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江戸時代。彼らと共に歩む捜査道

人魚の出現4

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「困ったな……。どうでるか。」
引きちぎられた縄は無惨にも床に散らばっており、一郎さんは扉を調べている。
 どうやら鍵が必要らしいが、それには鍵番という牢屋の鍵を持ち歩く人物から取らなければならないらしい。
「……いつ通りかかるかわからんな……。通りかかったからとて、こちらに近づくとも限らない。興味を引くこと……。」
一郎さんはこちらを見る。なんだか妙な目付きをしている。
 いやな予感がしながらもなにをすればいいですかと聞けば、なにも抵抗しなければいいと言われいやな予感が増す。抵抗ってなんですか一郎さん!?

 

 

 男は、女を押し倒している。腕を縛っていたはずの縄は床に落ちており、女の濡れた声が牢に響いた。鍵番は近付き尋ねる。
「縄はどうした。」
女と睦むには邪魔だった、そう男は告げ女の体を着物の上から蹂躙しつづける。柔らかく上質な女の声に、ごくりと唾を飲んだ鍵番はまたもや聞いた。
「その女は。」
「いつのまにかいた。娯楽用だろう?」
何の悪運か、牢に入れられたのは無関係な女なのだろう。囚人に娯楽用の玩具を与えるなど主人の意向は知れぬと二人を見下ろす。見られていると感じたのか、女はいや、見ないで、やめてと否定の言葉を繰り返す。
 不憫に思いながらも鍵番は自分の体が熱くなるのを感じた。
「混ぜろ。」
もはや問いかけではなかった。牢へと入り、鍵番は女の腕を掴む。そして卑しい笑みを浮かべ、男と目を合わせた。
「好きにしていいんだな。」
「主人に訊けーーーーーー新撰組に引き渡されてからな!!」



ガン、と痛そうな音が響いた。鍵番の男性は、見事に気絶している。
 
 時は遡り鍵さん番がくるまえ。
「あの、一郎さん……それで、なにをすれば……?」
「その、おなごに頼むのもどうかとは思うが……わしと、夜伽をしてくれないか。」
言葉を失う。最近言葉を失ってばっかりね私。
焦った一郎さんが、いや、誤解だと言う。
「ふりでいい!夜伽の声だけを出してくれ。わしが適当に店主殿に触れる……極力、触れるふりにする……!店主殿は艶やかだからな、鍵番は必ず牢へ入ってくるはずだ。そして鍵番を気絶させ鍵を奪う。すまないが、他に方法が思い付かないんだ。」
最初は渋っていた私だが命には変えられない。一郎さんに丸め込まれやることとなったのだ。


そして時は今に戻る。
手際よく鍵を鍵番さんの懐から取った一郎さんと、そとにでる。ちなみに扉は鍵番さんをなかにいれたまま鍵を閉めた。
「さて、次に考えるべきはここがどこかと言うことだ。だが……わからんな。見覚えがない。このままやみくもに歩き回るのは危険だろう……なにかいい紛れ方は……。」
ふと、一郎さんは気づいたように牢へ戻っていく。そして帰ってきたときには、驚くことに鍵番さんの服を着ていた。
「この季節は寒いだろうが、わしたちの身の安全の方が大切だ。」
その口調から、脱いだ服を着せてあげなかったようだ。だが慈悲は与えない。さっき私を襲おうとしたものね。あの鍵番の男。
あとは店主殿の服だけだな、と一郎さんは辺りを見渡す。すると、偶然食事を運んでいる下女のような服のナイスボディの、そう誘拐した黒服のなかにいた女性を見つけた。記憶力は悪くないのよ私。
偶然、というか牢屋に運ぼうとしている食事を持っているようだったが。
 その事を一郎さんに小声で告げれば、コクリと頷かれ次の瞬間ナイスボディなおねぇさんは倒れ込む。手刀を打ったようで、鍵番さんのいる部屋に服を剥いで連れていった。
「この服に着替えたらいい。」
「わぁなんて素敵な笑顔なの。」
あなたは鬼か。
後ろを向いてくれている間に私はささっときがえ、牢屋にせめてもの慈悲で私の着てた着物を置いておく。きっと彼女は武道とかできるからもしもの時はなんとかできるはず。忍者っぽいし。

 そうして変装した私たちは、この場所を特定するため部屋をめぐることにしたのだった。
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