ……手っ取り早いのは奉公人と女中を閉じ込めることだが……ん?閉じ込める?」
即座に踵を返して一郎さんが勢いよく歩いていく。ついたのは奉公人の部屋。
日記をとりだし、じっくりと読み始める。どうしてそんなに真剣に人の日記を読むのかと覗いてみると、どうやら毎日しっかりと書かれているようで、その日あった出来事や担当の女中の名前がかかれていた。
【△月◯日
  大浴場担当である俺はなんてことをしてしまったんだ。女中に焚き付けられて、恩のある旦那様の部屋から旦那様が大事にしていらっしゃる石……旦那様の母国のエゲレス?から裏取引で取り寄せたホウセキとやらと言っていたな。そのホウセキを持ち出してしまった。これは俺の秘密にしておかないと、あとでさりげなくもとの場所に戻しておけば大丈夫だろう。……だが不思議だなぁ。今までなんとも思わなかったけど、どうしてエゲレス生まれの旦那様は鎖国である日本で住めているんだ?どうみても顔つきや体つきが日本の人々とちがうのにな。


△月□日   
    こまったぞ、今までどんなことにも動揺しなかった旦那様はとんでもなくお怒りだ。俺が盗んだとバレたら切り捨てられそうな勢いだ。旦那様は、自室に女中頭のつたとご子息様のじゃあっく様以外入るなと告げられたらしい。俺も命が惜しい、このことは墓まで持っていくしかない。同室者がいる部屋は不味いだろうな、持ち歩くしかないか……。玄関も新たに雇われた見張りが身体を調べてからそとに出れるようになったし、ホウセキをそとに捨てるのは無理だな……。玄関の見張りがいないときには外には完全に出れなくなった。よほど大切なものだったのか。どうにか明日全部屋の鍵を持っている太郎に、玄関の鍵を借りれるか交渉しよう。だめなら……仕方ない、坊っちゃんの部屋から拝借するか。12月25日に坊っちゃんはご友人と遊ぶため出払うらしいからな。それまでの辛抱だ。】


そこで途切れている。日記の裏表紙に、菊太郎とかかれていた。
「へぇ……大浴場の扉を開けて目があって数秒間気まずい思いしたあの男性は菊太郎さんっていうのね。……というか、12月25日って、今日じゃありません!?」
すると私の言葉はスルーし、
またもや即座に部屋を出て、今度は主人の部屋に向かっていく。
(まさか、女中さんから牢屋に!?)
あの強姦男の被害者が増えてしまう。女中さんは普通の女の人のように思えた。きっと牢屋に人が閉じ込められているなんて知らないのでしょうね。それにか弱そうなお年を召したご婦人だし。
「まっ……!?」
慌てて止めようとしたが、とどまずに一郎さんはなかにはいってしまった。
慌ててあとを追えば……話を弾ませている一郎さんが。
「おたつさん、聞きましたか?太郎が玄関の鍵を落としてしまったようで。予備の鍵の場所は……。」
「あらま、この部屋にはいっては行けないと言うのは規則ですのに……ですが太郎がなくしたと言うならば仕方ありませんわね、それならばじゃぁっく坊っちゃんの部屋ですわ。おなくなりになった奥様意外ならば、長く勤めている太郎とじゃぁっく坊っちゃんのみ鍵をもっていらっしゃいます。にしても太郎にはあとで叱らないとですわね。」
(開かずの扉はご子息の部屋だったのね。)

「助かった、おたつさん。朝に太郎が騒いでいてね。」
「……あら、そうでしたか?私の記憶では昨日の夜から太郎は外に出ていた気もしましたが。」
えっ、と言葉が出る前に飲み込む。さすがと言うべきか、一郎さんは朝に文が届いたと堂々と嘘をついていた。これが悪い大人の余裕なのね。
 そして私達はさりげなく部屋を出た。一郎さんって嘘をつくと紳士みたいな口調になるのね。
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